元祖・静岡県議会議員すずきさとる新聞『すずしん』web版★新しいサイトもご覧下さい!

『新発想でつくろう。豊かな人口減少社会』が合言葉。現在のブログは➡ https://suzukisatoru.net

新しいウェブサイトに移行します!

2018-11-06 | 大事な大募集+お知らせ!!

この度、新しいウェブサイト(ブログ)を開設致しました。タイトルは今まで通りです。


(新)静岡県議会議員すずきさとる新聞「すずしん」web版


今後はこの「新すずしんweb版」に記事を投稿していきます。どうぞよろしくお願い致します!

大改革で魅力溢れる県立大を!

2018-10-15 | 精確!?な政策提案
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直ちに雇止めルール撤回を!


静岡県立大学草薙キャンパス正門(平成30年8月9日)

 
 今年の3月、県立大の有期雇用職員の雇止めが大きく報道されました。公的機関である県立大での雇止めは私にとって予想外で、大変衝撃を受けました。

 また翌4月には、例年のように県立大の入学式に出席しましたが、留学生がかなり少ない印象を受けました。事実、留学生数は平成23年度の147名をピークに減少傾向にあり、平成28年度、29年度は90名をも下回っています


※静岡県立大学草薙キャンパス構内の様子


 この二つの事例は、一見、無関係のようですが、どちらも、県立大の事務局体制に問題がある結果だと考えており、今年の6月議会で質問しました。

 地方独立行政法人化から11年経過したにもかかわらず、県立大が直接採用した、いわゆるプロパー職員は未だに少なく、県派遣職員の比率が高水準です。公立大学協会の資料によれば、県立大のプロパー職員比率は公立大学平均の半分以下です。例えば、秋田県の国際教養大学では、本年度のプロパー職員は49名、県派遣職員はわずか5名です。一方、県立大の本年度のプロパー職員16名に対し、県派遣職員は49名にもなります。

 しかも、県立大では、法人と大学の事務局長、事務局次長等の要職全てを県派遣職員と再雇用の県庁OBが占めています。また、派遣職員は平均3年余で県庁に戻っており、大学事務局長は1、2年で交代しています

 また、県立大では非正規有期雇用職員の比率が高く本年度は79名、全職員144名の約55%です。ちなみに、国際教養大学では本年度職員84名のうち、有期雇用職員は30名、約36%です。そして、有期雇用職員である専門員はかなり高度な職責を担っています。例えば、県立大での、交換留学生の派遣、受け入れ、留学生の勧誘・受け入れ等の主任担当者は専門員1名と事務員1名のみ、知的財産管理体制、特許出願、商標届等の主任は専門員1名のみ、学生の個別就職相談等の主任も専門員1名のみ、となっています。しかし、給与等の待遇において正規職員より冷遇されており、同一労働同一賃金と言える状況にありません。加えて、静岡文化芸術大学職員や、この6月1日から、「優れた人材を確保し育成する観点から」県立大の薬学部、食品栄養科学部、看護学部の教員には認められた無期転換ルールが県立大職員にはなく、有期雇用職員の平均在職期間は3年を大きく下回っています

 こうした状況を鑑みれば、県立大事務局が組織として、知識や経験、人脈・対外関係等を十分に蓄積できる体制にあるとは到底思えません。実際、職員の能力開発も殆ど行われていません。そもそも、県派遣職員や県庁OB中心の体制では、県から自立した公立大学法人・地方独立行政法人としての、民間の発想や手法を取り入れた独自の大学経営は進まないのではないでしょうか。

 以上のような問題が事務局にあるため、入試倍率や外国人留学生の減少、県内出身学生割合の上昇、つまり、県立大の魅力低下を招いていると考えます。

 加えて、事実上、県の組織と言える県立大が、労働契約法改正の趣旨に背き、無期転換ルールを認めず雇止めを行なっていることは、公的組織の社会的義務・役割の不履行です。また、同じく雇止めを実行、検討中の企業や組織に正当化の理由を与えかねません。県内の無期転換対象労働者は推計で約15万5千人。その影響は小さくないはずです。更に、人材養成機関としてもあるまじき行為で、県立大のイメージ低下にもつながっているでしょう。

 質問に先立ち、県立大に雇止めされた40代の女性にお会いしました。子育てが落ち着き、フルタイムでずっと頑張ろうと思っていた矢先に雇止めされたそうです。更に衝撃的なのは、この女性は県立大の卒業生だということです。「生んでよし、育ててよし、働いてよし」の静岡県の大学として、とんでもないことをしてしまったと本当に思います。
 
 従って、労働組合と合意の上での無期転換ルールの早期実施や有期雇用職員の正規職員化推進、プロパー職員採用計画の大幅な前倒し、事務局長、次長等の幹部候補としての大学・企業経営経験者の採用、希望県庁職員の転籍等の実行により、事務局体制の抜本的な改革と強化を早急に進めることが、魅力溢れる県立大実現には不可欠であると考えます。


財政支援強化で改革を後押し!

 アジアで最も評価が高い大学をご存知でしょうか。東京大学でも、北京大学でも、ソウル大学でもありません。それはシンガポール国立大学です。

 今年6月に史上初の米朝首脳会談の開催地として注目されたシンガポールは、ご存知の通り、小国です。総人口は約560万人ですが、シンガポール国籍や永住者の人口は約4百万人。つまり、静岡県より、一割多い程度の国です。

 そんな小国の国立大学の評価がなぜ高いのか。一言で言えば、国を挙げて教育の充実に取り組んできたからです。シンガポールの本年度の教育予算は全予算の約16%です。一方、日本の教育予算は全体のわずか5.5%、シンガポールの3分の1程です

 国と県の違いはありますが、シンガポールを見習って、静岡県も、将来を担う子供や若者たちの教育への投資を充実させるべきです。県立大に関して言えば、国が国立大学への運営費交付金を毎年減額しているのに倣って、1%の効率化係数により約22百万円、県立大への運営費交付金を県は毎年減額しています。しかし、そうした機械的な減額に伴って経営効率化を追求した結果、前述のように、無期転換ルールが認められない有期雇用職員が多い事務局体制となってしまったのではないでしょうか。また、他の公立大学、例えば、国際教養大学や県立広島大学等と比較すると、県立大職員一人当たりの学生数は多くなっており、その見直しのためにも、財政支援の充実は必要と考えます。


※管理栄養士養成のための食品模型。数十年前のもので授業では殆ど使えない代物。今年6月の私の質問を機に、漸く一部が更新されることに(県立大食品栄養科学部)


 経営効率化の努力は今後も不可欠ですが、その結果、県立大の魅力が低下しては意味がありません。県は総合計画や教育振興基本計画で、県内高等教育機関への外国人留学生を4年間で2821人から5千人に増やすこと、県立大・文芸大学生の県内就職率を58.4%から65%に引き上げること等を目標に掲げています。それには、前述のように県立大の事務局体制の改革・強化が欠かせないはずです。また、優秀な人材を静岡県から輩出するためにも、効率化係数廃止だけでなく、当面はむしろ運営費交付金増額等、財政支援を充実・強化し、魅力向上のための県立大の抜本的な改革を強力に後押しすべきです。県に対し引き続き働き掛けていきます。


※今月10月のすずしんラジオでも同じ趣旨の話をします。是非、お聴き下さい!


 お読み下さり、ありがとうございます。

【今更ながら略歴更新】今年度は危機管理くらし環境委員長を務めています!

2018-10-14 | スズキの軌跡+事務所!!
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 いつも大変お世話になり、誠にありがとうございます。

 いつの日からか、当ブログのレイアウトが崩れるという問題があり(現在はトップページに一つの記事だけ掲載する形にすることによりレイアウト崩れは防げております)、その原因を解明してから記事を更新しよう等々考えていたら、1年以上が過ぎてしまいました。近く、新たにブログ・ホームページを開設する予定で準備を進めております。新しいアドレス等は決まり次第、このブログにも掲載致します。引き続きよろしくお願い致します。

 さて、本年度の主な役職ですが、5月臨時議会より、危機管理くらし環境委員会の委員長を務めております。また、本会議場の議席は30番の席となりました。そして、この5月からは、国民民主党に所属するとともに、同党静岡県第1区総支部長(但し、衆院選に立候補する予定はありません)を務めております。

 現時点での略歴は以下の通りです(平成30年10月14日現在)。


昭和44年10月1日 静岡市(現駿河区新川)生まれ
平成5年3月 明治学院大学国際学部国際学科卒業
平成6年4月 イギリス・ランカスター大学留学
平成8年9月 イギリス・ランカスター大学大学院修士課程修了
        (平和学にて修士号取得)
平成9年9月 イギリス・ケント大学国際関係大学院修士課程修了
        (国際紛争分析学にて修士号取得)
平成10年5月 株式会社城南進学研究社入社
平成10年9月 国会議員政策担当秘書資格試験合格
平成11年5月 国会議員政策担当秘書
平成18年10月 参議院議員榛葉賀津也 政策担当秘書


 平成21年6月17日 応援に入った川勝候補の選挙事務所にて
(知事選告示日(6月18日)の静岡新聞朝刊に掲載された写真のため、モザイクが入っています)


知事選後に川勝知事から頂いた色紙

平成21年10月 衆議院議員津川祥吾 政策担当秘書
(~平成23年2月)

 
「仕分け人」の津川祥吾議員と共に、国の事業仕分けに参加(平成22年5月20日)

平成23年4月10日 静岡市駿河区選挙区にて16,844票を獲得し、静岡県議会議員に初当選(41歳)


初心忘れず、頑張ります!


投票日翌日の新聞記事(平成23年4月11日読売新聞)


平成27年4月12日 14,776票を獲得し、静岡県議会議員2期目当選(45歳)

※選挙ポスター
※選挙公報
※地元の交差点で朝の演説(平成27年4月6日)
※当選証書


平成28年11月12日 静岡県ふじのくに防災士

 ※ふじのくに防災士養成講座修了証書



[現在]  静岡県議会議員(2期目)
       所属会派: ふじのくに県民クラブ
       所属委員会: 危機管理くらし環境委員会(委員長)
             自転車の安全適正利用促進条例案検討委員会

             
      ★現在の議席表(30番が私の席です)

     国民民主党静岡県総支部連合会県民運動委員長
     国民民主党静岡県第1区総支部長


[家族] 妻1人(シンガポール国籍)
     娘2人(日本とシンガポールの二重国籍)
     ミニウサギ1匹(メス) 
     嬉しいことに!?女性に囲まれて生活しています     



 ご覧下さり、ありがとうございます。

【略歴更新】議席が大きく変わりました!

2017-09-20 | スズキの軌跡+事務所!!
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 いつも大変お世話になり、誠にありがとうございます。

 衆議院解散風が強く吹く中、本日(9月20日)から9月県議会が開会しました。会派「ふじのくに県民クラブ」の先輩議員だった、髙田泰久前議員の辞職とそれに伴う県議補選の結果、本日から私の議席が大きく(議席番号19→29に)変わりました。

 
※昨年度の決算資料もあり、目を通さないといけない資料が山積みです(平成29年9月20日)


 これまで長くいた19番や20番の議席は対面演壇のすぐ後ろで、知事らの表情がよく見え、また本会議場の中央ということで、議場やテレビ局の中継カメラによく写る場所でした。新しい29番の席は端の方の席ということで、議席全体がよく見える一方、座っている知事の姿が殆ど見えない場所です(だから何と言われればそれまでのことですが…)。

 噂される衆院選の告示まで3週間程しかなく、準備のことでどうもそわそわしてしまいますが、県議会議員の本分はしっかりと県議会で議論や提案をすることですので、改めて気を引き締めて、新議席で頑張りたく思います。

 
 略歴を更新致しました。私のこれまでの短い?歴史は以下の通りです(平成29年9月20日現在)。


昭和44年10月1日 静岡市(現駿河区新川)生まれ
平成5年3月 明治学院大学国際学部国際学科卒業
平成6年4月 イギリス・ランカスター大学留学
平成8年9月 イギリス・ランカスター大学大学院修士課程修了
        (平和学にて修士号取得)
平成9年9月 イギリス・ケント大学国際関係大学院修士課程修了
        (国際紛争分析学にて修士号取得)
平成10年5月 株式会社城南進学研究社入社
平成10年9月 国会議員政策担当秘書資格試験合格
平成11年5月 国会議員政策担当秘書
平成18年10月 参議院議員榛葉賀津也 政策担当秘書


 平成21年6月17日 応援に入った川勝候補の選挙事務所にて
(知事選告示日(6月18日)の静岡新聞朝刊に掲載された写真のため、モザイクが入っています)


知事選後に川勝知事から頂いた色紙

平成21年10月 衆議院議員津川祥吾 政策担当秘書
(~平成23年2月)

 
「仕分け人」の津川祥吾議員と共に、国の事業仕分けに参加(平成22年5月20日)

平成23年4月10日 静岡市駿河区選挙区にて16,844票を獲得し、静岡県議会議員に初当選(41歳)


初心忘れず、頑張ります!


投票日翌日の新聞記事(平成23年4月11日読売新聞)


平成27年4月12日 14,776票を獲得し、静岡県議会議員2期目当選(45歳)

※選挙ポスター
※選挙公報
※地元の交差点で朝の演説(平成27年4月6日)
※当選証書


平成28年11月12日 静岡県ふじのくに防災士

 ※ふじのくに防災士養成講座修了証書



[現在]  静岡県議会議員(2期目)
       所属会派: ふじのくに県民クラブ(政策調査会長)
       所属委員会: 文教警察委員会(副委員長) 
             社会資本・まちづくり特別委員会
      
       
      ★現在の議席表(29番が私の席です)

     民進党静岡県総支部連合会県民運動委員長

[家族] 妻1人(シンガポール国籍)
     娘2人(日本とシンガポールの二重国籍)
     ミニウサギ1匹(メス) 
     嬉しいことに!?女性に囲まれて生活しています     



 ご覧下さり、ありがとうございます。

若者の県外流出は悪いこと?

2017-07-12 | 人口減少問題とDIY主義!
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外で学び働くことも奨励すべき
 
 6月25日に行なわれた静岡県知事選挙で、現職の川勝知事が三選を果たしました。川勝知事のこれまでの三度の選挙全てに私は直接関わってきましたが、今回は川勝知事を全面的に応援する県議会会派「ふじのくに県民クラブ」の政策調査会長として、選挙における政策作りやアンケートへの回答、政見放送等の担当という重責を頂きました。何とか無事に責任を果たすことができ安堵した半面、特に旧静岡市内における厳しい結果については真摯に受け止めなければいけないと思っています。県政の一端を担う者として、しっかり肝に銘じて、今後の議員活動を進めていきます。

 今回の県知事選に先立ち、県内では計3回、立候補予定者による公開討論会が行なわれました。そのうちの2回は10代、20代の若者が中心となって企画したものでした。そこで特に議題となったのが若者流出問題。静岡県では10代後半や20代の若者が毎年数多く県外に転出しているということから、若者流出を何とか防ぐべきという意見が多く聞かれました。

 しかし、若者流出は静岡県にとって悪いことばかりなのでしょうか?川勝知事も、ご自身は京都出身ながら東京の大学に進学し、後に英国に留学。その後、県外で働いてきたという自己体験から、「県内の若者が県外や海外で勉強したり就職したりすることが全て良くないとは決して思っていない。実際に私も県外や海外の大学で勉強し仕事をしてきた。県外や海外での勉強や就職も同時に奨励したい」という趣旨の発言を公開討論会でされました。

 私も全く同感です。何故なら、相互依存や国際化・地球化が更に進むこれからの時代には、県外や海外で様々な勉強や経験をした若者がますます必要となるからです。私自身も旧静岡市での生まれながら、神奈川県にキャンパスのある大学に進学し、英国に留学。国会議員政策担当秘書として埼玉県や東京・永田町で12年近く働いてきました。そうした経験からも言えることは、重要なのは、県外や海外で学び働いている方々が、時間が出来たら帰省したい、いつかは戻って仕事をしたい、暮らしたい、と常に思い続けてもらえるような静岡県であり続けること、そのための努力をすることではないでしょうか。

 もちろん、静岡県に残って、ずっと働き続けてもらえる若者の存在も重要です。しかし同時に、若者の皆さんが県外や海外で様々な挑戦をすることも積極的に応援すべきと考えます。


大学新設で若者流出が止まる?

 若者が県外に流出する要因の一つとしてよく挙げられるのが、「県内の高校卒業生が進学できる大学が不足している」というものです。そのため、県内にもっと大学を作るべきという意見も、今回の知事選でも度々聞かれました。また実際に、静岡市議会等でそうした議論がされたこともあります。

 私は、県内高校生の受け皿を増やすことを目的とした公立大学の新設には基本的に反対です。何故なら、日本全体で若者人口の減少が続く昨今、国公立・私立を問わず大学経営は一層厳しくなってきており、そうした状況は当面続くからです。また大学を新設した場合、評価や学生のレベルがより高い大学を目指すことになるでしょうが、より良い大学の実現と若者流出阻止の両立は極めて難しいからです。

 その典型例が、秋田県にある国際教養大学です。経営の悪化により閉校したミネソタ州立大学秋田校の旧校舎を活用して、秋田県が平成16年に開校しました。それから10年余りしか経っていないにも関わらず、4年間全て英語による授業というようなユニークなグローバル教育カリキュラムが極めて高い評価を受けており、入試の難易度は既に東大京大レベルです。また、今年の4月時点で47の国や地域の計185大学と交流提携していることが証明するように、海外からも高評価を得ています。


※国際教養大学を視察(平成27年8月4日)


 しかし、そうした「超難関大学」となったために、秋田県立の大学であるにも関わらず、秋田県内の高校卒業生にとっても入学が難しくなってしまったのです。今年の4月現在で、国際教養大学の学部生869名のうち、都道府県別で最も多いのは秋田県出身学生であるものの、計116名、僅か13%程しかいないのです。秋田県に次いで多いのが東京都出身の100名。それに神奈川、千葉、埼玉出身の学生も加えれば計218名にもなり、4人に1人が実は首都圏・関東出身の学生なのです

 因みに、静岡県立大学における静岡県出身学生数(本年5月現在)は、学部生2783名中1762名で約63%にもなります。その割合は上昇傾向にあり、県内の若者の流出を防いでいるという意味では良いことなのかもしれません。しかしそれは、県外の高校生にとって県立大の魅力が低下しつつあることを意味していることも忘れてはいけません。

 また、県外からの学生が多いとしても、卒業後、県内企業にその多くが就職していればむしろ若者獲得に貢献していると言えます。しかし、国際教養大学の場合はそうではありません。1学年の定員は175名で毎年同程度数の学生が卒業していますが、秋田県内の企業に就職したのは大学設置後初めて卒業生を輩出した平成19年度から24年度までで計52名だったそうです。つまり、年に10名にも満たないのです。卒業生の殆どは県外、海外の大学院に進学もしくは企業や組織に就職しているのです。秋田県は10億円ほどの運営費を国際教養大学に毎年交付していますが、その意義については、秋田県議会等でも度々議論になっているようです。

 やはり重要なのは、前述のように、県外や海外で活躍している若者が、いつも誇りに思う故郷として静岡県があり続けることだと考えます。そのために、引き続き努力していきたく思います。


※若者流出については、今月の「すずしんラジオ」でもお話しします。是非お聴き下さい!


 お読み下さり、ありがとうございます。

溝口候補のおかしな主張③「補助金・公共事業志向」

2017-06-24 | 必見!の所見
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 まだまだ言い足りないのですが、静岡県知事選も残り数時間という状況ですので、溝口紀子候補のおかしな主張についての私なりの(つまりあくまでも私個人の見解です)解説はこれで最後にしたいと思います。

 溝口候補は当初は完全に無所属の状態で立候補表明をされました(と私は理解しています)。しかし、結果としては、全県とまではいかないものの、独自候補を擁立できなかった自民党の地域支部等から強力な支援をもらいながら選挙戦を展開したようです。

 だからというわけではないかもしれませんが、溝口候補の主張や考えを聞いていると、溝口候補は従来の自民党型の補助金行政や公共事業重視の政治を志向しているように私には思えてなりません。

 例えば、溝口候補は、「県の防潮堤整備は1%しか進んでいない」と川勝候補を批判し、自分が知事になったらもっと積極的に整備を進めるという趣旨の発言をされています。しかし、まず、この「1%しか防潮堤整備が進んでいない」という表現が、かなり誤解を生む言い方になっています。何故なら、それだけ聞きますと、静岡県では防潮堤整備が全く進んでいないかのように思えますが、レベル1地震に伴う揺れや津波を防ぐための防潮堤等の整備は、これまでの対策により既に58%が完了しています(防潮堤等の整備が必要な海岸線290.8kmのうち、169.3kmは既に整備済み)。残りの42%、121.5kmのうち、2013年から16年までに整備が済んだのが「0.28/121.5=1%」なのです。

 防潮堤等の整備が必要な海岸線や地域については、1日も早く完成することが基本的に望ましいとは思います。しかし、東日本大震災以降、かつてなかったような立派な防潮堤が完成した被災地域において、「本当にこんな立派な防潮堤が必要だったのか」「これではせっかくの美しい景観が台無しではないか」等の声が多く聞かれることも考えれば、闇雲に整備するのではなく、整備対象の地域で十分な議論や調整が行われることが不可欠です。地震津波対策を全面的に見直した2013年以降、今後整備が必要な海岸線のうちまだ1%しか進んでいないというのは、正にそうした対話が行われているからこそです。そうしたプロセスを無視した主張は、かつて、地域住民の反対を押し切って次々と公共事業を進めた自民党の土建政治を彷彿させるもののように私には聞こえてなりません。

 また、驚いたのは、県民の命や生命を守るために進めるというよりも、静岡県の経済を発展させるための手段として防潮堤等の整備が位置付けられている点です。溝口候補の選挙公報等には、「強くて安心な県土をつくるため、防災の強化を図ります」という項目が「1.経済の発展 速やかな経済政策の実行」の中の一つに置かれています。これは正に、従来の自民党的土建政治の発想そのものではないでしょうか。

 そして、公開討論会等で溝口候補が主張されていて、おかしいと思わずにいられなかったのが、「人口が静岡県よりも少ない長野県は国から60件、6億円余りの補助金を獲ってきているのに、静岡県はわずか22件、4億円ほどしか補助金が獲れていない。これは市町との連携が出来ていなかったり、国とのパイプが細いからだ。私が知事になったらもっと補助金を獲ってくる」という趣旨の発言です。

 これは内閣府が進める「地方創生推進交付金対象事業」のことを指しているようです。本年度予算で国が1000億円計上している「地方創生推進交付金」を都道府県や市町村が行なう事業に対し交付するというものです。確かに、どうせもらえるならもらった方がいいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、この「地方創生推進交付金」の場合、国が交付するのはあくまでも事業費全体の半分です。残りの半分は事業を実施する都道府県や市町村がまずは負担する必要があります。「まずは」としたのは、この地方負担分は「地方財政措置を講じる」とされているからです。簡単に説明すれば、財政的に余裕のある一部の自治体を除き、毎年、国から地方自治体には地方交付税が交付されます。その地方交付税交付金の金額を算定する際に、地方が負担した半額の分を算入するというものです。つまり、制度上は、当初、自治体が負担した分も後で地方交付税交付金という形で戻ってくることになっており、それだけを見れば、補助金はもらわないと損ということになるかもしれません。

 しかし、現在は、本来、地方に交付されるべき交付金が全額、地方に支払われているわけではありません。国も財政が厳しいということから、交付金の一部は、臨時財政対策債という形で自治体がまずは借金をしているのです。この臨時財政対策債もいずれは国が面倒を見るということになっていますが、臨時とは言いながら2001年から現在までずっと続いている制度であり、そのため、例えば、静岡県における臨時財政対策債の発行残高は既に1兆1千億円を超え、未だに増え続けています。つまり、今後、ますます国・地方とも財政状況が厳しくなることを考えれば、約束している通り、国が臨時財政対策債の償還に必要な金額全てを負担するとは考えにくいと言わざるを得ません。

 加えて、この「地方創生推進交付金」は今後ずっと続く制度であるとは限りませんから、人材育成や観光促進等のソフト事業を新たに行う場合には、交付金が無くなった後(この制度では3~5年後は交付金に頼らずに進めることが求められています)も地方独自の負担等だけで継続できるようにする必要が当然ありますし、この交付金を活用して施設等を整備する場合には、交付金が無くなった後も、地方の負担だけで維持管理等が出来るようにしておく必要があります。

 地方財政措置も含め、当初は国が実質全額を負担するとしても、いずれそれなりに地方独自の財政負担も発生するのですから、とにかく補助金を獲ってくるべきというのは、財政規律を無視した主張と言うべきものです。人口減少や超高齢化がますます進む以上、財政上状況も更に厳しくなるのですから、後に様々な負担を生むこととなる事業は最大限少なくする、理想を言えば、いずれは無くなる補助金に頼ることなく、独自の財源内で必要な事業を行なえるようにしていくことが現在特に求められているはずです。

 前述のように、溝口候補は、長野県より静岡県は国から獲った補助金が少ないと川勝候補を批判していますが、静岡県より大規模な自治体、例えば、東京、神奈川、愛知、大阪等が獲得した交付金の額は静岡県よりも少ないのです。こうした自治体に対しても、溝口候補は同様の主張をされるのでしょうか。


内閣府地方創生推進事務局「地方創生交付金の交付対象事業の決定について」より

 
 私は今回、知事選の前に県内で行われた計3回の公開討論会全てに参加し、溝口候補の主張や意見を聞いてきました。川勝候補も言っていますが、私も、あれだけ川勝候補を批判し、独自の候補を擁立すると言ってきた自民党が断念するという厳しい状況の中で溝口氏が立候補されたことについては、心から敬意を表したく思います。そして実際に溝口候補の堂々たる話し振りを見聞きして「さすが元オリンピック選手」と素直に感じました。ただ、そうした話し振りであるが故に、これまで説明してきた、誤解を生みかねないおかしな主張を、疑うことなく受け入れてしまう方々も少なくないのではないかと危惧しています。そこで、投票日の直前にはなってしまいましたが、敢えて、溝口候補の主張の問題点の一部について、私の責任で、解説致しました。知事選での投票における判断材料に少しでもなれば幸いです。

 お読み下さり、ありがとうございます。子ども達や更に先の世代の将来のためにも、必ず投票に行きましょう!

溝口候補のおかしな主張②「全国ワースト4位」

2017-06-24 | 人口減少問題とDIY主義!
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 静岡県知事選は残り1日ですが、前回に引き続き、溝口紀子候補のおかしな主張について私なりに(つまりあくまでも私個人の見解です)解説したいと思います(時間もありませんので全部で3回シリーズとなります)。

 溝口候補が当初から述べている(溝口候補のホームページ選挙公報、証紙ビラ等でも触れられています)主張の1つが、「人口減少数で全国ワースト4位(2016年度調査)という現状は、バランスを欠いた政策の結果です」(※溝口候補のホームページより引用)というものです。

 この「人口減少数でワースト4位」というのは恐らく総務省統計局が今年の1月31日に公表した「住民基本台帳人口移動報告2016年結果」で、2016年における静岡県での転出超過数が6390人で、北海道、熊本県、兵庫県に次ぐワースト4位になったことを指すものと思われます。

 しかし、まず正確を期するのであれば、その数はあくまでも転出超過数であり、人口減少数では決してありません。なぜなら、人口の増減は、転出・転入のいわゆる社会増減と出生・死亡の自然増減の和であるからです。社会減、つまり転出超過が大きくてもそれを上回る自然増があれば結果として人口は増えることになりますから、2016年の静岡県の人口減少数が全国ワースト4位という表現は不正確です。ちなみに、2015年10月1日から2016年9月30日における静岡県の人口減少数(社会増減+自然増減)は12677人で都道府県の中で7番目に多い人口減少数となっています

 ただそれ以上におかしい点は、転出超過の状況や比較を絶対数だけで考えている点です。この点につきましては川勝候補も公開討論会で指摘をしていますし、私も2年ほど前のブログで書いています(「人口転出問題:冷静で長期的な議論と対策を」)。言うまでもなく、都道府県の人口規模はバラバラです。1300万人を超える東京都から、60万人に満たない(つまり静岡市よりも人口が少ない)鳥取県まであるのですから、そうした規模の違いを考えずに、転出超過数を単純に比較するのはあまり意味がないと考えます。

 仮に、東京都と鳥取県の年間転出超過数が共に千人だった場合、絶対数の順位では同じということになりますが、その影響は当然違います。言うまでもなく、千人転出超過の影響は東京都よりも鳥取県の方が、人口比でいえば20倍以上大きいのですから、都道府県ごとの転出超過の問題は絶対数ではなく転出(もしくは転入)超過率で考えるべきです。ちなみに、転出超過数で北海道に次ぐワースト2位を記録した2014年では、静岡県の転出・転入超過率(つまり社会増減率)はワースト21位でした(2016年分については残念ながらまだ計算していませんが順位は改善されているはずです)。

 更に、前述のように、人口の増減は、社会増減と自然増減の和で決まります。人口減少問題ではどうしても転出超過・社会的流出に焦点が当たりがちですが、第一次ベビーブーマーである団塊の世代の方々が80歳代に突入する2025年に向けて、そしてそれ以降もしばらくは、自然減の増、つまり「死亡増」がどの都道府県も例外なく人口減少の大きな要因となります。つまり「多死時代」の到来です。当面は加速度的に死亡数が増えていきますので、社会増減数ばかりに注目したり一喜一憂することは、人口減少問題の本質から目をそらすことになります。その意味からも転出超過数が全国ワースト4位だったことを声高々に言うのは建設的ではないはずです。

 そして最後に指摘したいのは、溝口候補は川勝県政8年間において人口減少が進んだことを「川勝県政の失敗」だと結論として主張したいようですが、これも明らかに短絡的な議論だということです。2015年に行われた国勢調査の結果によれば、前の調査が行われた2010年から15年にかけて人口が増加したのは47都道府県のうち8都県。ちなみに静岡県は人口増減率は17位(つまり人口減少率でワースト31位)でした。任期中に人口が減少した事実だけをもって県政は失敗したとするなら、全国39の道府県知事は全て失政を行なったことになってしまいます。乱暴な議論であることは言うまでもないでしょう。


※「平成27年国勢調査 人口等基本集計結果概要」より(※赤丸は筆者)


 これは県政に限った話ではなく、国や市町村においても基本的に共通することですが、国立社会保障・人口問題研究所や各自治体が独自に作成した将来人口推計(例えば、静岡県の将来人口推計)が示すように、少なくとも今後数十年間は人口減少を止めることはできません。ですので、私もブログで繰り返し主張してきましたが、小手先の政策による一時的な人口減少抑制策ではなく、人口減少や超高齢化が進むことを前提とした政策や仕組み作りを今から進めることが不可欠なのです。

 今回の知事選に当たり、私も所属する県議会会派「ふじのくに県民クラブ」では、そうした長期的な視点も踏まえた「2017→2022 政策ビジョン」を川勝候補と連名で作成しました。全4ページの簡単な資料ですので、是非一度お目通して頂きたく思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。

溝口候補のおかしな主張①「-3%」

2017-06-24 | 必見!の所見
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 静岡県知事選は残りわずかですが、先日お話ししたように、溝口候補のおかしな主張について私なりに(つまりあくまでも私個人の見解です)解説したいと思います(もっと早くに出来れば良かったのですが多忙な選挙活動等のため、今になってしまいました)。

 溝口候補が繰り返し述べている(選挙前の公開討論会(6月5日の浜松会場と6月7日の静岡会場)でも言われていましたし、報道によれば出陣式等でも発言されているとのこと。但し、溝口候補のホームページ選挙公報では触れられていませんので、選挙直前に加えられた主張の1つと思われます)主張の1つが「平成26年度の静岡県の実質経済成長率はー3%で全国最下位。川勝知事の経済政策が失敗したことの現れだ」という趣旨のものです。

 この溝口候補の言う「静岡は-3%で全国最下位」とは、内閣府が先月5月26日に公表した平成26年度の「県民経済計算」の結果とりまとめで明らかにされたもので、それ自体は否定できない事実です。6月5日の浜松での公開討論会の際に、溝口氏はその内閣府の資料の一部と思われるものを示しながら(ちなみに、公開討論会で資料を提示したのは明らかにルール違反でした)-3%について言及し「(静岡県の)経済が全然活性していない」と川勝候補を批判されました

 全国で最下位という結果は5月26日の公表により初めて明らかになったものです。しかし、「-3%」という数字は既に昨年の11月30日に静岡県が公表していました。ですので、溝口候補が強調したかったのは静岡県が全国最下位だったという事実かと思われますが、「最下位=川勝県政の失敗」という理屈は余りにも短絡的だと考えます。

 「-3%」の理由について、昨年11月に静岡県政策企画部が取りまとめた「平成26年度静岡県の県民経済計算(概要版)」は、平成26年4月に実施された消費税引き上げ後の駆け込み需要の反動が大きく、輸送用機械(自動車等)等の製造業が振るわなかった等としています。つまり、平成25年度には消費税増税前の駆け込み需要があり(平成25年度の静岡県の実質経済成長率は2.2%)その反動が翌26年度に生じたというのですから、これは川勝県政というよりも消費税増税という国策によるものと言うべきでしょう。

 47都道府県のうち、21の県で実質経済成長率はプラスであり、消費税増税の反動の影響を静岡県ほど受けていない県も少なくありません。しかし、例えば、26年度の実質経済成長率が1位となった宮城県の主な要因が復興特需であることからも明らかなように、都道府県によって経済・産業の構造や状況は異なり、よって成長率のプラスマイナスの理由もそれぞれ違ってきます(例えば、農林水産業や観光が主要産業である県では天候不順・異常気象という不可抗力により成長率がマイナスになったりします)。ですので、単年度の数字だけを見て、政策の成功だ、失敗だというのは実に短絡的ではないでしょうか。


※静岡県政策企画部が作成した「平成26年度静岡県の県民経済計算(概要版)」2ページ


 また、それよりも重要な問題点と思われるのが、-3%の数字だけを切り取り、他の統計については触れていない点です。県民経済計算では実質経済成長率に加えて一人当たり県民所得についても取りまとめていますが、平成26年度の一人当たり県民所得における静岡県の順位は前年度の4位から3位に上がっているのです


※静岡県経営管理部作成資料(赤丸は筆者が加筆)


 所得の額そのものは前年よりも減少していますので諸手を挙げて喜ぶわけにはいきませんし、実質経済成長率と同様にその背景は単純ではないでしょうから、川勝県政の成功の現れと直ちに言うつもりはありません。しかし、県民生活への影響という点では、実質経済成長率「-3%」よりも県民所得の順位が上がったことの方が意味は大きいのではないでしょうか。実際、前述の内閣府の公表を報じた翌日の新聞記事は、どれも県民所得に焦点を当てた内容となっており、「静岡県最下位」については記事の終わりで少し触れる程度です。


※内閣府による県民経済計算結果のとりまとめを報じた5月27日の新聞記事コピー


 以上、簡単な説明ですが、冷静なご理解、ご判断を賜れば幸いです。

 お読み下さりありがとうございます。

 

「川勝平太」私論

2017-06-20 | 必見!の所見
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 6月8日に告示された静岡県知事選も残りわずかとなりました。ただ、残念ながら未だに関心度や盛り上がりは低調のようです。また、私も応援している川勝平太・現職静岡県知事候補は、その発信力や行動力から、熱烈な支援者を数多く獲得している一方、私から見ればかなり誇張されたイメージが伝わってしまっているせいか、否定的なご意見を持っている方々も少なくないようです。

 川勝候補は今回3期目の挑戦をしています。私はその全てにかなり川勝候補に近い立場から関わってきました。現在私が2期目の静岡県議会議員として活動している元々のきっかけは、実は、川勝候補の最初の選挙を手伝った際に、川勝候補のユニークな人柄に接したことです。そして今回の選挙では、所属する県議会会派「ふじのくに県民クラブ」の政策調査会長を本年度務めることになったことから、川勝候補選対本部の政策担当としても現在活動しています。そのため、今まで以上に川勝候補と共に行動したり政策等について話し合う機会を得ました。

 そんな身近なところから川勝知事・候補を見続けてきた者として、今回は「川勝平太私論」を述べたいと思います。


学者らしくない知事・政治家らしくない知事

 私が初めて川勝平太候補に接したのは、最初の選挙である8年前。私は当時、民主党静岡県連会長、そして今の民進党県連会長である榛葉賀津也・参議院議員の政策担当秘書でした。榛葉事務所からのスタッフとして応援に入り、静岡駅南口にあった川勝平太選挙事務所近くのビジネスホテルに3週間程泊まり込んで(当時は埼玉県富士見市に住んでいたため)選挙戦に当たりました。

 
※2009年6月18日に静岡新聞に掲載された写真。告示日前日の慌ただしい選挙事務所の様子です。静岡県知事選挙告示日の朝刊に掲載されたため、川勝平太候補の文字や写真等がモザイク処理されています。8年前は白髪はまだほとんどなかったなあと改めて思います。あと、当時はスマホもまだなかったですね。

 
 当時は民主党が政権を獲る直前。そのため、来たる衆議院総選挙への勝利につなげるべく、民主党本部は、当時の鳩山代表が何度も静岡県に来るなど、総力を挙げて川勝候補を応援しました。私の主な役割は、そうした党本部から次々に派遣される党幹部や党所属国会議員の日程等の調整・管理でした。

 ただ、時折、川勝候補と共に静岡駅周辺の企業等に挨拶周りに行く機会がありました。何分、時間がない中での選挙戦でしたので、訪問先に関する資料を特に用意することもなく川勝候補をお連れしましたが、そこで驚いたのは、川勝候補は、政策等の同じ話を毎回繰り返すのではなく、訪問先の対応者の関心を引くように、話す内容を臨機応変に変えるところでした。慣れた政治家であれば当然のことですが、当時の川勝候補は政治家としては全くの初心者。そして学者出身ということで、頭の固い人かもと最初は勝手ながら想像していたのですが、直ぐに全く違うことに気付きました。

 また、川勝候補は静岡県出身ではありませんが、富士山(「富」=ものの豊かさ+「士」=徳を備えた心豊かな人)のような日本(人)を目指すべきとする「富国有徳」という川勝候補が以前から主張していた考えを、前任者の石川元知事が取り入れ、また静岡文化芸術大学の学長に招かれたことからも明らかなように、川勝候補は静岡県とは長い縁があるだけでなく、富士山を仰ぐ静岡県を本当に心から愛している、静岡県出身ではないからこそ静岡県の良さを客観的に知っている人だということも同時に強く感じました。8年前の選挙の時から、富士山を前面に出して静岡県を世界にアピールする、観光立県にするという趣旨の想いを生き生きと語っていました。実は以前から政治家を目指していたのではないかと思わせるような語り振りでした。8年前から既に、学者らしくない政治家だったのが川勝候補なのです。

 当時の私は、仕えていた榛葉議員が参議院総務委員会に所属していたこともあり、地方自治にも関心を持つようになっていました。そんな中、川勝候補に出会い、選挙を手伝う間に、「川勝候補が知事になった静岡県で県議会議員として人口減少問題等に取り組んだらかなりやりがいがあるだろう」と強く考えるに至りました。そして2年後の県議会議員選挙でお陰様でその想いを実現することが出来、今に至っています。


※8年前の選挙で当選後に川勝知事から頂いた色紙。


※川勝知事と意見交換(2014年7月)


 このように、川勝候補は、私の知る8年前から学者らしくない政治家・知事でした。その一方、特に私が県議会議員になってからの6年間、川勝候補と様々な形で連携したり議論したりする中で同時に感じているのは、川勝候補は、政治家らしくない知事でもあるということです。

 詳しくは後日改めてお話したいと思いますが、例えば、今回の選挙でも厳しい声が寄せられる田辺・静岡市長との関係について。一言でいえば、これはいじめでも高圧的な態度でも全くなく「激しい政策論争」。ただ私も正直に思うのは、時折、かなり強い表現を使うことがあり誤解の原因にもなっていることからそれは改めるべきということ。しかし、そうした感情的な表現を使うのは、川勝候補の正直さ、真面目さと、静岡市への強い愛情から発せられているものだと私は理解しています。

 良し悪しは別として、表現を曖昧にするなり、適当なところで論争を止めたりすることも出来るはずですが、川勝候補は記者さんから問い掛けられると引き続き応えたり議論を続けたりしてしまう。改めるべきところもあろうかと思いますが、こうした人柄や性格は、この8年間、静岡県のことを国内外に強力にアピールしてきた川勝候補のユニークな発想や発信力の源でもあり、こうした言わば政治家らしくない部分は、今後も持ち続けて頂きたいと私は思います。

 そんな川勝候補と残り数日間、想いや政策を一人でも多くの県民の皆さんに伝えるべく、出来ることをやり切っていきます。その一環として、本来であればもっと早く出来れば良かったのですが、もう一人の候補者である溝口候補は、かなり乱暴で大きな誤解を生みかねない主張をされていますので、それらへの反論や解説を、川勝選対本部の政策担当として(しかし、あくまでも私個人の見解であり、文責は私個人にあります)何回かに分けて行いたいと思います。


※アピタ静岡店前での街頭演説の後に川勝平太候補、福村隆・静岡1区総支部長佐藤成子・静岡市議会議員と(2017年6月12日)



 お読み下さり、ありがとうございます。



 



 




「ふじのくに県民クラブ」政調会長に。

2017-04-21 | スズキの軌跡+事務所!!
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 いつも大変お世話になり、誠にありがとうございます。

 来月5月1日から所属会派「ふじのくに県民クラブ」の政調会長に就任することになり、本日、川勝知事に新役員で新任挨拶に伺いました。

 ※平成29年4月19日静岡新聞記事
 

 多くのマスコミの皆さんが取材に来られましたが、もちろん注目は川勝知事の選挙出馬の件。正式には来週25日の定例記者会見で川勝知事は考えを表明される予定であり、伺った目的はあくまでも次期役員としての挨拶です。とはいえ、私たちは以前から「川勝知事が次の選挙にも出馬すべきであり出馬するはず」と考えていましたので、一昨晩からの報道もあり、出馬は当然という前提でお話をさせて頂きました。


※5月1日からの「ふじのくに県民クラブ」新役員と川勝知事です。右から、曳田卓・総務会長(沼津市)、岡本護・会長(浜松市中区)、川勝知事、三ツ谷金秋・幹事長(磐田市)そして私です。


※冒頭はマスコミの皆さんも入っての挨拶ですので、多少、冗談も交じります。話の核心はマスコミの皆さんが退席されてから…

 
 6月8日の知事選告示までわずか6週間余り。どのように準備を進め何を訴えていくのか等の具体的な話は来週から本格化すると思いますが、次期政調会長として、次の4年間に特に取り組むべき課題・政策について分かりやすく訴えることができるよう、会派の考えをまとめていきたく思います。

 
 
 略歴を更新致しました。私のこれまでの短い?歴史は以下の通りです(平成29年5月1日現在)。


昭和44年10月1日 静岡市(現駿河区新川)生まれ
平成5年3月 明治学院大学国際学部国際学科卒業
平成6年4月 イギリス・ランカスター大学留学
平成8年9月 イギリス・ランカスター大学大学院修士課程修了
        (平和学にて修士号取得)
平成9年9月 イギリス・ケント大学国際関係大学院修士課程修了
        (国際紛争分析学にて修士号取得)
平成10年5月 株式会社城南進学研究社入社
平成10年9月 国会議員政策担当秘書資格試験合格
平成11年5月 国会議員政策担当秘書
平成18年10月 参議院議員榛葉賀津也 政策担当秘書


 平成21年6月17日 応援に入った川勝候補の選挙事務所にて
(知事選告示日(6月18日)の静岡新聞朝刊に掲載された写真のため、モザイクが入っています)


知事選後に川勝知事から頂いた色紙

平成21年10月 衆議院議員津川祥吾 政策担当秘書
(~平成23年2月)

 
「仕分け人」の津川祥吾議員と共に、国の事業仕分けに参加(平成22年5月20日)

平成23年4月10日 静岡市駿河区選挙区にて16,844票を獲得し、静岡県議会議員に初当選(41歳)


初心忘れず、頑張ります!


投票日翌日の新聞記事(平成23年4月11日読売新聞)


平成27年4月12日 14,776票を獲得し、静岡県議会議員2期目当選(45歳)

※選挙ポスター
※選挙公報
※地元の交差点で朝の演説(平成27年4月6日)
※当選証書


平成28年11月12日 静岡県ふじのくに防災士

 ※ふじのくに防災士養成講座修了証書



[現在]  静岡県議会議員(2期目)
       所属会派: ふじのくに県民クラブ(政策調査会長)
       所属委員会: 産業委員会(副委員長)
            
      ★現在の議席表(対面演壇後ろの20番の席

     民進党静岡県総支部連合会県民運動委員長

[家族] 妻1人(シンガポール国籍)
     娘2人(日本とシンガポールの二重国籍)
     ミニウサギ1匹(メス) 
     嬉しいことに!?女性に囲まれて生活しています     



 ご覧下さり、ありがとうございます。

将来世代の視点に立った、静岡県のフューチャーデザインを!:県議会一般質問(2)

2017-03-30 | 活発!な活動報告
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 昨年12月12日に、通算で6回目となる一般質問を本会議で行いその質問原稿については前回掲載いたしました。それから時間が経ってしまいましたが、県側の答弁と再質問の議事録そして若干の説明を掲載致します。


★1.県人口200万人台に備えるための取り組みについて
(1)「将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定」について


吉林章仁・副知事 県人口二百万人台に備えるための取り組みについてのうち、将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定についてお答えをいたします。

 本県は、本格化する人口減少を克服し将来に向けて持続的な発展を実現するため長期人口ビジョン及び総合戦略を策定いたしまして、その対応に向けた取り組みを推進しております。本県の長期人口ビジョンは国に先駆けて設置した有識者会議からの提言を踏まえ、人口減少を抑制する戦略と人口が減少しても快適で安全な社会を創造する人口減少社会への適応戦略の両面からの取り組みにより、相乗効果の発揮と好循環の確立につなげていくという本県独自の視点に立ったものであります。

 長期人口ビジョンにおいて示されました二〇六〇年に三百万人程度で均衡するとの長期的な展望を背景に、その社会に適応するため今後五年間の取り組みを示す総合戦略にはコンパクトなまちづくりの推進や集落ネットワークの形成促進、インフラ資産の長寿命化の推進、公共施設の総量適正化などを掲げております。これはまさにフューチャーデザインとしての長期人口ビジョンとバックキャスティングの視点からの施策を取り組んだ総合戦略を一体的に策定したものでございます。

 しかしながら、本県の明るい未来を県民の皆様と切り開いていくためには長期人口ビジョンで展望する将来の姿をより一層明確化する必要があります。そうしたことから本年一月に次代を担う若者たちによる県民会議を立ち上げ、人口減少社会に対し将来どのような社会を目指していくのか、未来の主役である若者たちとその戦略について議論を深めているところでございます。

 今後は、将来の世代に加えまして専門家にも参画をいただきながらフューチャーデザインについての検討を深め、最終的に長期人口ビジョンで展望する将来の姿に産業構造や就業環境、社会インフラなどを加えまして、よりわかりやすく県民の皆様にお示ししてまいりたいと考えております。

 こうした長期的な取り組みに加えまして、来年度は後期アクションプランの最終年となりますことからこれまでの若者県民会議での意見を参考に本県の未来の姿をシミュレーションをし、その結果を次期総合計画に的確に反映させることによりまして県民の誰もが幸せと感じ世界から憧れを呼ぶジャパニーズドリームの理想郷づくりに取り組んでまいります。以上であります。

鈴木智再質問 長期ビジョンについて再質問したいと思います。

 昨年よりは前向きな答弁をいただいたかと思いますが、より具体的な答弁をいただきたいと思います。

 先ほど、長期人口ビジョンの話が出てまいりました。私が言っている長期ビジョンというのはあくまでもその長期人口ビジョンに対してどう対応するかというところでございますのでその点をもう少しはっきり言っていただきたいんですが、その長期人口ビジョンでは先ほども話がありましたが二〇六〇年ごろには県人口は二百万人台にも突入するということでございます。つまり人口が二割減るわけですから、単純に考えればそのころまでにインフラも少なくとも二割は減らしていかなければ維持管理はかなり難しくなるということになってしまいます。

 ただ、言うのは簡単ですが例えば道路や水道等を人口減少に合わせて減らすのは決して容易ではありません。だからこそ将来世代の視点に立ってフューチャーデザインとしての包括的で具体的なビジョンをつくり今から備えることが必要だと考えておりますが、再度答弁をいただきたいと思います。

森貴志・政策企画部長 将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定の再質問にお答えいたします。

 長期ビジョンといいますかフューチャーデザインの話でございますけれども、フューチャーデザインとして二〇六〇年に我々は長期ビジョンとしての人口減少のビジョンを持ってございまして、確かにそこはまだ人口減少の話だけでございますので、そこに産業構造、それから就業環境等社会インフラに含めましてですね、その人口ビジョンをより充実させていきたいというのがフューチャーデザインの我々の考え方ですけれども、そのフューチャーデザインそのものにつきましてそれをバックキャスティングで実行していくというこの考え方は、例えば地球温暖化防止とか非常に大きな地球のうねりの中で考え出されたものというふうに聞いてございます。

 確かに、人口減少の問題につきましては大きなうねりの中で減少をいたしますので、実際に減少をとめる施策とそれから減少にあっても適応する社会というのは実現しなければならない。そのために総合戦略というものをバックキャスティングの形で今現在行っているところでございますけれども、期間というのがございまして人口減少の問題につきましては二〇六〇年、長期を今考えて、その中では足りないものをこれから含めて長期ビジョンを充実させていこうというのが一つございます。

 それから、総合計画がまた来年度以降ですね、新たな総合計画を立てるわけですけども、これは大きなめどとして十年間、それも十年先を見据えてバックキャスティングの方法で検討したいというふうに現在考えてございます。以上私どもの考えでございます。以上でございます。


★1(2)「「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方」について

森貴志・政策企画部長 県人口二百万人台に備えるための取り組みについてのうち、次代を担う若者たちによる県民会議の役割と運営のあり方についてお答えいたします。

 次代を担う若者たちによる県民会議は、人口減少社会に対し将来どのような地域を目指していくのかを未来の主役である若者が委員として参画し、みずからが考え意見を交わす場とするために設置したものであります。七月に開催した第二回の会議では、より論点が明確になるよう全体会議の前にグループ討論を実施したところ、委員同士による活発な議論が行われました。委員からは引き続きグループによる議論を深め、若者の望む社会のあり方として県への提言を取りまとめたいという意欲的な申し出をいただいております。

 このため、今後県では委員を中心にワークショップを継続的に開催し、静岡県の理想の未来像についてより長期的な視点に立った検討を進めてまいります。検討に当たりましては議員御指摘によりますフューチャーデザインの考え方に基づき議論を一層深めることができるよう、グループ討論への場に専門家の派遣や先進事例調査をあわせて行ってまいります。さらに将来の経済社会の動向に関する具体的なシミュレーションや分析結果を当会議に提供するなど議論を喚起する工夫を図り、本県の将来ビジョンへの有益な提言をまとめていただけるよう運営方法の充実を図ってまいります。以上であります。


■評価 具体的に県側がどのようなフューチャーデザインとしての長期ビジョンを策定していくのか、現時点では不明です。しかし森部長が答弁した通り、新たな形での若者たちによる県民会議ワークショップがこの2月5日から開始され、その第1回目では、議論のための材料提供として、私が質問で紹介した千葉大学の倉阪秀史教授から、未来シミュレーターで見る静岡県の未来の紹介やデータの提示がありました。詳しくは改めてご紹介しますが、他県ではほとんど見られない取り組みが始まっており大変期待しています。


★2.豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて
(1)人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進について

村松篤・交通基盤部長 豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについてのうち、人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進についてお答えいたします。

 本格的な人口減少時代を迎え、超高齢化が加速し、また過去に例を見ないような自然災害が発生していることから、これらの課題に総合的に対応するため災害リスクの低い地域に都市機能や住居がまとまって立地する集約型都市構造への転換を進めていくことが重要であります。

 こうした中、平成二十六年五月に都市再生特別措置法が改正され立地適正化計画制度が創設されました。この制度は人口減少社会に適応したコンパクトなまちづくりを推進することを主眼としたものでありますが、防災対策としても有効であり居住や都市機能を災害リスクの低い地域に誘導することで危険性の高い地域からの住みかえが徐々に進み、効率的で利便性が高くかつ災害にも強いまちづくりを実現させることができます。

 このため県では、これまで土木事務所単位で協議会を設置し、コンパクトシティー化の必要性、重要性や防災対策としての有効性を説明するなど市町に立地適正化計画の策定を促してきたところ、十六の市町で計画策定に向けた取り組みを進めており、来年度には四市において計画が策定、公表される見込みとなっております。

 県といたしましては、今後も引き続き市町への情報提供や助言、意見交換などを重ね、災害に強いまちづくりが進むよう取り組んでまいります。以上であります。

鈴木智再質問 防災型土地利用規制についてでございます。

 本当は、防災型土地利用規制について直接御答弁いただきたかったんですが、これはやはり部がまたがってしまうということでまちづくりという方向で御答弁いただきましたけれども、ぜひ深い答弁をいただきたいと思います。というのは先日の我が会派の代表質問に対する答弁もそうでございましたけども規制については国の調査や対応を待つという姿勢がどうしても見られております。ただ御案内のとおり静岡県は皆さん防災先進県と言っているわけでございますからぜひですね、国や他県に先んじて政策を実施するべきだと思っています。

 例えば、断層についてこれ前回質問させていただきましたけども、県独自で調査をしてそして建築基準法第三十九条に基づいて災害危険区域に指定すれば県独自の土地利用規制もできるわけですからぜひとも防災先進県らしい積極的な対策を行うべきだと考えますが、ぜひ知事の答弁をお願いしたいと思います。以上について答弁を求めます。

村松篤・交通基盤部長 人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進についての再質問についてお答えいたします。

 議員の御指摘は国のいろんな法とかそういうものを待たずにということで、県独自でいろいろ進めていったらどうかということが一つございました。現在でもですね、建築や開発等の土地利用の規制につきましては土砂災害特別規制法――土砂法によるものですとか地すべり防止区域、これは地すべり等防止法です。それから急傾斜危険区域、これも急傾斜の法でございますが、それから現在津波対策特別警戒区域というところで新たな法が出ているものもございますが、その中で一定の規制をかけているといったところでございます。

 それから、断層の点について今議会の中でもあった点かと思います。これにつきましては危機管理部長がお答えしてましたけども断層についても特定についてなかなか難しいという話がございました。これらについても徳島県でしたっけ、やっている条例があるというような話も伺っておりますので、いずれにしましてもいろんな規制がですね、危機管理部それからくらし・環境部のほうとも関連がございますのでいろんな関係機関と調整しながら今先生が言った御趣旨を踏まえて検討していくというふうにしていきたいと思います。以上でございます。


■評価  防災型土地利用規制についてはほぼゼロ回答とも言うべき答弁でした。規制を掛けることは、対象となった地域の印象や評判を悪化させることにもつながりかねず、行政側が慎重になるのはある意味やむを得ない部分もあります。しかし、正にフューチャーデザインとして長期的な視点からまちづくりを考えた場合、防災型土地利用規制の推進は不可欠です。今後も引き続き質問等を通じて働き掛けていきたいと思います。


★2(2)「包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進」について

川勝平太知事 鈴木智議員にお答えいたします。

 豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについてのうち、包括的な人口減少・超高齢化社会対策としてのいわゆるごちゃまぜの地域づくりの推進についてであります。

 静岡県では、個人が人としての尊厳を持って家庭や地域の中で年齢や障害の有無にかかわらず誰もが住みなれた地域で安心して暮らせる社会を目指し、福祉関係者だけでなくて企業を初めNPO、ボランティア、地域住民などさまざまな方々が福祉活動や住民活動にかかわり支え合う共生の地域づくりを理想とし、それを進めております。

 具体的には、ふじのくに型福祉サービスとして地域の方々だけでなく障害を抱えた方や長寿者の方々が自由に気軽に交流できる居場所、あるいは年齢や障害の有無にかかわらずサービスが受けられる共生型福祉施設を地域に設置するなど垣根のない福祉サービスの提供に取り組んでおります。また自治会や老人クラブなどと連携し地域の支援を必要とされる方々を日常的に見守り支え合う取り組みや、身近にある地域包括支援センターで介護のほか医療や生活保護など複合的な課題に対応できるワンストップ相談を行うなど、ともに支え合う地域づくりを推進しているところであります。

 希望の丘にお触れになりました。希望の丘、平成二十七年四月二十五日にグランドオープンしたわけですが、私はその記念式典に参りましてまことに感心いたしました。病院、介護施設、障害者施設、特別支援学校、保育園、総合相談窓口などさまざまなサービスを提供する施設が一カ所に集まっており、かつ交通の便も非常にいいところに位置しているわけでありましてすばらしいと思いまして、そして先般総合防災訓練を行いましたが、掛川で行いましたときにもここを重点的に視察をさせていただきました。ここでトリアージほか、中東遠の総合病院に持っていく前にこちらで患者さんを、あるいは障害者、あるいはけが者の方々を助けるというようなことが合理的に行われていたわけです。さらに十月非公式ではありますけれども福祉に関心のあるイギリスから――実際はスコットランドでございますけれども御視察がございまして、そのときにも掛川市の御協力を得て私はここのところを見てほしいというふうに推薦した場所が希望の丘でございました。

 議員御指摘のとおり、CCRCこれは高齢者を対象としたものでございますけれども、この長寿をことほがれている方々が小さな子供たちなどと一緒に、かつ病院も近くにあるということ、大変すばらしいもので、これは金沢で始まったシェア金沢からかもしれませんけれども本県の誇るものではないかと、これからのCCRCのモデルにするべきものではないかというふうに思っているところであります。

 この取り組みというのは、ふじのくに型サービスをさらに進めるものでありまして、村上龍さんが言われたんですか、ごちゃまぜとは。なるほど。いろんなものを相和すということですからある意味で日本型と言っていいかと思います。さまざまなものが一緒になって、かつそれぞれの独自性、独自の役割を持ちつつもお互いに支え合うという形、大いなる和と、大和、やまとの言ってみれば福祉サービス拠点として育てていき、またPRしていくべきものであるというふうに思う次第であります。呼び名はともかくといたしまして、こうした議員御提案のごちゃまぜの地域づくりを推進していくことが大事だと考えております。

 本格的な人口減少・超高齢社会が到来する中で、県民の皆様が快適で安心して暮らせる地域を実現するには新しい社会システムを創造するという発想を持って、既存の分野にとらわれず子育て、教育、働き方、福祉、社会インフラなど包括的な観点に立ち、人口減少社会に適応した地域づくりを進めることが重要です。

 県としましては、今後も子供や女性、若者、高齢者、障害者など全ての県民が支え合いながら生き生きと活躍できる豊かな人口減少社会の実現を目指し、よりよい福祉サービスの提供に努めるとともに、議員御提案のごちゃまぜという観点も参考にしながら地域コミュニティーの活性化や多世代の世代を多くまぜた交流の促進、都市機能の集約など地域のさまざまな主体が参画する未来型のまちづくり戦略に市町と一体となって取り組んでまいる所存であります。以上であります。


■評価 具体的に何かが変わるような答弁があったわけではありませんが、川勝知事が「ごちゃまぜの地域づくり」について理解を示したことは大変意味があると思っています。今後の展開が楽しみです。


★3.非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について
(1)審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準について
(2)歴史的公文書の保存・公開の機能強化について


伊藤篤志・経営管理部長 非現用文書を含む公文書の保存、公開の強化及び徹底についてのうち、審議会等の議事録等に係る作成、公開の基準についてお答えいたします。

 本県では、情報公開制度の充実のため公文書開示制度と情報提供施策の両面から制度を運用しております。情報提供施策のうち政策形成過程における情報を公開する取り組みとして平成十年度から審議会等の議事録を公開しております。

 議事録の作成及び公開の対象となる審議会等には、法律や条例に基づき設置される附属機関だけではなく要綱等に基づき設置される懇話会等の附属機関に準ずる機関も含めており、議事録の作成、公開の方法は情報提供の推進に関する要綱等において定めております。このうち議事録の作成に当たりましては全文筆記または要点筆記のいずれかとしております。いずれの場合でありましても県民への説明責任の観点から審議の内容や経過をわかりやすく記載するよう全庁的に周知徹底を図っているところであり、所管課の恣意的な判断や裁量に委ねられる仕組みとはなっておりません。

 議事録は公開が原則でございます。その上でホームページ上での情報提供につきましては会議終了後一カ月以内の日から公開し、対象審議会等が廃止され一年が経過したものはホームページから削除することとしております。現在活動している審議会等の議事録のホームページ上の掲載期間は当該審議会等の目的、性格や審議の内容等を勘案しまして担当課が適切に判断するべきものと考えておりまして、各課に一任しているところでございます。

 今後とも、情報提供の推進に関する要綱等に基づきながらホームページ上での情報提供を含めた情報公開制度全体を適切に運用することにより積極的な情報の開示、提供に努め、県行政の透明性を高めてまいります。

 次に、歴史的公文書の保存、公開の機能強化についてであります。

 歴史的に価値ある公文書は県民共有の貴重な財産であり、これを適切に保存し県民の皆様がいつでも利用できるようにすることは県の責務であると認識しております。このため県では、平成三年度から保存期間の満了した公文書を対象に選別作業を開始し、平成二十一年度より順次公開してまいりました。

 本県は、現在単独施設としての公文書館は有しておりませんが、まずは歴史的公文書を適切に保存し県民の皆様の閲覧等に供するという公文書の館機能を他の都道府県と比較して遜色のないよう整備していくことが必要であると考え、機能の充実に向け取り組んでいるところでございます。具体的には歴史的公文書を良好な状態で保存するため、今年度田町文庫に可動式書棚や空調設備を設けて保存機能の強化充実を図っているところでございます。

 今後も、建築基準法に基づく地盤、外壁、屋根の劣化等の点検や文庫内の保存文書の状態の確認を定期的に行いまして、必要な対策を講じるなど適切な維持管理に努めてまいります。

 議員から御指摘をいただきました、想定し得る最大規模の降雨による洪水が発生した場合などの対応につきましては今後検討してまいります。また現状では公開文書数や閲覧者数が少ないことは御指摘のとおりでございまして課題として認識しております。今年度は新たにマンパワーを投入して公開文書数の増加を図っております。さらに閲覧したい文書名など県のホームページから検索して閲覧等申出書を作成できるシステムを開発し、今月一日から運用を開始しております。年内には国立公文書館のホームページでも検索が可能となる予定であります。これにより対象文書へのアクセス機能は格段に向上し、閲覧者の増加にもつながるものと期待しております。

 今後も、公開文書数のさらなる増加に向けまして精力的に作業を進めるとともに、閲覧場所や閲覧の方法、開発した検索システム等について積極的に広報を行い、県民の皆様の利用をさらに促進してまいります。以上であります。

鈴木智再質問 二問まとめて再質問したいと思います。

 まずは、この一番のほうの議事録等にかかわる作成、公開の基準については、一言で言えばこれまで大丈夫だということだと思うんですが、ただ先ほども御指摘しました、これ教育委員会の話になってしまうんですけども中央図書館整備の検討に関する有識者会議については全く教育委員会のホームページに載ってないんですね。先ほど審議会あるいは審議会に準ずる会議等の議事録が載っているという話だったんですが、この点についてどのようにお考えかお答えいただきたいと思います。

 それと、公文書館設置の必要性については最近では天野一先輩が本会議で何度も取り上げてきました。そのたびに正直今のような答弁をですね、経営管理部長――当時の土屋部長もされてましたけども公文書館機能を一層充実させると繰り返し答弁してきたわけですけども、いまだに先ほど指摘したように県の公文書館機能は隣の神奈川県とは雲泥の差があると言わざるを得ないと思っています。

 その理由に、私は公文書は将来世代も含む県民の共有財産であるとの認識が残念ながら県庁内では不十分なのではないかと感じております。財政的な制約が恐らくあったと思いますしこれから検討するとは言われましたけども、公文書を長期的に保存するための施設をわざわざ洪水のおそれがある安倍川のすぐ脇につくるという発想そのもの自体がまさにそうした認識の示唆のあらわれではないかと思っています。また先ほど紹介しました昨年の文化・観光部における件におきましても、公開の是非や公開内容の判断がばらばらだったという背景にはやはりそうした同様の認識不足があるのではないかと考えております。

 川勝知事御自身は、知事室のドアを開けっぱなしにしたり移動知事室ですとか知事広聴会を県内各地で実施しておりまして、その点については私まさに開かれた県政の実現のために努力されているということで評価をいたしておりますけども、ただ残念ながら県庁全体としては私は不十分でないかと思っています。

 いま一度、知事のリーダーシップで積極的、具体的な基準の策定や公文書館機能の抜本的な強化を早急に行うべきと考えますが、ぜひとも知事の再答弁をお願いしたいと思います。以上よろしくお願いします。

伊藤篤志・経営管理部長 非現用文書を含む公文書の保存、公開の強化及び徹底についての再質問にお答えいたします。

 まず、有識者会議等で議事録等の公開がなされていないものがあるということでございますが、こうしたその対応がですね、各部局、各課で徹底していないことは大変申しわけないなと思っています。積極的な情報公開というのは県のスタンスでございますので、こうした対応がなされないようにしっかりと各課、各部のほうに指導してまいりたいと思っています。

 それから公文書館でございますけれども、対応がおくれていたことは事実でございます。そういった中で昨年度方向性を決定しまして少なくとも公文書の保管、そうした公開の機能につきましては新しい建物はつくりませんけれども他県には負けないような遜色のない機能をつくりたいということで本年度からでございます、本年度から施設の整備とともに公開のソフトのインフラ整備をしているところでございます。

 ただ、これも確かに十分ではございません。現在公文書館を整備している都道府県が全部で三十五ございます。これらと比べて歴史的文書を選別している冊数だけでいいますと本県は中位というところでございます。その中で公開冊数につきましては下位から二つということで、非常に議員が御指摘のとおり公開機能が非常に薄いということでございます。

 本年度、そこに向けた非常勤職員でございますけれども職員を増員しまして公開機能に向けた冊数をふやすという努力も進めております。それも決して十分だと思っていませんのでそういった対応をですね、少なくともことしそして来年以降も続ける中でしっかりと県の歴史的文書を良好に保存して、そして県民の方々に利用しやすい形で活用していただくとそういったことにつきましても心がけていきたいと思います。

 その中で、現在教育委員会等におきまして図書館機能の検討をする協議会、懇話会等の中で公文書館の機能も検討されておりますので、そういった検討の状況も見きわめた上で今後の対応を検討してまいりたいと思っています。以上でございます。


■評価
 公文書の保存、公開の強化については前向きの回答を得られませんでしたので、また改めて質問したいと思います。一方、公文書の公開については対応が遅れていることを伊藤部長が認めたことは大きな成果です。歴史的公文書の公開が更に進むよう、引き続き働き掛けていきたく思います。


★4.県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について


木苗直秀・教育長 県情報の集積・発信拠点であり、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館についてお答えいたします。

 県立中央図書館は、県民のさまざまなニーズにより的確に応えていくことが求められております。そのため東静岡駅南口に計画されている文化力の拠点では広く県民を対象に生涯学習、読書活動の推進等を行い、現在の谷田の施設では落ちついた環境を生かして歴史的資料の保存、公開と調査研究支援事業を行うことが望ましいと考え、それぞれの立地の特色を生かした整備を行う方向で検討を進めております。

 現在、他県の先進的取り組みについて調査を行うとともに、図書館や読書活動の専門家、市町立図書館職員、さらに利用者等を構成員とする有識者会議を設置し、さまざまな見地から意見を伺っているところです。会議の中では市町立図書館資料を含めた歴史的価値の高い資料をデジタル化して保存、公開する機能や静岡県の公文書館的機能、豊富な資料と専門性の高い職員による課題解決型支援機能など時代のニーズに応える新たな機能の必要性について提案を受けております。

 県教育委員会といたしましては、こうした意見を尊重するとともに、今後も引き続き図書館を利用するさまざまな団体の意見も伺い、新しい時代にふさわしい県立中央図書館のあり方についてさらに議論を深めてまいります。以上であります。

鈴木智再質問 まず、先ほど御指摘しました有識者会議の会議録、ホームページ上に全く反映されておりませんので早急にそれを反映していただきたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

 また、今さらに議論を深めていくということでございましたが、先ほど申し上げました半年で結論を出すというのは私は拙速だと思っていますので、ぜひその来年三月までに基本構想案や基本計画案をつくるというスケジュールは見直していただいてさらに時間をかけて検討すべきと思いますが、その点について具体的に御答弁いただきたいと思います。

 また、先ほども御紹介しました神奈川県ではですね、平成二十四年十月に緊急財政政策として横浜と川崎にある二つの県立図書館を統合し一般の閲覧や直接の貸し出しをやめて市町立図書館を通じた貸し出しのみに機能を絞るという案を県が提案したのに対しまして、有志の方々が神奈川県の県立図書館を考える会を立ち上げまして考える会を中心に県民的な議論が盛り上がりました。そしてようやく四年たったんですけどもことしの十月に県の教育委員会は再整備に向けた考え方をまとめたわけでございます。

 ですから、同様に静岡県でも全県的な会議体を設けるなり、あるいは県民の皆さんにそうした会の設置を促して神奈川県のような全県的な議論を行うべきと考えますが、その点についても答弁をお願いしたいと思います。以上についてお願いいたします。

木苗直秀・教育長 有識者による会議ということで検討ということは議論が拙速ではないかというような御質問いただいたんで、それについてお答えさせていただきます。

 有識者会議については今年度は四回を予定しております。会議でいただいた意見を踏まえて基本構想案を策定していく予定でありますが、さらに来年度以降も基本計画案を策定していく上で検討を続けてまいりたいと思います。そのためには必要に応じて有識者会議を継続して意見をいただきながら、よりよい図書館づくりを目指していきたいと考えております。以上です。

鈴木智 要望とさせていただきますが、先ほど触れました有識者会議のホームページの掲載を含めまして、ぜひ本当のこれから目指すべき県立図書館は何なのか考えて、県民の皆さんに考えていただけるような議論を深めていただくことをお願いしまして私の質問を終わります。どうもありがとうございました。


■評価 木苗教育長は慎重に議論していく趣旨の答弁をしましたが、具体的に今後どのように県民を巻き込んだ形で議論を進めていくかは現時点では不明です。そこで、「すずきさとる新聞(すずしん)」最新号でこの質問と同様の趣旨で「県立中央図書館のあるべき姿とは?」と題して採り上げ、3月27日の朝刊に折り込んだり、街頭活動での配布やポスティングを始めたところ、県民の皆さんから電話やメールで賛同のご意見を頂きました。県民的な議論が少しでも盛り上がるよう、広く訴えていきたいと思います。 

 お読み下さり、ありがとうございます。

将来世代の視点に立った、静岡県のフューチャーデザインを!:県議会一般質問(1)

2016-12-15 | 活発!な活動報告
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 12月12日に、通算で6回目となる一般質問を本会議で行いました。

 まず、その時の質問原稿を掲載致します。長文ですがお読み頂ければ幸いです。


 ※質問項目一覧

 ※質問の様子です①


 ふじのくに県民クラブの鈴木智です。分割方式で質問致します。

1.県人口200万人台に備えるための取り組みについて
(1)将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定


 最初に、「県人口200万人台に備えるための取り組みについて」のうち、「将来世代の視点に立ったフューチャーデザインとしての長期ビジョンの策定」について伺います。

 「Wood Job!」という平成26年に公開された映画があります。大学入試に失敗した主人公が、1年間三重県の山奥の村で林業研修を受け、都会では出来ない様々な経験を通じて成長するという青春ドラマですが、その中に次のようなシーンがあります。

 競りで樹齢105年の木が1本80万円で売れたことを知り、山の木を全部切り出したら億万長者になれる、と主人公は言います。それを聞いた親方たちは「自分が生きとるうちのことしか考えんのか。先祖が植えたもん全部売ったら、次の世代、その次の世代はどうするんや。仕事の結果が出るのはおれらが死んだ後や」と、主人公を諭す、というものです。 

 今後少なくとも数十年間は人口減少・超高齢化が進行し、かつての高度成長期のような経済発展が見込めない時代にいる私たちには、何世代もの先の子孫のことを考えて山や森を守ってきた、林業家のような思想の実践が求められていると考えます。

 例えば、既に巨額な残高があるにもかかわらず、私たちは今もなお県債を発行してインフラ整備等の事業を行なっています。インフラは将来世代にとっても有用であるため負担をお願いしています。しかし、現在、維持管理や新たな整備が行なわれているインフラが、例えば、県人口が200万人台に突入した時の将来世代にとって、維持管理と県債返済のための多額の負担をしてまでも必要なものなのかと言えば、少なくとも、そうした視点での議論は、現時点では不十分ではないでしょうか。

 つまり、現在の課題の克服のために進めているインフラ整備や事業は、将来世代にとっては、財政負担に見合うほどの必要性がない、むしろ迷惑なものになる可能性が出てきているということです。そのため、将来世代の視点にも立ちながら、政策を考え実行することが今まさに必要だと考えます。それには、将来を起点に、今後起こり得る問題を予測し、それらを克服・回避するために、今から何をすべきか議論するという「バックキャスティング」の観点から、「フューチャーデザイン」としての、数十年先を見通した長期ビジョンを作ることが不可欠なはずです。昨年9月の代表質問で同様の趣旨でグランドデザイン策定の必要性を質した際、今後検討するとの回答でしたが、改めて県の決意を伺います。

 
(2)「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方

 次に、「次代を担う若者たちによる県民会議」の役割と運営の在り方について伺います。

 昨年の私の代表質問を受けて設置された「次代を担う若者たちによる県民会議」は今までに2回開催され、どちらも傍聴しました。若者らしい発言が出されるものの、全体的には、我々でも提案できるような内容に留まっていました。先日12月4日に開催された「静岡市わかもの会議」の最終報告会も傍聴しましたが、同様の問題が感じられた内容でした。

 その理由は大きく二つあると思っています。一つは、前述の、長期的な視点がないために、今後深刻化する課題の構造に踏み込めておらず、目前の問題の克服ばかりに議論が終始し、その結果、対処療法的な提案に留まっています。二つ目は、県民会議のメンバーによる議論が継続的ではないために、表面的な内容で終わってしまっているようです。

 そのため、県民会議の役割として、当面は次期総合計画への提言を目指ざしながら、前述のフューチャーデザインとしての長期ビジョンを策定すべきです。既に、岩手県矢巾町ではフューチャーデザインの方法論を用いての「2060年矢巾ビジョン」の策定を進めており大いに参考にすべきです。また、千葉大学では、自治体等と連携して2040年の産業構造、人的資本、住宅、森林、財政等の状況を具体的にシミュレーションし、今後の課題を議論するという「オポッサム」プロジェクトを進めています。県民会議にも大変有益な取り組みだと考えます。

 また、日頃から議論を深めるために、大学教授等の専門家にも加わって頂きながら委員をワーキンググループに分け、時には視察や合宿、ワークショップを開催する等の運営改善が必要だと考えます。県の今後の方針について伺います。


 ※質問の様子です②


2.豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて
(1)人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進


 次に、「豊かな人口減少社会を実現するためのまちづくりについて」のうち、「人口減少対策にもなる防災型土地利用規制の推進」について伺います。

 皆さん、平成23年3月11日午後2時46分に発生した地震の名称をご存知でしょうか。「東日本大震災」では実はありません。正確には「東北地方太平洋沖地震」です。「東日本大震災」は、この地震による災害を指す名称です。

 地震等の自然現象の発生を止めることはできません。しかし、震災のような社会現象である災害リスクの最小化は可能ですし、ゼロにすることも目指すべきです。

 災害リスクを、ハザード、被災対象、社会の脆弱性の積の合計と考えた場合、災害リスクを減らすために、現在の私たちは、主に「社会の脆弱性」を最小化するための取り組み、例えば防潮堤や避難施設の整備等を進めています。

 しかし、南海トラフ巨大地震では、想定される被災地域が東日本大震災の数倍、被害規模では10数倍という甚大さを考えれば、十分な支援物資や救援人材が来るまでには、相当の期間を要することが予想されます。また、私の住む中田小学校区の人口は約1万4千人ですが、避難所となる中田小と中田こども園の収容可能人数は1200人程度であることからも明らかなように、避難所は住民の一部しか受け入れられないのが現実です。

 よって、「社会の脆弱性」の最小化だけでなく、中長期的には、「被災対象」となる人口を減らす取り組み、究極的には、「避難する必要がないまちづくり」を進めるべきです。具体的には、土砂崩れ、津波、洪水、火山噴火そして、わが会派の代表質問でも取り上げた、断層のずれによる直下型地震等の恐れがある地域に対する土地利用規制を積極的に推進することが不可欠であると考えます。また、そうした危険性のある地域への定住を抑制する取り組み、例えば、該当地域にある住宅を購入・賃貸する際にはハザードマップの提供を早急に義務化すること等も必要ではないでしょうか。

 こうした「防災型土地利用規制」の推進は、自然災害の危険性が高い周辺地域から安全な中心市街地等への移住を促進することにもなり、人口減少対策としても大変有効なはずです。

 従って、防災型土地利用規制を積極的に進めながら、その前提として、都市計画的な視点から、自然災害、人口減少、超高齢化といった様々な課題に対応できる「まちづくり」を進めるべきと考えますが、県の今後の決意を伺います。


(2)包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進

 次に、「包括的な人口減少・超高齢化社会対策としての「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進」について伺います。

 県ではこの度「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想」の枠組みを活用した「伊豆半島生涯活躍のまちづくりビジョン」を策定しました。このビジョンは「移住ありきではない」とはしているものの、いずれはアクティブシニアが県外から移住定住することを想定しています。

 確かに現在は県外からのアクティブシニアの移住定住が一定数あるものの、同様の取り組みが全国各地で進んでいることや、東京圏でも2020年頃から人口減少が始まり、更に2040年頃からは高齢者人口の減少も予測される中、アクティブシニアの移住を当てにした取り組みの実現性や持続性には疑問を持たざるを得ません。

 そもそも移住定住が可能なアクティブシニアは行政の支援をあまり必要としない層です。本来行政が最優先で取り組むべき対象は、家族等の支援すら十分に受けることが出来ない生活弱者ではないでしょうか。例えば、障がい者、貧困に苦しむ子育て世代、年金が十分でない一人暮らしの高齢者等です。

 そうした生活弱者と地域の方々を「ごちゃまぜ」にした街づくりを進めているのが、「Share金沢」で有名な石川県の社会福祉法人佛子園です。これまでのように、子育て支援、障がい者支援、貧困対策、高齢者対策等を縦割りに進めるのではなく、「ごちゃまぜ」というキーワードが象徴するように、包括的な人口減少・超高齢化社会対策として地域づくりを進めることこそが今後は不可欠だと考えます。

 静岡県は「共生」「垣根のない福祉」をキーワードにした「ふじのくに型福祉サービス」を進めていますが、「ごちゃまぜの地域づくり」はそうした福祉の枠を超えたものです。

 作家の村上龍氏は次のような応援メッセージを寄せています。「佛子園の理念・方針は「ごちゃ混ぜ」と表される。似たような意味でよく使われるのは「共生」だが、きまじめな印象になる。同じ街で、障がい者、高齢者、それに子どもたちが、ともに接するのは、当然のことながら簡単ではなく、「きまじめ」では限界があり、ときに何らかの反作用が起こるときもある。必要なのは「きまじめ」ではなく、人間味溢れ、懐深い、ユーモアのようなものだと思う。それに、「やってあげる」「やってもらう」が基本となる福祉は、ともすれば「見返り」や「依存」を生じさせ、破綻することも多い」。

 こうした「ごちゃまぜ」の地域づくりの推進について、県の今後の方針を伺います。

 以上について、答弁を求めます。


 ※質問の様子です③


3.非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について
(1)審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準


 次に「非現用文書を含む公文書の保存・公開の強化及び徹底について」のうち、「審議会等の議事録等に係る作成・公開の基準」について伺います。

 審議会等の議事録は政策や方針等の決定に至るまでの過程の記録であり、議論が適切に行われているか随時確認するため、そして、議論の結果がどのように施策に反映されたのか、あるいは何らかの問題が生じた場合の原因を事後的に検証するためにも、議事録を適切に作成し公開することは、納税者や将来世代に対する責任として、極めて重要です。

 しかしながら、昨年、公募型プロポーザル方式による設計者の選定に係る審査会の議事録について、文化観光部の2つの課で開示に関する判断が分かれた例のように、審議会や審議会に準ずる機関の議事録の作成や公開を、どこまですべきかの判断が各課の裁量に任されており、基準は明らかに曖昧です。

 また、ホームページ等での情報提供においても、何をどのようにどの期間掲載するか、そして過去の情報の掲載内容や期間等についても各課が判断しており、積極的な情報提供が行われているとは言い難い状況です。

 例えば、知事記者会見の記録は、現在は川勝知事のものしか掲載されていませんが、これでは歴代知事の会見等をホームページで検索や確認をすることができません。首相官邸のホームページでは歴代首相の記者会見も掲載されており、静岡県も同様にすべきです。

 また、後ほど取り上げる「中央図書館整備の検討に関する有識者会議」についても、教育委員会のホームページには全く掲載されていないようです。これで本当に全県民のための新しい中央図書館が実現できるのでしょうか。

 過去の情報も含め、迅速かつ徹底した情報提供をホームページ上でも行うためにも、例えば、審議会や審議会に準じる機関の議事録等については原則全文筆記により速やかに作成し全面公開することとし、例外的な場合にのみ、要点筆記や、一部もしくは、完全非公開を認めるというような、より具体的、積極的で統一した記録作成・公開基準の策定が必要だと考えますが、県の今後の方針を伺います。


(2)歴史的公文書の保存・公開の機能強化

 次に、「歴史的公文書の保存・公開の機能強化」について伺います。

 歴史的資料も含め、非現用となった公文書を保存する機能は、他の都道府県と比べ貧弱です。例えば、先日視察した神奈川県立公文書館では、貴重な文書が浸水しないよう3階、4階にその殆どが保存され、屋根を二重構造にするという雨漏り対策も行っています。加えて、長期停電への備えとして、貴重な歴史的文書を保存する書庫の室内は停電でも湿度調整ができる木質構造となっています。

 一方、既に35都道府県にある公文書館を持たない静岡県では、将来、歴史的文書として公開される公文書を田町文庫で保存しており、現在、保存機能を高めるための空調工事を行っています。しかし、今年5月に国土交通省が策定した想定最大規模の安倍川洪水浸水想定区域図によれば、隣接の国交省静岡河川事務所より低位置にある平屋の田町文庫は浸水区域に入ってしまっています。また、停電対策や雨漏り対策は実施されていません。このように、静岡県では、歴史的公文書を長期にわたり安全・適切に保存する機能が極めて不十分です。

 加えて、静岡県における平成27年度の歴史的公文書の閲覧者数は僅か11人であり、公開冊数も平成27年度末現在で2,075冊です。一方、神奈川県立公文書館においては、歴史的公文書の閲覧者だけでも27年度295人、公開可能な歴史的公文書は27年度末現在で227,732点であることからも明らかなように、公開についても静岡県は他県より極めて低い水準にあります。

 従って、将来的には公文書館の創設も目指しながら、早急に、歴史的公文書の保存と公開の機能強化を進めるべきと考えますが、県の決意を伺います。 

 以上について、答弁を求めます。


 ※質問の様子です④


4.県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について

 最後に、「県情報の集積・発信拠点、県民のシンクタンクとしての県立中央図書館について」伺います。

 教育委員会はこの10月に「中央図書館整備の検討に関する有識者会議」を設置し、基本構想案を検討しています。しかし、この有識者会議は東静岡駅南口に文化力の拠点を整備する構想に引っ張られる形で設置されたものであり、構想の内容や、わずか半年で結論を出すという運営方針を見ても、県民を広く巻き込んでの議論を目指しているようには思えません。

 例えば、東静岡駅南口と谷田に機能が二分される形は、中央図書館にとって本当に望ましい姿なのでしょうか。静岡図書館友の会の皆さんらが危惧するように、機能二分はサービス低下につながる恐れがあり、慎重な議論が必要なはずです。

 そもそも、中央図書館が直面している大きな課題は、老朽化や書庫不足等の物理的な問題だけでなく、人口減少・超高齢化の進展やICT技術の急速な発達、そして市町立図書館が充実してきた時代において、県立図書館が果たすべき役割は何か問われていることです。

 中央図書館の利用登録者の約78%が静岡市民ですが、県民の税金によって運営されている全県民のための図書館である以上、浜松・湖西市民や下田市民にも必要とされるには、どのような役割、機能を果たすべきか。一般県民を巻き込んだ議論が4年近く行われている神奈川県のように、議論を広く深く徹底的に行うべきではないでしょうか。

 現在の基本構想案は、例えば、「新県立中央図書館の目指すべき姿」は3年前に教育委員会内部でまとめられた報告書をほぼ踏襲したものです。前述の公文書館的な機能の追加等、新たな視点もあるものの、新図書館が目指すべきとしている面積や収容能力等は、他の県立図書館の平均値であったり現在のペースで蔵書が増え続けた場合に必要な能力であったりするなど、現在の延長線上で考えられた平均的な図書館構想と言わざるを得ません。

 拙速に半年で結論を出すのではなく、今まで中央図書館を利用したことがない、存在すら知らない県民まで巻き込んだ議論を十分に行って構想を策定することにより、全県民からその存在意義を認められる、静岡県情報の集積・発信拠点を第一に目指すべきです。具体的には、前述の公文書館的な機能に加え、神奈川県立図書館が公文書館等と連携して構築している「神奈川県行政資料アーカイブ」のような、県や市町が作成する電子化された行政資料や公文書をも収集し公開する、正に静岡県に関するあらゆる情報の集積・発信拠点です。そして、隣接の県立大学の図書館や先生方との連携等により、高度な課題解決の支援を行う県民のシンクタンクとしての中央図書館を目指すべきと考えますが、県の今後の方針を伺います。

 以上について答弁を求めます。


 原稿は以上ですが、実際の質問では再質問もしています。答弁内容と一緒に、後日説明したいと思います。

 お読み下さり、ありがとうございます。

静岡県ふじのくに防災士になりました。

2016-11-14 | スズキの軌跡+事務所!!
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 いつも大変お世話になり、誠にありがとうございます。

 この9月から受講していた「静岡県ふじのくに防災士養成講座」の必修講座が12日で修了し、無事に「ふじのくに防災士」と認めて頂きました。一定数以上の講座を履修すれば獲得できる資格ですが、90分の講座を20以上受講する必要があり、県議会等の仕事の都合もあって、時間のやり繰りが結構大変(AコースとBコースの併用)でした。

 ※ふじのくに防災士養成講座修了証書


 また「ふじのくに防災士」を取得した人にはNPO法人「日本防災士機構」が認証する「防災士」資格試験を受けることができ、12日に早速受験しました。この試験に合格し、救急救命講習を受ければ「防災士」として認証されることになります。


※「静岡県ふじのくに防災士養成講座」のテキストと防災士教本。どちらも300ページ以上あります。


 既に2千名以上の方が「ふじのくに防災士」になられているとのこと。何か特別の技術を持っているわけではありませんが、地域の防災リーダーとして活動することが期待されています。他の防災士の皆さんと連携して地域の防災力向上のために頑張っていきたく思います。
 
 略歴を更新致しました。私のこれまでの短い?歴史は以下の通りです(平成28年11月14日現在)。


昭和44年10月1日 静岡市(現駿河区新川)生まれ
平成5年3月 明治学院大学国際学部国際学科卒業
平成6年4月 イギリス・ランカスター大学留学
平成8年9月 イギリス・ランカスター大学大学院修士課程修了
        (平和学にて修士号取得)
平成9年9月 イギリス・ケント大学国際関係大学院修士課程修了
        (国際紛争分析学にて修士号取得)
平成10年5月 株式会社城南進学研究社入社
平成10年9月 国会議員政策担当秘書資格試験合格
平成11年5月 国会議員政策担当秘書
平成18年10月 参議院議員榛葉賀津也 政策担当秘書


 平成21年6月17日 応援に入った川勝候補の選挙事務所にて
(知事選告示日(6月18日)の静岡新聞朝刊に掲載された写真のため、モザイクが入っています)


知事選後に川勝知事から頂いた色紙

平成21年10月 衆議院議員津川祥吾 政策担当秘書
(~平成23年2月)

 
「仕分け人」の津川祥吾議員と共に、国の事業仕分けに参加(平成22年5月20日)

平成23年4月10日 静岡市駿河区選挙区にて16,844票を獲得し、静岡県議会議員に初当選(41歳)


初心忘れず、頑張ります!


投票日翌日の新聞記事(平成23年4月11日読売新聞)


平成27年4月12日 14,776票を獲得し、静岡県議会議員2期目当選(45歳)

※選挙ポスター
※選挙公報
※地元の交差点で朝の演説(平成27年4月6日)
※当選証書


平成28年11月12日 静岡県ふじのくに防災士

 ※ふじのくに防災士養成講座修了証書



[現在]  静岡県議会議員(2期目)
       所属会派: ふじのくに県民クラブ(政策調査会副会長)
       所属委員会: 産業委員会(副委員長)
            
      ★現在の議席表(対面演壇後ろの20番の席

     民進党静岡県総支部連合会県民運動委員長

[家族] 妻1人(シンガポール国籍)
     娘2人(日本とシンガポールの二重国籍)
     ミニウサギ1匹(メス) 
     嬉しいことに!?女性に囲まれて生活しています     



 ご覧下さり、ありがとうございます。

「服に体を合わせる」ではなく「体に合った服を作る」人口減少対策を!

2016-10-12 | 人口減少問題とDIY主義!
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1.人口減少問題は「体と服の関係」に例えるとわかりやすい

 先月9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」。豊島区等を始めとする東京都の人口が2020年頃から減少に転じること、10年前に財政破綻した北海道夕張市は、元東京都職員の鈴木直道市長の月給は手取りで16万円足らず、老朽化した保育園の耐震化のための予算すら確保できないくらい厳しい状況にあること、島根県雲南市では、財政難のために市民が少ない予算で行政から水道検診等のサービスを請け負いながら高齢者の自宅を訪問する等の取り組みが行われているが、それすら維持が難しくなりつつあること等々の「衝撃的な」内容であり、インターネット上では、放送を見た人たちが絶望の声を上げているそうです

 これまでも私のラジオ番組「すずきさとるのすずしんラジオ」このブログで何度も申し上げてきた通り、国や地方の少子化対策が功を奏して出生率が例えば現在の1.4程度(静岡県は1.5程度)から2まで上昇し維持できたとしても、人口減少は少なくとも数十年間は止まりません。そして当面は同時に超高齢化も進みます。そのため、人口増加を前提とした現在の社会や経済の仕組みを変えなければ、「縮小ニッポンの衝撃」が伝えようとした絶望的な事態はそう遠くない将来に確かに起こるでしょう。


平成26年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」17ページより抜粋


 「縮小ニッポンの衝撃」は是非一度見て頂きたい良作です(※NHKオンデマンド(有料)で見ることができます)。しかしながら「だから何とかしなければならない」という、言わば警告を暗に伝える形で番組を終了している点は残念に思います。なぜなら、前述のように、「人口減少が止まる、あるいは、これから人口増加に転じない限り日本の将来は絶望的だ」という印象を恐らく多くの視聴者に与えてしまっているからです。

 人口減少が負の結果しかもたらさないとしたら、確かにこれから暫くの日本の将来は絶望的、悲観的なものとなるでしょう。しかし、これも繰り返しお話してきた通り、決してそんなことはありません。例えば、日本は人口過密と長年言われてきましたが、人口減少は、物理的にゆとりのある街づくりを可能にします。また、人口減少は究極のエコ、環境対策であり、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入とも相まって、人口減少は自然に優しい低炭素社会の実現にも大きく貢献します。また、大変低いとされる日本の食料自給率も、現在の生産量を維持するだけで、人口減少に伴い相対的に上昇させることができるのです。

 人口減少問題の本質は、体(人口)と服(社会の仕組み)の関係に例えると分かりやすくなります。これまでの日本社会は「若く」、成長期にあり、その体は毎年大きくなっていきました。そのため、服もそれに合わせて大きく、そして経済的にゆとりがあったことから立派なものに作り変えてきました。しかし、日本は今や壮年期に入って体の成長は止まり、そして小さくなりだしました。つまり、このままでは現在の服は大き過ぎて合わなくなる可能性が出てきました。ところが「せっかく作ったお気に入りの服なのに着られなくなるのは嫌だ。どうしよう…」と慌てている、これが現在の日本ではないでしょうか。


2.「体に合った服を作る」人口減少対策

 これまでに大きく成長した体が健康なものであれば、その体型は何とかして維持しなければなりません。しかし、1億3千万人近いという人口規模や現在の都市・街づくりそして日本の社会そのものは果たして「健康」なのでしょうか。

 地元静岡から東京に向かう新幹線で都内に入りますと、家やビルが所狭しと建てられた街並みが線路の両脇に広がります。それを見るたびに、日本の人口は多過ぎるように感じるのは私だけでしょうか。また、日本は、かつて世界2位の経済大国になる程にまで経済発展したにもかかわらず、最近こそ減少傾向にはあるものの毎年2万~3万人の方が自死されています。自信や夢を持って生きることが決して簡単ではない国が果たして「健康」だと言えるのでしょうか。むしろ「(やや)太り過ぎの不健康な体」と言うべきではないでしょうか。

 世界に目を転じれば、人口はむしろ増加の一途であり、経済格差や環境破壊、食料や水の不足、地球温暖化等の問題が進行しています。つまり、人口が増え続けなければ維持できないという今の社会や経済の仕組みを変えない限り、人類や地球は極めて深刻な危機に直面する可能性が大きくなっているのです。そうした問題を解決するには、人口減少・超高齢化の最先進国である日本が、人口が大幅に減少しても豊かな社会を築くことができることを世界に示すことが不可欠なのではないでしょうか。


国際連合経済社会局人口部による世界の将来人口推計グラフ(2015年)。中位推計では2100年の人口は約112億人ですが、出生率が中位推計よりも0.5上昇すれば2100年の人口は現在の倍以上の160億人超にもなってしまいます。 


 加えて、そもそも数十年間は人口減少を止めることは不可能ですから、今の「服」を着続けようとするなら、ほぼ唯一の選択肢として今後暫くは毎年数十万人という移民を海外から受け入れる必要があります。しかし、今もなお十分に国際化しているとは言い難い日本がそうした大量の外国人を問題なく受け入れることができるかと言えば、無理だということは想像に難くないでしょう。

 では、「体に服を合わせる人口減少対策」とは何か。一言で言えば、「人口が大幅に減少し高齢化が進行しても対応できる社会の仕組み作り」です。具体的には、人口が大幅に減少する以上、現在の様々な行政サービスやインフラ等はそうした人口減少を見越して縮小する必要があります。つまり、何でも行政に頼るのではなく、近所や地域で解決できることは解決する、住宅地や市街地を適切に縮小することで、道路、上下水道、電気等のインフラの効率化を図る等の政策や仕組みの実行です。縮小と言うとマイナスイメージばかりのように聞こますが、前述の通り、それは環境に優しい社会に近づくことを意味します。また、人口増加が続いていた頃は、不足する住宅地を確保するために山や崖の近く、川沿いや海岸沿いという、自然災害に合う可能性が決して低いとは言えない場所にも家を積極的に建ててきました。しかし人口減少が進めば、そうした場所に住む必然性は小さくなります。つまり、災害に真に強い社会の実現も可能になるのです。

 人口減少・超高齢化社会の到来で特に問題視されるのは、介護、医療、格差・貧困対策等の社会保障制度の持続性です。確かに、現在の医療保険、年金や介護制度等をそのまま維持することは難しいでしょう。しかし、戦後の歴史を振り返ってみれば、社会保障制度や様々な行政サービスが充実したことにより、地域や社会でお互いに助け合うことが少なくなり、その結果、近所や地域のつながり、そしてコミュニティそのものが弱体化してしまいました。今後は、様々なライフステージで困ったことがあれば近所や地域でお互いに助け合うことが当たり前の社会を再び築くことにより、行政サービスに出来る限り依存しないようにすることが不可欠です。言うほど簡単ではないかもしれませんが、地域の絆やコミュニティの再構築、そして「健康で心豊かな」社会の復元のためにも必要なことだと思います。

 何かと注目されることが多い小泉進次郎氏が先日「人口が減ったって、やっていけるという自信が大切。将来に悲観する1億2000万人より将来に自信と楽観を持つ6000万人のほうが強い。いつか人口が下げ止まるときがきて、そこから力強い成長がある。人口減少を強みに変えよう」とある会合で訴えたそうですが、私も基本的に同感です。これまでの考えや仕組みに囚われ「服に体を合わせる」人口減少対策を進める限り、問題は解決せず将来に悲観せざるを得ないでしょう。発想を変え、人口減少を強みに変える「体に合った服を作る」人口減少対策を打ち出し実行することこそが、今の日本社会が将来への自信や楽観を取り戻すには必要なはずです。政治家の端くれとして、そうした政治の役割の一端を少しでも担うことができるよう、私も引き続き努力する所存です。


※「体に服を合わせる人口減少対策を」と題して、2回にわたり10月(14日と28日)の「すずしんラジオ」で同趣旨のお話をします(インターネットでも同時に放送します)。是非お聞き下さい!


 お読み下さりありがとうございます。

シズオカを世界に売り込め

2016-08-08 | 精確!?な政策提案
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SHIZUOKAは殆ど無名
 
 今年度の県議会では、私は産業委員会に所属(副委員長)しています。文字通り、静岡県の産業に関する様々な問題を扱う委員会ですので、今年度は特に県内外の産業の現場に行き、課題や対応策について徹底的に学んで議論や提案をしたいと考えています。

 参院選投票日翌日(7月11日)に開催された本年度最初の産業委員会で先ず議論したのは、「静岡ブランド」を如何に確立するかについてです。何故なら、海外の様々な方々との交流を通じ「シズオカ(SHIZUOKA)」が如何に知られていないか強く実感しているからです。


※産業委員会で副委員長として質疑(平成28年7月11日)


 例えば、外国の方に「SHIZUOKAから来た」と自己紹介しても、ピンと来る方は余程の日本通です。「へえ~、SHIZUOKAから来たんだ」という返事は基本的に期待できません。それよりも「富士山のあるSHIZUOKAから来た」と最初から言った方が「あの富士山の近くから来たのか」「富士山なら知ってるよ」というように会話が進みやすいのはまず間違いありません。川勝知事が7年前に就任して以来「ふじのくに」という名称が良く使われるようになっているのも、世界的に有名な富士山を前面に出し静岡と結びつけることによって静岡の知名度やブランド力を高めることを大きな目的の一つとしているからです。

 このように、富士山の名称やイメージを上手く使うことが、SHIZUOKAやその製品を世界に売り込むのに最も手っ取り早い方法だと私も考えています。もちろん、実際にSHIZUOKAを売り込むのに必要な戦略は単純な話だけではすみません。県ではこの7月から「マーケティング戦略本部会議」を設置し、民間の専門家も入っての本格的な議論を開始しました。その行方を私も注目していきたく思います。


※シンガポールで開催された国際旅行フェアで法被を着て静岡観光をPR(平成24年8月24日)。微力ながら引き続き静岡の宣伝に努めます!


「静岡茶」はブランド?

 ブランドのあり方が大きな課題になっているものの代表に「お茶」が挙げられると私は以前から考えています。日本一のお茶処である静岡県内で作られているお茶の総称として「静岡茶」と呼ぶことはよくありますが、「静岡茶」とは果たして国内外で十分に認知されたブランドなのでしょうか?

 茶農家や茶商の方にとっては、静岡茶よりはむしろ「本山茶」「川根茶」「掛川茶」等の狭い地域のブランドの方に強い思い入れがあるでしょう。一方、静岡県から暫く離れて暮らしていた私にも良くわかりますが、他県ではそうしたそれぞれの地域ブランドに詳しい方は多くはなく、静岡茶という一括りで販売される方が一般的だと思います。しかしながら、「宇治茶」「狭山茶」等の有名なお茶をそれぞれ「京都茶」「埼玉茶」と呼ぶことは殆どないでしょう。他県とは違い県内各地で様々なお茶が盛んに生産されているが故の問題と言えますが、「本山茶」等の狭い地域のブランドも「静岡茶」も、残念ながら位置付けが曖昧でブランド力不足と言わざるを得ないと思います。

 また、世界に目を転じてみれば、紅茶好きの方でしたら「ダージリン」「アッサム」等のブランドをご存知でしょう。それぞれインドのダージリン地方、アッサム地方で生産された紅茶を指します。一方、自分の留学経験からも言えるのですが、日本一のお茶処である静岡のお茶が静岡茶「SHIZUOKA TEA」として紹介されることは殆どありません。「JAPANESE TEA(日本茶)」の名称の方が遥かに一般的でしょう。

 国内では消費量や価格の下落、後継者不足等の課題がありますが、健康食品としてのお茶の再評価、和食や抹茶の人気に伴う世界的な緑茶需要の増大等、チャンスも広がりつつあります。ただそうした、特に海外での好機を活かすには、静岡のお茶のブランド建て直しが不可欠でしょう。前述の戦略本部会議でも議論される予定ですが、静岡茶というブランドはむしろ捨てて、「魚沼産コシヒカリ」「夕張メロン」のように各々の狭い地域ブランドの高品質さや違いを明快に打ち出す、「富士山ブランド」に統一する等の大胆さが必要なのではないでしょうか。


ブランド化に成功した北海道を見習うべき

 静岡県と対照的なのが北海道です。JR有楽町駅前の東京交通会館1階に北海道のアンテナショップ「北海道どさんこプラザ」があります。年間の利用者数は平成26年度で約230万人。私も何度か行ったことがありますが、いつも人だかりです。一方、同じビルの地下1階にある静岡県の東京観光案内所(英語名:Shizuoka Mt.Fuji Green‐tea Plaza)の平成26年度の来場者数は1日平均51名、年間1万8千人程しか来ていません。

 「北海道の食べ物は美味しい」というイメージ、北海道ブランドが広く定着しており、だからこそ、静岡市内でも頻繁に「北海道物産展」が開かれています。北海道ブランドは海外でも認知され、「北海道どさんこプラザ」は今やシンガポールにも出店しています。中国人観光客が北海道銘菓の「白い恋人」やロイズのチョコレートを静岡空港で沢山買っていくそうですが、これも北海道ブランドの賜物でしょう。


※シンガポールの北海道どさんこプラザ。この3月に実際に見てきました(平成28年3月21日)。


 北海道のようにブランドを確立するのは決して容易ではないでしょう。しかし、静岡県にも北海道に負けない位の素晴らしい観光地や美味しい食べ物が沢山あるのですから、まずは興味を持ってもらうことが先決でしょう。そのためには、中途半端なことをせず、市町と共同で大規模のアンテナショップを開設したり海外でも積極展開をしたりする位の「目立つ」取り組みも必要なのではないでしょうか。引き続き私なりに方策を追究したいと思います。


※8月12日の「すずきさとるのすずしんラジオ」でも同じテーマでお話しします。是非、お聞き下さい!


 お読み下さり、ありがとうございます。