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大改革で魅力溢れる県立大を!

2018-10-15 | 精確!?な政策提案
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直ちに雇止めルール撤回を!


静岡県立大学草薙キャンパス正門(平成30年8月9日)

 
 今年の3月、県立大の有期雇用職員の雇止めが大きく報道されました。公的機関である県立大での雇止めは私にとって予想外で、大変衝撃を受けました。

 また翌4月には、例年のように県立大の入学式に出席しましたが、留学生がかなり少ない印象を受けました。事実、留学生数は平成23年度の147名をピークに減少傾向にあり、平成28年度、29年度は90名をも下回っています


※静岡県立大学草薙キャンパス構内の様子


 この二つの事例は、一見、無関係のようですが、どちらも、県立大の事務局体制に問題がある結果だと考えており、今年の6月議会で質問しました。

 地方独立行政法人化から11年経過したにもかかわらず、県立大が直接採用した、いわゆるプロパー職員は未だに少なく、県派遣職員の比率が高水準です。公立大学協会の資料によれば、県立大のプロパー職員比率は公立大学平均の半分以下です。例えば、秋田県の国際教養大学では、本年度のプロパー職員は49名、県派遣職員はわずか5名です。一方、県立大の本年度のプロパー職員16名に対し、県派遣職員は49名にもなります。

 しかも、県立大では、法人と大学の事務局長、事務局次長等の要職全てを県派遣職員と再雇用の県庁OBが占めています。また、派遣職員は平均3年余で県庁に戻っており、大学事務局長は1、2年で交代しています

 また、県立大では非正規有期雇用職員の比率が高く本年度は79名、全職員144名の約55%です。ちなみに、国際教養大学では本年度職員84名のうち、有期雇用職員は30名、約36%です。そして、有期雇用職員である専門員はかなり高度な職責を担っています。例えば、県立大での、交換留学生の派遣、受け入れ、留学生の勧誘・受け入れ等の主任担当者は専門員1名と事務員1名のみ、知的財産管理体制、特許出願、商標届等の主任は専門員1名のみ、学生の個別就職相談等の主任も専門員1名のみ、となっています。しかし、給与等の待遇において正規職員より冷遇されており、同一労働同一賃金と言える状況にありません。加えて、静岡文化芸術大学職員や、この6月1日から、「優れた人材を確保し育成する観点から」県立大の薬学部、食品栄養科学部、看護学部の教員には認められた無期転換ルールが県立大職員にはなく、有期雇用職員の平均在職期間は3年を大きく下回っています

 こうした状況を鑑みれば、県立大事務局が組織として、知識や経験、人脈・対外関係等を十分に蓄積できる体制にあるとは到底思えません。実際、職員の能力開発も殆ど行われていません。そもそも、県派遣職員や県庁OB中心の体制では、県から自立した公立大学法人・地方独立行政法人としての、民間の発想や手法を取り入れた独自の大学経営は進まないのではないでしょうか。

 以上のような問題が事務局にあるため、入試倍率や外国人留学生の減少、県内出身学生割合の上昇、つまり、県立大の魅力低下を招いていると考えます。

 加えて、事実上、県の組織と言える県立大が、労働契約法改正の趣旨に背き、無期転換ルールを認めず雇止めを行なっていることは、公的組織の社会的義務・役割の不履行です。また、同じく雇止めを実行、検討中の企業や組織に正当化の理由を与えかねません。県内の無期転換対象労働者は推計で約15万5千人。その影響は小さくないはずです。更に、人材養成機関としてもあるまじき行為で、県立大のイメージ低下にもつながっているでしょう。

 質問に先立ち、県立大に雇止めされた40代の女性にお会いしました。子育てが落ち着き、フルタイムでずっと頑張ろうと思っていた矢先に雇止めされたそうです。更に衝撃的なのは、この女性は県立大の卒業生だということです。「生んでよし、育ててよし、働いてよし」の静岡県の大学として、とんでもないことをしてしまったと本当に思います。
 
 従って、労働組合と合意の上での無期転換ルールの早期実施や有期雇用職員の正規職員化推進、プロパー職員採用計画の大幅な前倒し、事務局長、次長等の幹部候補としての大学・企業経営経験者の採用、希望県庁職員の転籍等の実行により、事務局体制の抜本的な改革と強化を早急に進めることが、魅力溢れる県立大実現には不可欠であると考えます。


財政支援強化で改革を後押し!

 アジアで最も評価が高い大学をご存知でしょうか。東京大学でも、北京大学でも、ソウル大学でもありません。それはシンガポール国立大学です。

 今年6月に史上初の米朝首脳会談の開催地として注目されたシンガポールは、ご存知の通り、小国です。総人口は約560万人ですが、シンガポール国籍や永住者の人口は約4百万人。つまり、静岡県より、一割多い程度の国です。

 そんな小国の国立大学の評価がなぜ高いのか。一言で言えば、国を挙げて教育の充実に取り組んできたからです。シンガポールの本年度の教育予算は全予算の約16%です。一方、日本の教育予算は全体のわずか5.5%、シンガポールの3分の1程です

 国と県の違いはありますが、シンガポールを見習って、静岡県も、将来を担う子供や若者たちの教育への投資を充実させるべきです。県立大に関して言えば、国が国立大学への運営費交付金を毎年減額しているのに倣って、1%の効率化係数により約22百万円、県立大への運営費交付金を県は毎年減額しています。しかし、そうした機械的な減額に伴って経営効率化を追求した結果、前述のように、無期転換ルールが認められない有期雇用職員が多い事務局体制となってしまったのではないでしょうか。また、他の公立大学、例えば、国際教養大学や県立広島大学等と比較すると、県立大職員一人当たりの学生数は多くなっており、その見直しのためにも、財政支援の充実は必要と考えます。


※管理栄養士養成のための食品模型。数十年前のもので授業では殆ど使えない代物。今年6月の私の質問を機に、漸く一部が更新されることに(県立大食品栄養科学部)


 経営効率化の努力は今後も不可欠ですが、その結果、県立大の魅力が低下しては意味がありません。県は総合計画や教育振興基本計画で、県内高等教育機関への外国人留学生を4年間で2821人から5千人に増やすこと、県立大・文芸大学生の県内就職率を58.4%から65%に引き上げること等を目標に掲げています。それには、前述のように県立大の事務局体制の改革・強化が欠かせないはずです。また、優秀な人材を静岡県から輩出するためにも、効率化係数廃止だけでなく、当面はむしろ運営費交付金増額等、財政支援を充実・強化し、魅力向上のための県立大の抜本的な改革を強力に後押しすべきです。県に対し引き続き働き掛けていきます。


※今月10月のすずしんラジオでも同じ趣旨の話をします。是非、お聴き下さい!


 お読み下さり、ありがとうございます。

シズオカを世界に売り込め

2016-08-08 | 精確!?な政策提案
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SHIZUOKAは殆ど無名
 
 今年度の県議会では、私は産業委員会に所属(副委員長)しています。文字通り、静岡県の産業に関する様々な問題を扱う委員会ですので、今年度は特に県内外の産業の現場に行き、課題や対応策について徹底的に学んで議論や提案をしたいと考えています。

 参院選投票日翌日(7月11日)に開催された本年度最初の産業委員会で先ず議論したのは、「静岡ブランド」を如何に確立するかについてです。何故なら、海外の様々な方々との交流を通じ「シズオカ(SHIZUOKA)」が如何に知られていないか強く実感しているからです。


※産業委員会で副委員長として質疑(平成28年7月11日)


 例えば、外国の方に「SHIZUOKAから来た」と自己紹介しても、ピンと来る方は余程の日本通です。「へえ~、SHIZUOKAから来たんだ」という返事は基本的に期待できません。それよりも「富士山のあるSHIZUOKAから来た」と最初から言った方が「あの富士山の近くから来たのか」「富士山なら知ってるよ」というように会話が進みやすいのはまず間違いありません。川勝知事が7年前に就任して以来「ふじのくに」という名称が良く使われるようになっているのも、世界的に有名な富士山を前面に出し静岡と結びつけることによって静岡の知名度やブランド力を高めることを大きな目的の一つとしているからです。

 このように、富士山の名称やイメージを上手く使うことが、SHIZUOKAやその製品を世界に売り込むのに最も手っ取り早い方法だと私も考えています。もちろん、実際にSHIZUOKAを売り込むのに必要な戦略は単純な話だけではすみません。県ではこの7月から「マーケティング戦略本部会議」を設置し、民間の専門家も入っての本格的な議論を開始しました。その行方を私も注目していきたく思います。


※シンガポールで開催された国際旅行フェアで法被を着て静岡観光をPR(平成24年8月24日)。微力ながら引き続き静岡の宣伝に努めます!


「静岡茶」はブランド?

 ブランドのあり方が大きな課題になっているものの代表に「お茶」が挙げられると私は以前から考えています。日本一のお茶処である静岡県内で作られているお茶の総称として「静岡茶」と呼ぶことはよくありますが、「静岡茶」とは果たして国内外で十分に認知されたブランドなのでしょうか?

 茶農家や茶商の方にとっては、静岡茶よりはむしろ「本山茶」「川根茶」「掛川茶」等の狭い地域のブランドの方に強い思い入れがあるでしょう。一方、静岡県から暫く離れて暮らしていた私にも良くわかりますが、他県ではそうしたそれぞれの地域ブランドに詳しい方は多くはなく、静岡茶という一括りで販売される方が一般的だと思います。しかしながら、「宇治茶」「狭山茶」等の有名なお茶をそれぞれ「京都茶」「埼玉茶」と呼ぶことは殆どないでしょう。他県とは違い県内各地で様々なお茶が盛んに生産されているが故の問題と言えますが、「本山茶」等の狭い地域のブランドも「静岡茶」も、残念ながら位置付けが曖昧でブランド力不足と言わざるを得ないと思います。

 また、世界に目を転じてみれば、紅茶好きの方でしたら「ダージリン」「アッサム」等のブランドをご存知でしょう。それぞれインドのダージリン地方、アッサム地方で生産された紅茶を指します。一方、自分の留学経験からも言えるのですが、日本一のお茶処である静岡のお茶が静岡茶「SHIZUOKA TEA」として紹介されることは殆どありません。「JAPANESE TEA(日本茶)」の名称の方が遥かに一般的でしょう。

 国内では消費量や価格の下落、後継者不足等の課題がありますが、健康食品としてのお茶の再評価、和食や抹茶の人気に伴う世界的な緑茶需要の増大等、チャンスも広がりつつあります。ただそうした、特に海外での好機を活かすには、静岡のお茶のブランド建て直しが不可欠でしょう。前述の戦略本部会議でも議論される予定ですが、静岡茶というブランドはむしろ捨てて、「魚沼産コシヒカリ」「夕張メロン」のように各々の狭い地域ブランドの高品質さや違いを明快に打ち出す、「富士山ブランド」に統一する等の大胆さが必要なのではないでしょうか。


ブランド化に成功した北海道を見習うべき

 静岡県と対照的なのが北海道です。JR有楽町駅前の東京交通会館1階に北海道のアンテナショップ「北海道どさんこプラザ」があります。年間の利用者数は平成26年度で約230万人。私も何度か行ったことがありますが、いつも人だかりです。一方、同じビルの地下1階にある静岡県の東京観光案内所(英語名:Shizuoka Mt.Fuji Green‐tea Plaza)の平成26年度の来場者数は1日平均51名、年間1万8千人程しか来ていません。

 「北海道の食べ物は美味しい」というイメージ、北海道ブランドが広く定着しており、だからこそ、静岡市内でも頻繁に「北海道物産展」が開かれています。北海道ブランドは海外でも認知され、「北海道どさんこプラザ」は今やシンガポールにも出店しています。中国人観光客が北海道銘菓の「白い恋人」やロイズのチョコレートを静岡空港で沢山買っていくそうですが、これも北海道ブランドの賜物でしょう。


※シンガポールの北海道どさんこプラザ。この3月に実際に見てきました(平成28年3月21日)。


 北海道のようにブランドを確立するのは決して容易ではないでしょう。しかし、静岡県にも北海道に負けない位の素晴らしい観光地や美味しい食べ物が沢山あるのですから、まずは興味を持ってもらうことが先決でしょう。そのためには、中途半端なことをせず、市町と共同で大規模のアンテナショップを開設したり海外でも積極展開をしたりする位の「目立つ」取り組みも必要なのではないでしょうか。引き続き私なりに方策を追究したいと思います。


※8月12日の「すずきさとるのすずしんラジオ」でも同じテーマでお話しします。是非、お聞き下さい!


 お読み下さり、ありがとうございます。

県民の皆さんに分かり易い危険ドラッグ対策を!

2014-11-10 | 精確!?な政策提案

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 本日(11月10日)は、12月議会で提案される予定の「静岡県薬物の濫用の防止に関する条例(案)」の県民意見提出(パブリックコメント)の締切日です。この、いわゆる危険ドラッグ規制条例については、6月議会での一般質問でも制定を求めたものですので、恐らく県議会議員がパブリックコメントを出すという例は余りないと思いますが、私も一県民として以下の意見を担当課長に提出しました。


1. 兵庫県が先日制定した「薬物の濫用の防止に関する条例」(※以下「兵庫県条例」)に近い形の条例の制定を目指していると理解する。兵庫県条例はもとより、他都道府県の条例で良いと考えられる条項を静岡県の条例案の中に最大限取り入れるべきである。

2. 全県を挙げての効果的な規制を行なう意味からも、県の青少年健全育成条例等、薬物濫用防止に関連する他の条例と連携した形での条例制定を目指すべきである。

3. 危険薬物全般を規制できるようにするために、兵庫県条例第10条「(危険薬物の身体使用の禁止)何人も、危険薬物を吸入、摂取その他の方法により人の身体にみだりに使用してはならない。」と同様の条項を条例の中に設けるべきである。

4. 県民に広く認識してもらえるように、知事監視店に対し、店外及び店内に「知事監視店」であることを明記したステッカー等の表示を条例で義務付けるべきである。

5. 危険薬物を購入する者の氏名、住所、電話番号、年齢の記録及び年齢を証明する身分証等の複写の保存(3年以上)を知事監視店に条例で義務付けるべきである。

6. 危険薬物を販売するに際し、直接摂取等をしないことと共に、直接摂取した場合の危険性を写真等で具体的に表現した説明書(※兵庫県条例第14条(3)でいう「人の身体にみだりに使用されることを防止するために必要な情報」の提供)の交付を知事監視店に条例で義務付けるべきである。

7. インターネットや県外の販売店等から購入した危険薬物に関しても規制できるよう、兵庫県条例第15条「知事監視店販売店以外の者から購入等した者の手続」と同様の条項を条例の中に設けるべきである。


 実は、各項目は基本的に9月議会の厚生委員会でも提案・議論したものなのですが、前向きで具体的な回答が得られなかったものですから、あえて意見として提出しました。

  
※静岡県薬物の濫用の防止に関する条例(案)骨子


 どれも重要な項目だと考えていますが、中でも特に条例に盛り込むべきと考えるのは、4の「知事監視店」であることを明記したステッカー等の表示義務です。

 こうした表示義務に対しては、「知事監視店(つまり危険ドラッグ店)であることを明示させると子供達や若者等の興味・関心を煽ることになりかねない」という反対意見があります。しかし、私は、今の子供達はインターネット等を通じて簡単に情報を得たり情報交換をすることが出来る以上、危険ドラッグ店の存在を隠そうとしても隠し切ることは出来ないのだから、むしろ具体的、積極的に危険ドラッグ店の存在と共に危険ドラッグの恐ろしさを伝えていくことの方が危険ドラッグの拡散を防ぐには効果的であると考えています。

 例えば、私の地元では、危険ドラッグ店が移転してきた今年の2月下旬から、地域の自治会の役員の方が、危険ドラッグ店の排除を目指して、署名活動やビラの配布、啓発のためののぼりの掲示等の活動を行なってきました。しかし、具体的に店名を公表する形で地域の方々に伝えることができなかったことから、しばらくしても「あの店は危険ドラッグ店なの?全く知らなかった」という方はどうしてもいました。地域の目をしっかり光らせるためにも、やはり、知事監視店の表示義務を課すべきです。

 危険ドラッグ規制に関する動き等については、11月14日(金)午後3時10分から放送される「すずしんラジオ」でも採り上げました。是非ともお聞き頂ければと思います。


※11月14日放送分の「すずしんラジオ」の収録の様子(収録日は10月31日)


 お読み下さり、ありがとうございます。

 

公共の福祉を守るために脱法ドラッグの規制強化を

2014-06-10 | 精確!?な政策提案
 私の地元で、今年の2月から、脱法ドラッグ(ハーブ)店が営業を始めました。この店は昨年まで同じ駿河区内の別の場所で販売を行なっていましたが、近隣住民から販売自粛を求められ、その後、現在地に移転してきました。

 脱法ドラッグとは、覚せい剤と同等かそれ以上の深刻な健康被害を引き起こす危険がある物質を含んでいながら法の規制が及ばない薬物、製品のことです。国では禁止の網を広げようと1,300以上の物質を「指定薬物」に指定するなど規制を強化しています。しかし指定薬物を増やしても、化学構造を一部変えるなどした新たな薬物やドラッグが流通するという、イタチごっこの状態にあるのが現状です。

 地元では早速、自治会役員の皆様が立ち上がって署名を集め、4月5日には脱法ドラッグ店に販売自粛を要請、私も同行致しました。県も4月15日、同店を含む県内6つの脱法ドラッグ店に対し一斉立ち入り調査を行ないました。しかし、同店は現在も販売を続けています。



※自治会役員の皆様と共に脱法ドラッグ店に販売自粛要請。中央の後ろ姿は私(平成26年4月5日)



※翌日の新聞記事(同4月6日朝日新聞)



※県による一斉立ち入り調査を報じた記事(同4月16日読売新聞)



 私は、地域住民による監視や働きかけと共に、和歌山県が独自に設けている「知事監視製品制度のような行政による規制が不可欠と考えています。実際に和歌山県に行って調査してきました。しかし調べるにつれて明らかになってきたのは「違法ではない脱法ドラッグを規制することは、憲法が保障する経済活動の自由を侵害する恐れがある」という原則論が、規制する上での障壁になる恐れがあるということです。

 確かに、経済活動の自由は保障されなければなりません。しかし、あくまでも「公共の福祉」に反しない範囲においてです。次々と新製品が登場するために「指定薬物」の指定が追い付かず違法とはされていないのが脱法ドラッグですが、逆に「安全である」と科学的に証明されているわけではもちろんありません(「脱法ドラッグ」という名称では安全だという誤解を与えかねないとして「違法ドラッグ」と総称する場合もあります)。「お香」「アロマ」などと称して売られている脱法ドラッグを、その用途通りではなく直接吸引など危険な方法で使用している人が殆ど(全員でないとしたら)であろうことは容易に想像できますが、その結果として、本人が蝕まれるだけでなく、偶然近くにいた人達が、幻覚等の中毒症状による交通事故や殺傷事件に巻き込まれる危険があるのです。

 正に公共の福祉を害するのが脱法ドラッグであり、迅速な禁止が難しい以上、県も和歌山県の様に積極的に独自規制をすべきです。6月27日の一般質問では、脱法ドラッグの規制強化のための条例を速やかに制定するよう提言します。ぜひ議論を傍聴してみて下さい!

 お読み下さり、ありがとうございます。

慎重で現実的な中長期見通しを

2014-04-15 | 精確!?な政策提案
 私にとっては県議として4年目、今の任期の最終年となる平成26年度が始まりました。2月議会で可決した今年度の県の一般会計予算の総額は、前年度比3.6%増の1兆1802億円で、平成14年度の1兆1920億円に次ぐ、過去10年間では最大規模となっています。

 一方、県の「財政の中期見通し」によれば、今年度末の県債残高は過去最多の2兆7303億円に達すると見込まれています。景気は回復基調にあるとは言え、県内経済の先行きは依然として不透明であるだけでなく、将来人口推計が示すように少なくとも今後数十年間は人口減少と高齢化が急速に進むことから、当面は厳しい財政状況が続くことを前提に県政を運営する必要があります。

 予算案と同時に示される「財政の中期見通し」では、その試算の前提として、内閣府が試算した経済成長率を用いています。内閣府の試算では、今後の経済が順調に成長した、言わば楽観的なシナリオと、そうではない慎重なシナリオ等、2つ以上のケースを想定しています。過去の県の財政の中期見通しでは、平成21年と22年は、順調回復と底ばい継続の2つのシナリオを、平成23年から昨年までは、内閣府の試算の中でも、より慎重なシナリオを前提に置いてきました。


 ※平成21年度当初予算財政の中期見通し(一部)
 ※平成22年度中期見通し(同)
 ※平成23年度中期見通し(同)
 ※平成24年度中期見通し(同)
 ※平成25年度中期見通し(同)


なぜ楽観的な見通しに?

 ところが、今年の財政の中期見通しでは、内閣府の、より楽観的な「経済再生ケース」のみを試算の前提にし、税収が大幅に伸びることを想定しています。


 ※平成26年度中期見通し(同)

 
 基本的な考え方として、財政の見通しを試算する場合には、より慎重で控えめな想定をするべきではないでしょうか。なぜなら、楽観的な経済再生シナリオを前提に試算し計画したものの、経済再生が前提通りに実現しなかった場合、財政再建は更に遠のくこととなりますが、逆に、慎重なケースを前提にし、想定以上の成長が実現した場合には、財政再建計画を前倒しすることが可能になるからです。

 ちなみに、大阪府が今年2月に示した「財政状況に関する中長期試算」では、内閣府の、より慎重な「参考ケース」を用いています。またお隣山梨県の「財政の中期見通し」では平成27年度の県税収入については消費税増税に伴う増額分を反映させていますが、平成28年度以降の県税は全く増えないという、実に慎重な前提に基づいて試算を行なっています。

 こうした点に加え、更に指摘すべきは、今回の中期見通しが前提としている内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」そのものが、極めて楽観的である点です。例えば、今年1月28日の日本経済新聞のコラム「大機小機」は、この内閣府の試算について「議論の突っ込みどころ満載の資料だ。中でも前提としている経済の姿がかなり楽観的であるのが目に付く」と厳しく批判しています。



※「成長率、「目標」と「前提」は大違い」
(平成26年1月28日 日本経済新聞「大機小機」)


 同記事が指摘するように、県の中期見通しが前提としている「経済再生ケース」は、客観的に実現可能な前提というよりも安倍政権が目標とする経済成長率の達成を前提としたものです。「経済再生ケース」では平成25年度から34年度の平均の実質成長率を2.1%としていますが、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によれば、平成25年から34年の10年間で、合計440万人以上、約3.5%の人口減少と、約3.1%の生産年齢人口の割合の低下が予想される中で、そうした高い成長率の実現は本当に現実的なのでしょうか。

 ちなみに、同記事が紹介している「公益社団法人日本経済研究センター」(理事長は、元日本銀行副総裁で、現在、政府の「「選択する未来」委員会」の会長代理である岩田一政氏)が作成した平成37年度までの「中期経済予測最終報告」では、労働力人口の減少等も織り込んだ結果として、平成23年から27年の平均の実質成長率は1.0%、平成28年から32年は0.9%、平成33年から37年では0.7%となっています。

 県では昨年10月に独自の将来人口推計を策定しているのですから、安倍政権の楽観的な見通しを単に鵜呑みにするのではなく、もう一つの「参考ケース」や民間の予測も大いに取り入れながら、人口減少や高齢化の影響も十分に加味した、慎重かつ現実的な中期見通しを、県は改めて示すべきです。加えて、昨年12月議会の一般質問でも提言しましたが、10年以上の長期見通しについても早急に策定すべきです。例えば、大阪府では、独自の「財政運営基本条例」に基づいて、予算審議や計画的な財政運営の参考のために、平成46年までの20年間を見通した中長期試算を行なっています。

 2月議会閉会日の討論でこうした点を指摘しました。県当局には、慎重で現実的な中長期見通しに基づいた財政運営を行うよう、引き続き働き掛けていくつもりです。

 お読み下さり、ありがとうございます。

脱法ドラッグ:県は積極的な規制を!

2014-03-10 | 精確!?な政策提案

※No!「脱法ドラッグ」

 私の事務所からわずか数軒隣で、先月2月から、いわゆる脱法ドラッグ(ハーブ)店が営業を始めました。この店は、昨年まで同じ駿河区内の別の場所で販売を行なっていましたが、近隣住民から販売自粛を求められ、その後、私の事務所と同じ町内に移転してきました。

 脱法ドラッグとは、覚せい剤と同様の幻覚症状や依存症等の深刻な健康被害を引き起こす危険性が高い物質を含んでいながら法の規制が及ばない薬物、製品のことです。国では禁止の網を広げようと1,300以上の物質を「指定薬物」に指定するなど規制を強化しています。しかし、指定薬物を増やしても、化学構造を一部変えるなどした新たな薬物やドラッグが流通するというイタチごっこの様相を呈しているというのが現状です。


※偶然にも本日(3月10日)掲載された静岡新聞夕刊記事。やはり脱法ドラッグは危険です!


 地元では早速、自治会の役員の皆様が立ち上がり、関係団体と連携して販売禁止を求める署名集めや地域への呼びかけ等の活動を行なっています。私も地元の議員として、県内の状況や県の対応等に関する情報を関係の皆様や地元の小学校に提供しました。また、規制を強化するよう県の担当に働きかけると共に、丁度、2月議会が開会中ということで、薬物規制担当を所管する厚生委員会と文教警察委員会に所属の先輩・同僚議員に、委員会での議論を要請しました。

 私がお手本と考えているのは、和歌山県の脱法ドラッグ対策(和歌山県薬物の濫用防止に関する条例)です(※残念ながら静岡県には同様の条例はありません)。和歌山県では独自に「知事監視製品制度」を設けて、違法ではないが「精神作用等を及ぼすおそれがあり、本来の用途に反して身体に使用されるおそれのある製品」を「知事監視製品」に指定し、それを販売するには県への届け出が必要になると同時に、購入者から「誓約書」を受け取る等の義務を課す(守らなければ最終的には罰金)というものです。購入者は誓約書に氏名、住所や購入製品名等を記入して販売店側に提出しなければならず、同様の届け出は、県外やインターネットで「知事監視製品」を購入した場合も義務化しています。

 この知事監視製品制度は、届け出をし規則を守っていれば脱法ドラッグの販売を可能とするもので、言わば、行政がお墨付きを与えることにならないかと危惧する声もあります。しかし何もしなければ脱法ハーブ店はそのまま販売を続けるだけですから、私は、静岡県も和歌山県のような「知事監視製品制度」を導入し、より積極的に脱法ハーブ店を規制・監督することが、結果として、脱法ハーブの拡散の抑止につながると考えています。

 前述のように、既に地元の方々が販売自粛要請に向けた活動をされていますので、うまくいけば、地元から脱法ハーブ店はなくなるかもしれませんが、また別の場所に移ったのでは問題の根本的解決にはなりません。先日、夜遅くに、この店の前に岡山県ナンバーの大型トラックが路上駐車しているのを見かけました。しばらくすると、店から男性が出てきて、運転席に乗り、走り去っていきました。あくまでも推測ですが、もしかするとこの男性は、長距離運転の途中で疲れや眠気をとるために脱法ドラッグを購入したのかもしれません。もしも吸引後の運転中に幻覚症状を起こしたら・・・と考えると、やはり他人ごとではいられません。

 いずれは全国で同様の取り組みが必要だと考えますが、まずは県議会議員として、静岡県も早急に実効ある対策を行うよう、地元の方々と共に引き続き働きかけていきますし、もしも、県当局が消極的なら、議員提案条例の制定を目指したいと考えています。

 お読み下さり、ありがとうございます。


追記: 


※3月12日静岡新聞記事

地域外交で「アベノリスク」払しょくを!

2014-02-16 | 精確!?な政策提案
 2月14日に静岡県の来年度予算案が公表されましたそのニュースの中では特に注目されていないようですが、私が来年度予算案の中で川勝知事の本気を特に感じたのは、地域外交体制強化に向けた取り組みです。

 ※来年度の地域外交推進体制の強化(県資料)

 地域外交の強化については私も以前から主張しており昨年12月の一般質問でも提言しました。その際、川勝知事は、モンゴルに現地連絡員を配置する方向であることは言及しましたが、シンガポールの東南アジア駐在員事務所については、まだ昨年に事務所体制を強化したばかりのため、当面は様子をみると述べていました。

 ですから、来年度から東南アジア事務所に副所長を新たに配置するという決断には正直驚きましたが、静岡県を取り巻く状況を考えれば、むしろ当然の選択といっても良いと思います。

 例えば、大韓航空は、この3月末から静岡―ソウル便を全面運休することを決めました。円安や昨今の日韓関係の悪化等により利用者が減り続けていることがその背景にあります。つまり、「アベノリスク」の一端が現れており、それを払しょくするには、県として、まずは地域外交をより積極的に展開しなければならないと考えます。特に、日本との関係が良好であり、経済成長が続く東南アジアやモンゴルとの関係強化は、重点的に進めるべきでしょう。

 私も県の地域外交の一助となるべく、今回派遣される県議会議長を団長とする台湾訪問団に参加します(私達ふじのくに県議団のメンバーは2月16日から19日まで訪台)。インターネット等で簡単にコミュニケーションをとることができる時代だからこそ、直接会う形での交流の重要性はむしろ高まっていると考えています。
 

 お読み下さり、ありがとうございます。

 

全県で防災キャンプを!

2013-11-10 | 精確!?な政策提案
 私の娘達も通う中田小学校で、この週末、2泊3日の通学合宿「心むすび合宿」が行なわれ、私も中田小の「親父の会」の1人として、参加者の「もらい湯(地元の方のお風呂を利用させてもらう)」の送迎を手伝いました。

 ※平成25年11月10日 静岡新聞記事

 中田小の場合、小4~小6の子供達30名が、地元の神社の社務所に寝泊りしながら、通学したり地域の歴史を勉強したりと様々な体験を行ないます。少し様子を拝見しましたが、テレビやゲームがないことを愚痴にしながらも、アカペラで学年別カラオケ大会を即席で開いたりと、みんなそれぞれ学年を超えた交流を楽しんでいました。

 通学合宿は、運営する方々、特に中心的な役割を担うPTA役員の方々の大変な努力により成り立っています。有休をとって手伝っている方もいました。通学合宿は大変意義のある行事ですので、もっと多くの小学生を対象にすべきと思いますが(実際、今年の場合も募集人数30名に対し、50名以上の申し込みがあったとのこと)、PTA役員の方々の負担等を考えれば、今の規模が限度のようです。

 そこで是非とも同様の取り組みをしてみたいと思うのが、以前も紹介した千葉県習志野市立秋津小学校における防災キャンプです。秋津小の場合は土日に行なわれており通学合宿ではありませんが、100名を超える参加者が学校内に張ったテントに泊まりながら、非常時の炊き出しの訓練も兼ねた夕食作り等を行なっています。秋津小ではコミュニティルームの運営が地域の方々によって行なわれたりするなど普段から地域の方々が学校の運営に直接関わったりや学校を拠点とした活動を行なっているので、そうした大規模のキャンプが可能となっているのです。

 実は静岡県内でも文部科学省の委託事業として防災キャンプが3地区で実施されています。そこで私が提案したいのは、防災キャンプを組み合わせた通学合宿を全県で実施できるよう、支援策を充実させると共に、全県で取り組む災害対策として、市町や自治会等の関係団体に協力を要請するというものです。

 地震等の大災害が発生すれば小学校は地域の避難所になるのですから、平時から学校の校庭や体育館等に泊まる体験をしておくことは、子供達だけでなく大人にとっても大変意味のあることでしょう。地域には、キャンプやバーベキューが好きな方やボーイスカウト等の方もいるのですから、そうした方々を巻き込む仕掛けを作ることが出来れば、いずれは秋津小のように、地域だけで自主的に防災キャンプも出来るようになるのではないかと思います。

 12月議会で行なう予定の一般質問でこの点を採り上げようと準備していたところ、偶然にも他会派の先輩議員が同様の主旨の質問をするということで直接の質問はしないことにしました。しかし、秋津小等で行われているコミュニティ・スクールの推進についても質問する予定ですので、その中で、通学合宿・防災キャンプについても触れたいと考えています。

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静岡空港新駅を2020年までに!

2013-10-11 | 精確!?な政策提案
 10月9日の建設委員会での私の質疑の一部が、翌10日の静岡新聞で紹介されました。


※平成25年10月10日静岡新聞記事

 東京オリンピック招致は静岡空港新駅にとって絶好のチャンスであり、関係自治体と連携して実現に向けて取り組むべきという私の意見・質問に対し、担当者は、関係自治体と連携し国に働きかけていくが、まずはJR東海の理解を得ることが必要という回答でした。

 日頃から「人口減少社会を前提とした政策の実現が不可欠」と考えています。ですから、新規のインフラ整備は必要最小限、極力抑えるべきと常々訴えていますが、空港新駅は、その必要最小限のインフラだと考えています。なぜなら、静岡空港の魅力や利便性に加え、東京や首都圏のサポート・バックアップ機能の向上につながるからです。

 例えば、前月、川勝知事が国土交通大臣に空港新駅整備を要請した際にあげたメリットに、東京オリンピック開催時の航空需要等に応えるために羽田空港に新たな滑走路を整備(7千億円程度)するよりも、空港新駅整備(2百~4百億円程度)の方が格段に低コストという点があります。羽田空港は大空港ですから、着陸から空港を出るまでにも結構な時間が掛かりますが、小さい静岡空港の真下に新幹線新駅ができれば、東京や品川に出る時間は羽田と比べても大して変わらなくなるでしょう。

 また、活火山である富士山が万が一にも噴火した際、噴煙は基本的に東側に流れますから、羽田、成田等の空港が使えなくなる可能性がありますが、その際、富士山の西側にある静岡空港によるバックアップは大変重要となるでしょう。発生が危惧される首都直下型地震、あるいは関東大震災のような相模湾を震源地とする巨大地震により羽田空港が使えなくなった場合も同様です。

 このように空港新駅整備のメリットは静岡県だけのものではありません。ですから堂々と整備の必要性を更に声を大きくして訴えるべきと思いますし、早速、川勝知事は、同じく10日、国土交通大臣に再要請に行っています。流石は行動派の知事です。

 一つ配慮すべきは、東京オリンピック前に新駅を完成させるということは、隣駅、特に掛川駅に停車する新幹線の減便につながる可能性が高い点です。ですから、委員会でも指摘しましたが、掛川駅周辺の自治体や利用者にも十分に配慮しながら、全県を挙げてJR東海や国に働きかけていくことが新駅実現に欠かせないはずです。

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財政的見通しも示した津波対策を!

2013-09-20 | 精確!?な政策提案

絵に描いた餅になりかねない津波対策

 静岡県は6月27日に「第4次地震被害想定(第一次報告)」と共に「静岡県地震・津波対策アクションプログラム2013」を公表しました。このアクションプログラムは、今回想定されたレベル1の地震(駿河・南海トラフ沿いでは約100~150年に1回程度発生することが予想される大地震)に伴う津波による人的被害(県内で約9千名と想定)を10年間(平成25~34年度)で8割減少させること等を目指し、施設整備や計画策定などを進めようというものです。

 7月26日には、県は、「レベル1津波対策の施設整備による減災効果」を公表しました。レベル1津波対策施設の整備が完了した時の効果ですから、想定上は(つまり津波の危険性が完全に無くなる訳ではない)、レベル1地震に伴う津波の浸水域と津波による人的被害はゼロということになります。あくまでもレベル1対策ですので、レベル2地震(発生頻度は極めて低い(千~数千年に一度?)とされる南海トラフ巨大地震。マグニチュード9(東日本大震災の規模)程度と想定)による津波被害を防ぐことはできません。しかし、津波が乗り越えても倒壊しないように防潮堤を強化すること等により、レベル2地震や津波に対しても減災効果を発揮させることをアクションプログラムは目指しています。

 こうした計画は大変頼もしく見えますし、県としては、県民の不安を和らげるために「減災効果」まで公表したのでしょう。しかし私には無責任な部分もあるように思えてなりません。なぜなら、「対策がいつ完了するのか、そして財政的に実現可能なのか」という目途が示されていないからです。



※建設委員会で、副委員長として質問(平成25年7月30日)


 7月30日の建設委員会でこの点に関し質問しました。今回のプログラムでは、平成34年度末までにという日程は設定されています。具体的には、それまでに、レベル1津波対策施設整備事業(全体で約4千億円)の約半分(22百億円分)を完了させて8割減災を目指すというものですが、これまでに東海地震対策等として津波対策施設に投入してきた総費用は約1215億円ですから、極めて大きい額です。また、その予算の半分は国の補助を予定しています。現政権は「国土強靭化」という名の下に公共事業を大幅に増やしていますが、実際に補助が全額確保できるかは当然未定です。

 また、アクションプログラム全体では10年間で約42百億円掛かるとされ、その大部分は防潮堤、道路等のハード事業です。半額を国が負担したとしても、県だけでも今後毎年2百億円以上費やすことが本当に出来るのかといえば、今のところ、納得できる説明はありません。

 更に先のことを言えば、アクションプログラム2013が10年後に無事に目標を達成したとしても、レベル1津波対策はまだ半分近く残っています。単純に言えば、更に10年間同様の予算を投入すれば完了ということになりますが、県の担当者の答弁は「計算上はそうだが、その見通しは今のところない」ということでした。今後も人口減少に伴う税収減が予想される一方、高度成長期に整備されたインフラ施設の老朽化対策が急務となる状況で、どのように財源を確保するのか、中長期的な試算はされていませんから、10年、20年先の見通しが立たないのは当然です。

 つまり、前述の「レベル1施設の減災効果」がいつ頃から発揮されることになるのか未定であり、現時点では、「絵に描いた餅」になりかねない津波対策と言わざるを得ません。


長期的視点が不可欠

 将来のことはわからないから仕方ないという意見もあるでしょう。しかし、地震被害想定と同様に、政策を決める根拠として、税収減と支出増が最悪どうなるか推計することは可能なはずです。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(人口推計は「出生」「死亡」「移動」の3つの変数から計算できるため他の推計に比べ精度が高い)によれば、静岡県の人口は、2025年に約348万人、2035年に約319万人まで減少(そして高齢化)します。そうした人口推計を基にして厳しく予想(税収減と義務的経費増)し、それでも達成可能な、財政的見通しがある計画を立てるべきです。そして、何とか前倒しできるように努力することが、今だけでなく未来に対しても責任ある政策だと考えます。

 新たな施設整備は、その後の維持管理費と数十年後の更新費、言わば、「隠れ借金」を上乗せすることも意味します。一方、沿岸部の人口が大幅に減少した場合、防潮堤を整備しなくても十分に津波に対応できる可能性がでてきます。人命と財産に関わるものですから、地震・津波対策は急ぐべきものは急がなければなりません。同時に、いつ発生するかわかりませんから、地震・津波対策は長期的視点も持って取り組むべきです。

 先ばかり見ていてもきりがありませんが、少なくとも、今あるもの、そしてこれから作るものについて、耐用年数まで必要か、維持管理と次の更新が財政的に可能かどうか十分に見通した上で整備していかなければ、作ったものの、その後の維持管理や更新が財政的にできず、災害発生時に全く機能しなかったということにもなりかねません。既存の考え方に囚われず、長期的に持続可能な政策、システム、インフラを何とかして作り出していくことが、既に莫大な借金を残しつつある私達の、将来の世代に対する最低限の義務であるはずです。

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長期的視野で冷静な議論を: 改めて、じっくり、憲法について考えましょう!

2013-05-24 | 精確!?な政策提案
憲法第99条の意味

 今夏の参院選を前に、憲法改正議論、特に、第96条に注目が集まっています。しかし、憲法改正の要件、ハードルを下げるべきか否かの議論ですから、その前に、そもそも「憲法とは何か」について考えなければなりません。特に、第99条の意味について改めて考えるべきだと思っています。

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 この条文を見る限り、憲法を尊重しなければならないのは国民ではなく、天皇、摂政そしてあらゆる立場の公務員であるということになります。当然ながら、一般の国民は憲法を守らなくてもいいという意味ではなく、「日本国民」は憲法の前文で様々な決意、確認そして誓約を宣言していますから、具体的には、憲法の考えの下に作られている各種の法律に従うことが求められていると言えます。

 なぜ第99条のような条文があるのでしょうか。それは、日本国憲法は、政治権力あるいは国家権力を制限するための仕組みであるからです。ですから、内閣総理大臣に象徴される国会議員と公務員という地方公共団体も含めた国家権力に関する規定や、国民に対して国家権力側が保障すべき権利・自由については憲法の中で細かく書かれています。その一方で、国民が守るべき義務として憲法の中に規定されているのは、教育を受けさせる義務(第26条)、勤労義務(第27条)、納税義務(第30条)の3つだけなのです。

 言い換えれば、法律を制定し執行することによって権力を行使する公務員に対して憲法尊重義務を課している条文が第99条であり、日本国民が作った憲法であることを謳った前文の主旨からしても、「日本国民が国家権力に憲法を守らせている」という構図であるのが日本国憲法なのです。

 ですから、憲法尊重義務がある国家権力側が、十分な国民的な議論が無いまま憲法改正に突き進むのは由々しき事態です。とりわけ、改正すべき内容が国民の間で議論や共有がされないままに、とにかく第96条を改正してハードルを下げようというのは、権力の暴走と言う他ありません。今一度、第99条の意味をじっくり考えるべきです。


地図にだまされない!日本上空を通過する弾道ミサイルとは?

 憲法改正論者の中には、最近の北朝鮮による長距離ミサイル実験のような情勢変化に対応できるように、第9条を改正して日本も集団的自衛権を行使できるようにする、例えば、アメリカに向けて発射された弾道ミサイルが日本上空を通過した場合は集団的自衛権として打ち落とせるようにすべきという方もいらっしゃるようです。しかし、他国に向けられた弾道ミサイルが日本上空を通過するケースとはどのような場合か、ここで冷静に考える必要があると思います。

 よく使われる地図(メルカトル図法)では、日本が中央付近にあり右に太平洋を挟んでアメリカ大陸、左にユーラシア大陸という構図になっています。そうした地図で考えれば、北朝鮮からアメリカに向けて発射されたミサイルは日本上空を必ず通過すると思いがちです。しかし、それは間違いです


北朝鮮からアメリカ本土に向けて飛ぶミサイルは日本上空を通過しない(Google earth画像を加工)

 その理由は学校の地理の授業を思い出せば分かりますが、お手元の地球儀か、「グーグルアース」で北極辺りを中心に眺めれば一目瞭然です。上記の「グーグルアース」画像では、北朝鮮のミサイル基地「ムスダンリ」から発射された弾道ミサイルがアメリカ西海岸の最大都市ロサンゼルスに向かって飛翔した場合の経路(白い線)を示してみましたが、日本上空は通過しません。この経路は北朝鮮がアメリカ本土を狙った場合のほぼ南端(太平洋側)のものですから、ワシントンやニューヨークを狙った場合は更に北側(つまり日本上空を通過しない)となります。中国の場合もほぼ同様です。

 例外は、重要な軍事基地があるハワイやグアムに向けてミサイルが発射された場合です。しかし、アメリカ軍基地を攻撃するのであれば、当然ながら、より北朝鮮の近くにある在日アメリカ軍基地も同時に攻撃目標とするでしょう。その場合、自衛隊は全力を尽くして日本国土を守るわけですから、ハワイやグアムに向けられたミサイルはアメリカ軍に任せることになるでしょう。

 このように、日本上空を通過する弾道ミサイル迎撃の可否の議論は、少なくとも、集団的自衛権を行使する典型例としては、あまりにも現実性が乏しいものだと言えます。そうした議論よりも、これからの「人口減少社会」に対応するために、国と地方のあり方やその規定である憲法をどう変えるべきかについて国全体で冷静に考え議論することの方が、遥かに現実的・長期的課題であるはずです。

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憲法改正の前にすべきこと

2013-04-30 | 精確!?な政策提案

※朝日新聞記事(平成25年4月27日)

 まだ正式には日程は決まっていませんが、今夏の改選を迎える参議院議員の任期はこの7月28日で満了となりますので、どんなに遅くとも参院選まで残り3ヶ月ありません。この参院選の大きな争点として、既に報道されていますように、憲法改正、特に改正手続きを定めた憲法第96条の要件緩和の是非について問うべきという意見が、最近、政府与党や維新の会等から強く出されています(例えば「自由民主党参議院選挙公約骨格(案)」)。

 私は憲法改正自体を否定するつもりは全くありません。しかし、憲法改正と一言で言っても、考えるべき問題は実に多岐に渡ります。また、言うまでもありませんが、そもそも憲法改正は私達の生活、社会をより良くするための手段、手続きであって、目的ではありません。ところが、96条の問題が出されるときの議論は、改正要件が厳しすぎるから緩和しようという、とにかく改正することを目的とした主張ばかりが目立つように思えてなりません。

 戦後一度も日本国憲法は改正されていないためか、他国の憲法よりも日本国憲法の改正要件は厳しいように思われがちですが、決してそのようなことはありません(※詳しくは、「All About「世界の憲法改正手続比較」」「衆議院「硬性憲法としての改正手続に関する基礎的資料」」等をご参照下さい)。ですから、改正要件よりも改正すべき内容について議論すべきですが、少なくともそうした議論は一部ではされていても、国民的に全体でされているとは言えません。

 また、改正の内容について、特に他国に影響を及ぼす(日本にそのつもりがないとしても他国がそのように理解する)問題について、正に憲法第9条はそうですが、そうした影響も配慮しながら議論しなければなりません。平和や安全保障というものは相対的なもの(例えば、二国関係の場合、一方が相手を危険だと認識すれば二国間の平和は危うくなる)であり、日本の平和を確保するための議論が日本の平和を危うくしては元も子もありません。あるいは、そうした議論により海外で頑張っている日系のデパートや店舗等が害を被るようなことがあっては、正に国益に反する議論だと言うべきでしょう。

 ジェラルド・カーティス教授が記事の中で言うように、憲法改正の前にすべきことは沢山あります。早急にすべきは、「社会保障と税の一体改革」のような、人口減少・高齢化社会の到来を長期的に見据えた議論や新たな制度設計です。また、たとえ全ての国は難しいとしても、いくつかの近隣の国とはより緊密な信頼関係を築かなければ、憲法改正議論は不必要な緊張関係を東アジアにもたらすだけとなるでしょう。

 とにかく、安易かつ性急な憲法改正議論は、国益を害するものです。議論自体はすべきですが、この夏の参院選で結論を出すべきというほど簡単な問題ではないはずです。

日本語の記事の元となっているジェラルド・カーティス教授の英語論文はこちら。日本語の記事はこの英語版の要約となっています。

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スーチー氏をゆかりある静岡に!

2013-04-11 | 精確!?な政策提案

 ミャンマーの著名な政治家であるアウン・サン・スー・チー氏が間もなく来日されます。日本政府が招待したもので、今回の来日は1986年以来27年ぶりとのことです。


※4月7日朝日新聞記事

 最近、特に経済界から注目を集めているミャンマー。県内でも既に進出、あるいはこれからの進出を計画している企業は数多くあるようで、県としても既に民間の方と共同で調査団を送るなどしています。

 今回の来日ではスー・チー氏が静岡県に来る予定はないようですが、実は私は県議会議員になる以前からミャンマーに注目し、特に昨年度の企画文化観光委員会では、ミャンマーは静岡県と縁が深いのだから、そうした縁を利用してミャンマーとの交流促進を図るべき、そしてこれから裕福になっていくであろうミャンマーの方々に静岡県をアピールするためにも、スー・チー氏を静岡県に招待すべきだと主張してきました

 県議会議員になる前からミャンマーに注目していた理由は、私が政策秘書として仕えていた榛葉賀津也・参議院議員がミャンマー問題に非常に詳しく、現地に何度も行かれていたからでした。そして、事務所でミャンマーについて本を書こうということになり、私もその一部を担当しました。

 ミャンマー(あるいは当時のビルマ)と静岡との縁-それはスー・チー氏の父親で、今も尚「建国の父」としてミャンマー国民から尊敬されているアウン・サン将軍と、将軍の独立運動を助けた浜松出身の鈴木敬司・陸軍大佐との「絆」から始まります。その証として、現在、浜名湖東岸、舘山寺の大草山に石碑が立てられていますが、そうした歴史について知っている方は静岡県内でも少ないことと思います。私も、実際に調べるまでは知りませんでした。

 そこで、若干長い文章ですが、ビルマの独立と日本の関わり(特に静岡県)について以前書いた原稿を6回に分けて掲載致したく存じます。何卒お付き合い下さい。

 
※大草山にある石碑。「この碑はビルマ国民に建国の父と仰がれるオンサン将軍が去る昭和十五年わが国に亡命して当地出身の鈴木敬司少将と共に祖国独立運動の秘策を練ったこのゆかりの地に建てられたものであります」と記録されています。※「少将」とあるのは鈴木大佐の最終的な階級が少将だったため。2012年1月に撮影。

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学校を拠点に、まちづくり!-防災も、子育ても、地域の活性化も、全て「学校」で解決

2013-04-05 | 精確!?な政策提案
 

 東日本大震災発生から2年が経ちました。

 この間、教訓や課題を学ぼうと様々な調査が行なわれています。その一つに、避難所となった宮城県内の小中学校の校長への聞き取り調査があります。それによれば、「学校支援地域本部」が設置されていた学校の95%では、避難所を運営する自治組織が混乱も無く順調に立ち上がったのに対し、学校支援地域本部が無かった学校の40%では混乱が見られ、順調だったのは35%だったそうです。

 「学校支援地域本部」とは、学校・家庭・地域が一体となって地域ぐるみで子どもを育てる体制の整備を目的として設置されているもので、静岡市では「学校応援団」という名称で一部の小中学校に置かれています。しかし、応援団コーディネーターは各校1名ということもあり、地域ぐるみの活動と言えるまでには広がっていないように思えます。

 私は以前から、公立学校は市民の財産なのだからもっと地域に開放すべきと考えてきました。特に週末や休日に校庭が手続き無しで自由に使えたら遠くに行かなくても子供と遊べるのにと思ってしまいます。学校としては、施設管理や安全等の問題上、学校開放は困難ということなのでしょう。

 ところが、全国各地には様々な形で施設を開放している学校があります。その先進地と思われるのが、千葉県習志野市立秋津小学校です。ご紹介が大変遅くなりましたが、実は昨年6月24日に視察に行ってきました。


※秋津小学校校門前にて。左側が岸裕司さん。掲示されているメッセージには味がありますね。


 学校内を案内して下さったのは、秋津コミュニティ顧問の岸裕司さん。岸さんは秋津小PTA会長だった時に秋津コミュニティを創設した方です。秋津小は2006年に千葉県最初のコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度:保護者や地域住民等が一定の権限と責任を持って学校運営に参画する制度。学校支援地域本部は学校運営には参画しない)となっていますが、「秋津コミュニティ」が創設されたのは児童の減少に伴って生じた空き教室4室等をコミュニティルームとして地域に開放した1995年のことです。


※コミュニティルーム前にて。私の隣は岸さんの奥様。


 視察して感銘した点は、「出来る人が出来る時に無理なく楽しく」を理念として実行していることです。私が伺った日曜日も、校庭は普通の公園のように開放され、コミュニティルームにも様々な個人や団体の方がいました。校庭内の畑で育てた野菜を肴にしての収穫祭では、各自が自由に食べ物や飲み物を持ち寄っていました。「そこに行けば誰かしらいる、だからいつも人が集まる」そんなコミュニティが秋津小にはありました。


※コミュニティルーム内での「収穫祭」。隣室で練習していた方も飛び入りで演奏を披露。終わればしっかり片付けますから、校舎内とはいえお酒を飲むのも自由です。


 授業のある平日には、休み時間に児童がコミュニティルームに遊びに来たり、また地域の方も様々な授業や学校行事に参加したりする、だから児童も先生も地域の方もお互いによく知っていて、不審者が来てもすぐにわかるし、地域の方も児童を見守っているから、いじめや不登校もないーそれが秋津小を中心とした秋津地域です。防災訓練も兼ねたキャンプも秋津小で毎年実施しています。

 つまり、防災、防犯、子育て、地域の活性化等、各地で大きな問題となっている課題を、秋津地域は秋津小を拠点にして自らの手で解決しているのです。それも、多くのものがボランティアによる手作り、しかも出来る人、やりたい人が活動しているのですから、学校側にも地域の方々にも財政的、精神的負担が少ない、「安上がり」の取り組みなのです。


※低学年が対象の「ごろごろとしょしつ」。子供達がゴロゴロと寝転がりながら、のびのびと本が読める場所にしようと、地域の一級建築士が設計したり、地元の会社が資材を提供したりと様々な専門家であるお父さん達がボランティアで参加して出来た、本格的な作りの図書室です。


 静岡県は、この4月から、富士市立高校が県内最初のコミュニティ・スクールとして本格的に活動を開始するという段階です。人口減少や高齢化が進み、東海地震等の大震災の危険性が危惧される静岡でも、秋津コミュニティのような取り組みを積極的に行なうべきと考えます。

 そこで、ぜひとも多くの方々に秋津コミュニティの取り組みを知って頂きたく、現在、文部科学省委嘱コミュニティ・スクール推進員としても活躍されている岸裕司さんを講師としてお招きし、秋津の取り組みをご紹介頂きながら、皆様とざっくばらんに話し合う座談会を5月11日に開催致します詳細はここをクリック)。どうぞお気軽にご参加下さい!


※富士市立高校でコミュニティ・スクール化に向けた取り組み等についてヒアリング。私の正面は地元の衆議院議員であり勉強会を主宰した、細野豪志・民主党幹事長(平成25年2月23日)



※秋津コミュニティについてご関心のある方は、せひ以下の岸裕司さんの著書も読んでみて下さい。

学校を基地に「お父さんの」まちづくり―元気コミュニティ!秋津
太郎次郎社


学校開放でまち育て―サスティナブルタウンをめざして
学芸出版社


 お読み下さり、ありがとうございます。

早急に人口減少を前提とした対策を!

2013-03-28 | 精確!?な政策提案

 またまた人口減少についてです。

 3月27日に国立社会保障・人口問題研究所は市区町村別、都道府県別(※市区町村別の推計結果の合計)の将来人口推計を公表しました。本日(28日)の朝刊各紙にその記事が大きく掲載されましたので、ご覧になった方も多いと思います。


※3月28日静岡新聞記事

 こうした推計が公表されますと「人口が大幅に減りそして高齢化も進むから大変だ」という論調や反応にやはりなるのですが、ただ驚きそして将来を心配するだけでは不十分です。何故なら、特に静岡県の場合は状況が深刻だからです。昨年12月の一般質問でも指摘をしましたが、将来人口推計の全国版である昨年1月に公表された推計結果は、その前の2006年の将来人口推計よりも上方修正されたものです。なぜなら、2006年の推計結果の数値よりも実際の2010年の国勢調査による全国の人口は約88万人上回り、また出生率も若干上昇しているからです。

 しかし、静岡県の場合は逆で、昨日公表の推計は前回2007年公表の推計よりも人口減少は更に進むという結果になっています。例えば、2007年の推計では、2015年の静岡県の人口は371万2千人としていましたが、今回の推計では369万6千人、同じく2007年推計では2035年は324万2千人に対し、今回の推計では319万3千人となっているのです。実際、2007年の推計では2010年の県人口は377万1千人としていましたが、2010年の国勢調査による人口は376万5千人だったことから、人口減少が更に加速している現実が、今回の推計にも反映されたということです。

 つまり、静岡県は他県よりも更に急いで人口減少を前提とした対策を実施しなければならないということです。2月議会の委員会では私の質問に対して、今回のような都道府県別の推計が公表されれば県としてもその推計値を分析し必要な対策を講じたいと当局は述べていましたが、現在、県が第4次地震被害想定を策定しているのと同様に、将来人口推計についても、どうして、またどのように人口減少が進むのか市町別に分析をし、そして人口減少がもたらす影響を具体的に想定した上で、対策を実施していかなければなりません。地震と違い、大幅な人口減少は確実に発生する、あるいは既に発生している現象なのですから、対策の先延ばしはできないはずです。人口減少の問題は引き続き追究していきたく思います。

 最後までお読み下さり、誠にありがとうございます。