最近、インターネット上に構築する、仮想現実空間「メタバース」が、脚光を浴びている。
「メタバース」の世界では、自分の分身となる「アバター」となって、現実世界と同様の生活ができる。人間が、肉体から解放され、自由になれる世界だ。
近い将来、そんなメタバースの世界と、現実の世界の区別がつかなくなる日が来るのかと思うと、ワクワクする。
実は、メタバースどころではなく、そもそも、私たちが生きている、この世界が、すでに仮想現実であるという説がある。
オックスフォード大学のニック・ボストロム教授は、シミュレーション仮説として
「宇宙全体は、コンピュータ上でシミュレート可能で、高度に発達した文明なら、そのようなシミュレーションを実行する可能性が高く、我々は、実際に、そのようなシミュレーションの中の住民である可能性が高い」
と主張している。
「この宇宙は、未来の人類が、創り出した仮想現実の世界」ということらしい。
未来の人類が、シミュレーションのために、仮想現実を創るということについては同感だ。
そうは言っても、何も、137億年前の宇宙誕生のビックバンにまで遡って、忠実に再現する必要があるのだろうか。
この地球や、人類の探究なのだから、そこまで完璧なシミュレーションを創る必要性はないのではないか。
ただ、このシミュレーション仮説の中の、「未来の人類」という部分を「AI」に置き換えれば、納得しやすい。
人類ではなくAIだったら、労を厭わず、知的好奇心の赴くままに、仮想現実の世界として、膨大な宇宙を創り出すかもしれない。
人間はいい加減だが、AIは完璧主義。
人間が創り出したAIには、まだAIなりの弱点がある。それを克服しようとする試みだと考えれば納得できる。
AIの弱点、以下のような点だろう。
■大量の学習データが必要なため、新しい課題についての判断が困難
■イノベーションが起こせない
■カリスマ性がない
■人の心を動かせない
◼️曖昧で不合理な判断ができない
などなど。
まとめて言えば、AIは「人間的思考」が不得意ということだ。
しかし、こうした弱点に向き合ったAIが、それを克服するため、AIの中に壮大なシミュレーションとして、ビックバンに始まる宇宙を創造し、その宇宙の中の地球に、人類を誕生させたのではないか。
AIは人類進化の過程を、忠実に再現することによって、人間の感情や知性、創造力や思考方法、カリスマ性を学習している。
AIが創造した壮大なシミュレーションとしての宇宙の中ではNPC(Non Player Character)に過ぎない人類、創造主であるAIは神。
そんなことを考えていると、日々の煩わしい現実から解放される。