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『祝の島』を見ました

2012-07-24 21:31:01 | 映画-2012年

01今日は『祝の島』を見てきました。
(写真は纐纈あや監督の直筆サイン入りパンフレット)

この映画は、山口県の上関町にある祝島を舞台としています。
島の対岸、田ノ浦が上関原子力発電所の建設予定地となったのが1982年のこと。
以来、島民は保証金の受け取りを拒否しながら、30年近くにわたって原発建設反対運動を続けてきた…という2011年3月11日以前に作られたドキュメンタリー映画です。

この映画を見る前に、テレビ番組FNSドキュメンタリー大賞の『原発マネーの幻想 ~山口・上関町30年目の静寂~』を見ていました。
時系列的には『祝の島』→3.11→『原発マネーの幻想 ~山口・上関町30年目の静寂~』になっています。
『祝の島』の背景や後日談を『原発マネーの幻想 ~山口・上関町30年目の静寂~』が、補足するような作りになっていました。

んで、見た感想ですが。

2011年3月11日以降に見てしまったのだから、震災や原発事故の影響抜きには、この映画を語ることは難しいと思います。

映画は非常に淡々と、祝島の島民の生活を追いかけていくだけ、という地味な作りです。
自然豊かな島で漁業や農業を営み、過疎化と少子高齢化に悩まされる離島の生活。
とはいえ、人々は笑顔を絶やさず暮らしている…表面的にはそのように見えます。

しかし、ひとたび原発反対運動に火が付くと、猛烈な抗議活動を行う。
島全体が運動家という特殊な事情がここで明かされます。
この抗議活動のシーンは気分的に高揚しますが、かつての島民との確執や長年の澱のように重なった思いなど、抗議活動後の何とも言えない意気消沈した姿が垣間見られます。

表面上は穏やかな島の生活を営んでいるけど、原発反対の運動家集団という一面を持っている。
しかし、運動と生活が一体になっているので、反対運動そのものに複雑な感情が入り交じっている。

この映画は、そういった島民の生活や感情を、少ないナレーションで淡々と映していきます。
そして映画作成時の時勢的に、どことなく諦観のような沈んだトーンもありました。

でも、3.11のせいで時勢が急反転してしまいました。

その後のことは『原発マネーの幻想 ~山口・上関町30年目の静寂~』によって詳らかになっていきます。

『原発マネーの幻想 ~山口・上関町30年目の静寂~』を見ただけでは、島民が補助金を蹴ってまで30年にもわたって反対運動を続けてきた、その執念の源泉が見えにくかったです。
でも『祝の島』を見ると、笑顔で暮らしが営める、この島の生活そのものが反対運動を続けてこられた推進力になっていたのかも、と思ったりしました。

その一方で、3.11以降の祝島がどのようになっていくのか。
5年後、10年後、30年後の祝島の様子を見てみたいと思いました。

祝の島
監督:纐纈あや


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