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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

ダーウィンの悪夢

2007-10-07 20:50:00 | 映画-2007年

「知ることは大切だ」

ここ最近のドキュメンタリーはオモシロコワイものが多くて、オレ的にはけっこう公開されるのを楽しみにしてる。
マイケル・ムーアの『華氏911』とか、『不都合な真実』とかね。
んで、「ヴィクトリア湖に放たれた一匹のナイルパーチから始まった悪夢のような悲劇」ということで、この作品も公開前からかなり期待しておりました。
結局、DVDを借りて観たんだけどね。

産業が何もないアフリカの土地に、水産加工業を軸とした純粋な資本主義だけが持ち込まれたその結果がこの映画に描かれている。

日本でも「稼いだモン勝ち、やったモン勝ち」てきな風潮があるけれど。
それでもなお最低限のモラルと、何よりも国家による統治があるため、常識で考えられる範囲でしか物事がぶれない(少なくても、一般市民に露骨に漏れることがない)。
ところが統治が行き届かない場所に、資本主義の弱肉強食の論理だけが持ち込まれると、およそ我々には考えられないような事象が起きるのだ。
ストリートチルドレンがナイルパーチの梱包材から粗悪なドラッグを作って、つかの間のトリップをしているシーンは、この過酷な現実を如実に物語っていた。

とはいえ、映画としてこの作品を見た場合、あまりにも盛り上がりに欠いていたのも否めない。
というのもこの映画、基本的に現地の様子を撮影し、住民のインタビューを収録しているだけなので、非常に淡々としているのだ。
現地の風景はこの状況の事実を映し出しているが、住民の言葉は事実を語っていても、真相までは語れていない。
なので「ナイルパーチはどこへ運ばれているのか?」とか、「ヴィクトリア湖の生態系はナイルパーチ放流前後で何がどのように変わってしまったのか」といったことが、さっぱりわからないのだ。
あくまでも現地で起こった事実だけを伝えているのかもしれないけど、観ている方としてはショックの度合いが探れないので、いまいちだった。

マイケル・ムーアの映画が面白いのは、ムーアの語りと演出・編集によって、無理矢理フィルムに事実を焼き付けているから、だと思っている。
『ボウリング・フォー・コロンバイン』のチャールトン・ヘストンなんて、彼が出演した映画以上に悪役っぽかったけど、これもムーアの演出があってこそ。

『不都合な真実』があれだけ支持されたのは、ゴアのプレゼンテーションの巧みさによると思う。
氷河期から現在までの気温上昇の異常さは、あのグラフを見ただけで一目瞭然。
ゴアの語りは、事実をより印象深く刻みつけてくれる。

だが、この映画にはそういった演出がほとんどないのだ。
今起きている事実を知るきっかけには良い映画だと思うけど、より詳しく知ろうという気持ちになれないのがちょっと辛い映画だった。

『ダーウィンの悪夢』(DVD)
監督:フーベルト・ザウバー
点数:5点


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