先日、職場に中山岬(みさき)君が来た。今春高校に入学したそうだ。
ビーバー時代には、かずかずのエピソードをのこしてくれたスカウトだった。
夏のキャンプで野島海岸へ行った時、人数確認のためにと女性リーダーが各スカウトに黄色のリボンをつけたキャップをかぶらせて活動させたにもかかわらず、途中で、どうしても一人足らない。
私は、あせって探しまくった結果、海岸に突き出たコンクリートの桟橋の一部に割れた箇所があり、そこへ行って奥をのぞくと、そこに潜ってウミウシやらを取って観察している岬スカウトを見つけた。
「おまえ。ここにいたのか!ずいぶん探したぞ!」と言ったら、彼は、くるくるした大きな目で泣きそうな困った顔で私を迎えてくれた。海岸から吹き付けてくる風で彼の髪はなびきながら、唇は紫色になって、全身がたがた震えていた。
残念ながらと言うか予想どおり、この話を岬君に話したが、まったく記憶していなかった。