Studio Fritz Nathan

スタジオ・フリッツ・ナタン
福岡市中央区平尾にある、貸しホールです。

8.再現芸術とは・・

2012-12-17 21:37:17 | Blog
2月9日・木曜

そもそも演奏するとは何だろう?楽譜がある音楽の演奏とは再現する芸術である。
だが、ただ再現するということは成り立つのか??絵画・彫刻や詩・文学などの芸術は、出来てそこに存在する。
それをこちらが味わう。そこに存在するもののエネルギーを感じる。

だが、音は第3者を必要とする。演奏者によって表現されて初めてそこに生み出される。
芸術は表現される、、でも次の瞬間には消えて行く。一期一会だ。そこにはリスクが伴う。

再現するだけなら、同じ録音を繰り返し再生すればいい、、だが驚くことに同じCDでさえ聴くときによって随分違う演奏なのだ。。

ある有名なアメリカ人ヴァイオリニストが、「自分は、実際に聴衆の前で演奏するまでは本当にその曲のことを知ることは無い。」と言ってたのに共感し考えさせられた。楽譜自体は音楽ではない。

作曲者の遺言?みたいな暗号みたいな楽譜が有って、それに演奏者の気質や日々の訓練、その日のコンディションが有って、で、演奏者が聴衆とのコミュニケーションによって、またホールの音響、雰囲気も加味され一回性のものが表現される。音楽は生き物だ。

作曲者の死後も、作品そのものは「取り扱い注意!」と記されて漂っている。
演奏者が楽譜を理解し、もはや楽譜そのものー紙きれのなかには音はないーという域までいって、演奏者自身の芸術によって作曲者の仕事を完成させるのだ。

申し訳ないけれど作曲者は自分の作品を世にだしてしまった後は、どこでどう演奏されようとコントロールは不可能だ。こう演奏されるべき・・みたいなのは自分は信じない。全ての音楽は即興的なものだ。

演奏者は楽譜をただ正確に理解するだけでなく生きたその瞬間のものにする。
バッハやモーツァルトの霊が、私たちの個性的な演奏を聴いたら、「うん。私の曲に対する君のそのアプローチ、気に入った!」と言うに違いないのだ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。