65オヤジのスタイルブック

名画は嘘をつく・書感

気になる本をつんでおいては、その時の気分で並列的に読む僕の読書には、時間がかかります。

たまにはアート店主としての役割を果たしたいと西洋美術史家である木村泰司著の「名画は嘘をつく」をご紹介したいと思います。

美術鑑賞において、固定概念なく鑑賞することは感覚的には大切だと思いますが、その作品が写実的な名画であるほど、単純に好みで判断しきれいな絵としか思わない感覚に陥りがちです。特に人気の展覧会ではゆっくりと作品を見つめる時間も少ないです。ただ漠然と展覧会に足を運び鑑賞するだけではもったいない話です。

この本は、名画の持つ「嘘」を10のタイトルから紐解いています。例えばレンブラントの夜警は、夜ではなく昼を描いている。もっとも美しいと言われるモナリザは、レオナルドの技法の自慢。ルノワールのムーラン・ドラ・ギャレットは舞踏場ではなく、労働者のたまり場。フェルメールの真珠の耳飾の少女は、肖像画ではなく歴史画。誰もが知っている名画の秘密が明らかになり、名画の中にある嘘を様々な視点で暴いていきます。構成も右に解説と左にカラー版の作品が掲載され、絵画を観ながら基礎知識も学べる、お得な美術本となっています。

今回の本は、そうした絵画の一面的な見方を見直してみると絵に対する様々な視点が芽生えてくるきっかけになり、絵画の魅力がひろがってくる嘘から本質が見えてくる本です。


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