映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ジャズトランぺッターチェット・ベイカーをイーサン・ホークが演じた「ブルーに生まれついて」です。
ジャズファンならずとも誰もが知っている名曲「マイファニーヴァレンタイン」を生んだチェット・ベイカー。あの歌声は決してうまいととは言えませんが、不思議な魅力があり、カバーする人もチェットの世界に入り込んでいく。
ジャズ界のジェームスディーンと言われたチェット・ベイカーは、白人に対して偏見を持つジャズ界において、ブルーに生まれついたことで、反抗者としてのプレッシャーの中でドラッグに手を染めたのではないかと思います。
今回の作品は、薬物によりトラブルで前歯と顎のトランぺッターにとって致命的なケガを負いながらも、最愛の人との出会いにより奇跡のカムバックと果たすまでの、彼にとって最も苦しくも幸せな時間を描いてます。
結局は恋人とも別れ、薬物依存から脱することが出来ず謎の転落死により58歳の生涯を閉じるのですが、ブラックとブルー、東海岸と西海岸というジャズにおいての反逆の人生がおもしろい作品でした。それも、すべてチェットと分身のようなイーサンホークの名演に尽きます。
スクリーン全体を包み込むような儚くも美しいチェット・ベイカーの音とイーサン・ホークの演技を楽しんでください。