フィンランドの国民的名作を映画化し、国内興行収入ナンバー1に輝いた戦争映画「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」を鑑賞。
今や日本で注目を浴びている北欧の国フィンランド。今回の映画は、日本ではほとんど知られていない第二次世界大戦下が舞台です。僕もこの時代のフィンランドのことはまったく知らなかったのですが、北欧の小国が隣合わせのソ連に対して、いかに生き延びたかがわかる作品です。
原作は、フィンランドの古典的名作小説「無名戦士」で祖国防衛のため隣国ソ連軍を相手に戦った兵士たちの姿を描いています。1939年から40年にかけてソ連との「冬戦争」で独立を維持したフィンランド軍。翌年41年、なおも侵略を試みるソ連に対して、ドイツの力を借りて再び戦争に突入。前線で活躍した4人の兵士にスポットをあて彼らが何を考え戦ったかを克明に描いています。
4人の兵士たちは、年齢も境遇もまったく異なるのですが、極限の戦時下で人間味あふれる感情と行動を最前線を死守していきます。秋から冬にかけての過酷な大自然の森の中で繰り広げられる爆撃と銃撃の嵐。そんな戦争状態なのに、どのシーンも美しく感じられる不思議な魅力を持った映像の中で、戦争にかかわった無名の戦士たちの、本当の目的が明らかになっていくと、戦争ほど人間の本性が表れることを突き付けられます。
時に戦争は、祖国を守るという目的のために美化されますが、戦争の持つ大儀名文など、この映画の無名の戦士たちの姿に接すると無意味に感じます。愛する家族を守るために戦った兵士の姿に感動する名作戦争作品といえるでしょう。
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