映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は2017年の韓国パニックムービー「トンネル 闇に鎖(とざ)された男」です。
韓国で700万人を動員し、その結末に賛否両論を巻き起こした問題作として紹介しないとと思ってましたが、アマゾンプライムでの視聴が出来ましたので早速観賞しました。主人公を演じるのは、チェイサーなどで知られるハ・ジョンウ。監督は、最後まで行くのキム・ソンフン、他にも妻役にペ・ドゥナ、救助隊長に、オ・ダルスなど実力派俳優が顔を並べています。
内容は、トンネル崩落事故により閉じ込められた主人公とあらゆる手を尽くし彼を助けようとするレスキュー隊の姿を描いたヒューマン作品ですが、そこにあるのは、公共事業の手抜き工事による人災と同時期に起きたチリの崩落事故と絡めた興味本位の報道、さらに生存率が低くなる中で、突発的な事故により世論の変化と被害者家族への仕打ちなど、様々な要素が巧みに絡まって、政治や社会、国民意識などの様相が噴出する社会派ドラマの一面も色濃く残しています。
また、この作品のすばらしさは、恐怖と不安だけをあおるパニック映画とは違い、極限下に置かれた主人公の楽観主義に基づいたユーモアが、観る者にどこか共感と勇気、そして主人公への励ましを共有していくところだと思いました。
緊張感とユーモアが入り混じった異色のパニックサバイバル。最後まで目が離せない秀作です。