書家であり抽象画家でもある篠田桃紅の百寿をお記念した展覧会が岐阜の四会場(画廊光芳堂の個展は終了)で開催されています。今回は、関市役所内にある篠田桃紅美術空間を観賞しました。
篠田桃紅氏は、大正2年生まれ。女流書家として、また独自の抽象表現を駆使した現代画家として国際的に活躍されています。今年の3月に百歳を迎えられてなお、精力的に活動され、今回の展覧会は氏の全貌展ともいえます。
氏の父親が岐阜の出身と縁のなか、当地で開催されることは地元ファンにとっては幸運な展覧会と言えます。
今回の会場では、1990年代-現代に至る、金、銀、プラチナの箔に墨痕鮮やかに創作書の屏風作品や抽象作品の額装。リトグラフや挿絵原画が並び、氏の幅広い創作活動を知ることができます。会場もライティングを押さえた静かな空間で、氏の幽玄な世界が際立つ演出で、雑念無く作品と対峙できる素敵な空間でした。
特に銀箔屏風の「心」と金箔屏風の「豊」と題された現代書が印象的で、静と動の世界が融合するような感覚を持ちました。
他の2会場では、岐阜県現代美術館では1950年代-1960年代の作品が5月23日まで、岐阜県美術館では、1970年-1990年の作品を5月12日まで開催中です。
書道ファンにも現代美術ファンにも魅力的な展覧会だと思います。ぜひ生命力あふれる「墨彩の美」を堪能してみてください。