昨今、蕎麦屋の風情が変わりつつある。茶々丸オヤジが思うに、かつては、老舗の蕎麦屋で修行を重ねた熟練の職人により蕎麦は打たれた。
今は、どうか?蕎麦道場といわれる場所で、さして修行を重ねずにわか仕込みにお店を出す。そんな蕎麦屋が増えたように思います。打ち手の技術が劣れば、その風味に差が出てきます。
特に名古屋地区では、紗羅餐の出現により、その形態は著しさを感じます。
今回紹介する「稲光」さんも紗羅餐系の蕎麦屋です。脱サラでお店を出した方で、ご主人は中で黙々と仕事をし、少々ぎこちなさが残る奥様が接客をされています。
正直言って、調理にはかなり時間もかかったりしますが、ご夫婦でまじめにお店を切り盛りされているので、お客様もやさしく見守っている感じのお店です。
しかし、ご主人のそば切りの腕と蕎麦ともに出される天ぷらのサクサクと食感はお見事です。もちろん蕎麦打ちの腕も確かで、喉こしと風味も確かなものです。
蕎麦と真摯に向かい合い、日々精進を重ねた主人と真面目なおもてなしの奥様が営む家族的蕎麦処の心のあたたかさを感じてみてください。
写真は、お昼の稲光膳。黒米の入ったご飯と蕎麦豆腐、香物が付いて900円