映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、カンヌ国際映画祭ある視点部門・審査員賞など外国映画賞で最多15冠に輝いた「フレンチアルプスで起きたこと」です。
42歳のスエーデン監督オストルンドによる長編作は、日常の中で起こりうる人間の危機に対する行動と心理を家族と言う身近な共同体に投影した、気づきそうで、なかなか気づかない視点で描いた傑作です。
フランスの高級リゾート地にスキーバカンス出かけた4人家族が人口的な雪崩により夫が家族をほっておいて逃げ出したことで、妻と二人の子供との間でぎくしゃくし始め、家族の間に生じた溝を埋めようともがく様を描いています。
和気あいあいでバカンスを楽しんでいた家族に起こるハプニングの中で、夫、妻、子供たちのそれぞれの感情のぶつかり合いが、誰もが身につまされる出来事で、そこで出会う人々の交流が加わって事態は悪化、家族の行く末を我がことのように心配する体験を味わうことができ、感情や心理状態を照らし合わせながら共感を生む作品だと感じました。