今回の映画レビューは、スピルバーグ監督の自伝的作品「フェイブルマンズ」です。
スピルバーグ作品の魅力はエンターテーメントから歴史ものに社会派ドラマまで多種彩々の作品を生み出すところにあると思ってます。今回の作品は、スピルバーグが生み出す映画への思いを自らの生い立ちに乗せた青春グラフィティ作品と言えます。
物語は映画の触れるきっかけとなった少年時代から始まり、ボーイスカウトやハイスクール時代の映画製作にいたる原点や映画の道が開かれるまでの姿が家族や友人たちとの交流を通じて描かれています。そんな中で映画人としてのスピルバーグを育んだ母親の存在が大きくクローズアップされています。
そんな母親を演じたミシェル・ウイルアムズと主人公のサミー・フェイブルマンを演じたガブリエル・ラベルは、まさに本物の親子のような演技で特にミシェル・ウイリアムズは自由奔放に自らの思いをストレートに伝える母親を見事に演じていました。予告編では仲の良い家族の姿がクローズアップされていますが、家族が抱える影の部分も隠さず描かれています。
スピルバーグ作品の中では傑出した作品と言えないかもしれませんが、スピルバーグが映画の原点となっていてスピルバーグを知るうえで大切な作品と言えます。