マーティン・スコセッシとアンドリュー・ラウがタッグを組んだ映画「リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン」観賞
僕がこよなく愛する作品のひとつに「インファナル・アフェア」があるのですが、その監督がアンドリュー・ラウ。この作品はリメイク作も多く、ハリウッド版をディパーテッドとしてリメイクしたのが巨匠スコッセシなのは、映画ファンなら周知のことと思います。
その二人がスコセッシ製作、ラウ監督により完成させたのが今回の作品です。移民改革統制法により密航ビジネスが拡大、アジアアンマフィアが生まれることなった1980年代のチャイニーズマフィア「グリーンドラゴン」を描いた実話に基づいたもの。6年の歳月をかけて完成させたことでも、二人の意欲が伝わります。
物語の中心をなすのが不法移民の子サニー、10歳で殺人を覚え裏社会に身をおいた孤独な少年。グリーンドラゴンのボスでサニーを弟のようにかわいがるポール。そして密航ビジネスを仕切る女。この三人の関係が複雑に重なりあり、予想不可能な結末へと進んでいきます。
表向きはアジア系移民の中で生まれたギャング抗争が描かれていますが、根底にあるのは移民改革統制法により、市民権を得るようになった中国人を中心に移民が拡大、と共に底辺で生きる人々が増え差別も拡大するアメリカ社会の闇を描いているところに、この作品の凄みの中にある深い悲しみを感じる作品でした。