映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。韓国で実際に起こった犯罪事件をもとに作られた問題作「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」です。
日本でも青少年の犯罪が残酷化の傾向にある中で、隣国の韓国でも性犯罪の著しく深刻化しているそうだ。それは、韓国映画でも如実に表れていて、僕の映画評でもそうした問題を取り上げた作品を紹介してきました。
今回の作品は、過去の作品の中でも、心が強く痛む作品です。「ハン・ゴンジュ」は、2004年に起きた密陽集団性暴行事件を題材しています。
事件後に担任教師の力で転向し、新しい学校生活を送ろうとする主人公のハン・ゴンジュの周囲の教師や警察、大人たちの関係と心模様を淡々と描きながら、過去の事件をフラッシュバックさせながらゴンジュの心の奥底にある痛みを少しずつ浮かび出していきます。そんな、彼女の唯一の希望は、その美しい歌声でしたが、その希望が皮肉にも彼女の才能により壊されてしまう。悲しくて涙も出ない、彼女の周りを取り巻く人々に対して、ただ憎しみだけが残るものになってしまいました。
それほどまでに病んでしまっている社会は韓国だけの問題として終わせてならないと感じます。その深い闇を目を背けずに観ることが、この映画の持つ使命と感じました。