映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「少年と自転車」です。
カンヌの常連監督はダルディンヌ兄弟が、日本で出会ったエピソードを元に出来た作品で、育児放棄を受けた少年と里親に女性との間に生れる情愛を描いた作品です。
物語は、児童養護施設に預けられた12才の少年シリルが、父親に買って貰った自転車が売りに出されているのをきっかけに美容院を営むサマンサの週末だけの里親になることに。
行方不明の父親を捜し、再会を果たしてたシリルは、父親から残酷な別れを告げられます。自暴自棄の中、少年犯罪に手を染めて、大きな事件を起こしてしまいます。
その事件を通して、シリルとサマンサを新しい親子の絆を築いていくのですが、また思いもしない事件に巻き込まれてしまいます。
日常の中にある社会問題に真正面から取り組み、鋭くメスを入れながらも包み込むような手法で問題提起されると、他人事では思えない感覚を抱きます。
今回の作品は、日本の児童養護施設で育った少年の話がきっかけとなって生れたそうです。
児童虐待や育児放棄の問題は、日本のみならず、どの国にも大なり小なりある国際問題です。自己防衛の中から生れた少年犯罪を一般の人々が善意で救っていく、親に捨てられた子供を社会がどう受け入れ、育んでいくか。きれいごとではない世界がこの作品を通して描かれているように感じました。