有元利夫「近ずいた朝」初公開コレクション
美術において花、静物、風景、人物などの様々なモチーフが存在します。中でも古今東西を問わず、人を主題とする作品は、画家の特色を顕著に表している場合が多いです。
今回のメナード美術館で開催中の「ひと 人・顔・姿」はその特色を理解するうえで格好の展覧会です。
今回は中世ヨーロッパの人物像をモチーフに独自の世界観を持っていた早逝の画家、有元利夫の作品2点は初公開されたこともあって、興味深く展観しました。
顔ー身近な人々では、ルノワールやアンソール、マティス、ピカソなど顔をモチーフにした作品に特徴がある巨匠の作品に日本の洋画家の名だたる人物作品がずらりと展示されています。どの作品も画家の特色を強く印象付けます。
また、近代日本画家の作品には、姿ー歴史、信仰をテーマに歴史上の人物の肖像画や歴史絵巻が並び、人ーかたちのテーマでは、風景の中に時に佇み、時に躍動する人の動きに特色のある作品が並んでいます。
花や風景は、作品の中にダイレクトに入り込むイメージを持ちますが、ひとは、画家が描く個性的な顔立ちに加え、そのしぐさからモチーフの人物と語りあうようなイメージを持ち、想像力を掻き立てられます。
鑑賞画の世界では、人物や花や風景と違い忌み嫌われる傾向がありますが、名画の持つひとの魅力は人物や風景を超える力を持っているように思います。
今一度、「ひと」の持つ芸術の魅力にふれてみてはどうでしょうか。