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マリー・ローランサンとモード展 名古屋市美術館

今回の展覧会は、同時期に生まれ1920年代にパリで活躍した画家マリー・ローランサンと服飾デザイナーのココ・シャネルにスポットをあてパリで芽生えた新潮流を紹介する先鋭的な美しさで彩れた展覧会です。

パリで生まれピカソやブラックなどの交流を通じて新しい芸術表現に挑んだローランサン。淡い色調と独特な美しさのあるフォルムで描かれた女性像は女性ファンのみならず世界的にも愛された芸術家です。一方フランスの片田舎で育ち、自らの才能でファッション業界に一石を投じシャネルスーツに代表される独自のファッションを作り上げたシャネル。

今回の展覧会は異なる意識を持った女性の才能が対峙するような展示となっています。そのことを裏付ける作品としてシャネルが自らの肖像画を依頼しながらその作品に異議を持ち受け取りを拒否したシャネルと画家としての信念を貫き修正しなかった作品「マドモアゼル・シャネルの肖像画」とマリー・ローランさんの「わたしの肖像画」象徴的に出迎えます。

 

マリー・ローランサンの作品は、二つの大戦の狭間で花開くパリの「狂騒の時代」に絢爛華麗な社交界の女性たちをパステルカラーもシンプルな表現で描いていますが、こうした表現が受け入れられたのも当時の社交界の持つ気質ではないかと伺われます。また当時のパリは若き芸術家たちの集まる場でもありピカソやブラックなどの画家たちはもとより、コクトーやマンレイなどの様々な分野で新しい文化が花開いていきます。

ローランサンもそうした人々の影響を受けキュビズムの技法や舞台芸術や装飾芸術の分野にも進出しています。そうした功績もバレエ・リュスの映像やタペストリーなどの装飾などで紹介されています。

後半ではローランサンの作品と共にモダンガールの登場により新たなファッション・アイコンとして生まれたシャネルの衣装や作品が展示されカール・ラガーフェルドによる現代に継承されるシャネルの功績が紹介された展示となっています。

ともすれば画家の周辺による展示しかなされなかったマリー・ローランサンですが、同い年でありながら異なる美意識を持って同時代を代表する女性であったシャネルとローランサン。響きあう二人の芸術の調べは異なるも魅力的なものでした。絵の好きな人もファッションが好きな人も共に楽しめる展示となっています。

会期は9月3日まで、巡回展の最後となる展覧会ですので興味のある方はお見逃しなく。

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