緑のカーテンとゴルわんこ

愛犬ラム(ゴールデンレトリバー)との日々のあれこれと自然や植物、
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NHK大河ドラマ「光る君へ」映像が語り始める その2

2024年11月10日 | ドラマ

映像が語り始める その2 父、道長と娘、中宮彰子の対立

病が重くなった一条天皇が退位を決意し、居貞親王への譲位を行うこととなり、次期東宮を決めねばならなくなった。一条天皇と亡き皇后定子とのあいだの第一皇子である敦康親王がその有力候補であるが、左大臣道長は我が孫、一条天皇と中宮彰子との子、敦成親王を東宮へと動き出す。わが思うままの政を行うためには孫の敦成を東宮にしてゆくゆくは天皇にして外戚として影響力を持つこと、いまの道長にはその道を進むしかない。

その道長の前に立ちふさがろうとしたのは、なんと娘の彰子だった。かつては「仰せのままに」としか言わない自分を出さなかった娘が、しっかりとした考えをもち、周りの状況や人の気持ち、思いもわかる確固たる自己を持つ一人の人間として、父に物申している。

「父上はどこまで私を軽んじるおつもりですか?帝のお気持ちは敦康親王さまにあったはず。父上が追い詰めたのですね。私は敦成の母であるともに敦康親王の母でもあるのです」帝に翻意をうながすために立ち上がった中宮彰子をがちっと腕をつかんでおしとどめる道長、「政を行うは私であり、中宮さまではございません」

黒の直衣をつけた道長が、まるで人形浄瑠璃の黒子のように見え、長い髪の彰子は黒子に操られる人形のような構図である。確かにかつては彰子は操られる人形、「いけにえの姫」であった。しかし今は、人の子の母となり、愛する一条天皇もいる。かつての仰せのままに動く人形ではない。しかし、まだ父の存在は大きく、ぶつかって突破するには堅固すぎる壁である。彰子を押しとどめ、立ち上がった道長の高い背と小柄な彰子の差はあまりにも際立ちすぎる。

にらみ合った父と娘、しばしにらみ合うも目をそらしたのは彰子の方だった。去っていく道長を見送りもせず、そば近くに控えていたまひろの前で思わず泣き崩れる彰子、愛する一条天皇の思いも大事に育てた敦康親王の立場も守れなかった無念さ。

「中宮なぞ何もできぬ。藤式部、何ゆえ女は政に関われぬのだ」人形浄瑠璃の≪くどき≫の一節を聞いているような錯覚を覚える秀逸な場面であった。

 

 

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