透明人間たちのひとりごと

もったいない「断捨離」

 「春眠、暁を覚えず」 どころか、OFF の日ともなれば
昼下がりまで、二度寝、三度寝と数知れない夢の中を彷徨
するのが、ボク にとっての 至福の時なのです。

 それは春眠に限ったことではなく年間を通して、こよなくも
睡眠を …、そして夢の散歩を楽しんでいるのです。

 すると案の定、叱責とも嘆きともつかないような声で … 

 「ああ、何てもったいない時間の使い方をするんだexclamation2

 と 1号 さんは ボク の話に ケチ をつけます。

 「もったいない」 の正体って ナン ですかquestion2

 漢字では 「勿体無い」 と書き、惜しいとか、おそれおおい
という意味です。

 「勿体」 とは本来 「物体」 のことで、「もったい」と読むのは
呉音です。

 物の形態やあるべき姿から派生して、重要な部分、物の
本質を表していましたが、重々しさや畏れ多いなどの趣旨
にも転化されて意味が離れてきたために 「物」 が省略され
て 「」 という表記の和製漢字 「勿体」 が生まれたと
されています。

 どこかしら仏教的というか、宗教的なニオイを感じるのは
「神聖なもの」 や 「大切なもの」 を粗末にするような意味が
含まれていて 「ありがたや、なんてもったいないお言葉 …」
などと使われることがある所為なのでしょうか

 ところで、いま流行の 「断捨離」 も文字ズラから想像
されるイメージだけで言えば仏教的に見えなくもありません。

 ボク は、早起きと同様に 「断捨離」 が苦手です。

 というよりも、意識して 「断捨離」 を拒み疑問視する
立場にあるとも言えるでしょう。

 テレビなどで片づけ名人とやらが登場し 「断捨離」
アナタの暮らしを豊かにするとばかりに扇動して物の捨て方
や片づけ方を伝授します。

 「捨てればスッキリ快適生活」 と、これ見よがしにメリット
を強調するのです。

 たとえば、こんな具合ですが … 、

 symbol2 家の中にはデッドストックとなっている何年も使用して
   いない物や頂き物など沢山の ガラクタ があります。

 symbol2 使わない物を捨て、本当に必要な物だけを絞り込み
   不要な物の流入を遮断する。

 symbol2 不用品を捨てる(ガラクタを捨てる行為がきっかけと
   なり、一向に片づかない部屋が整理され忙しい毎日や
   煩わしい人間関係など停滞していた習慣から脱する)
   ことでストレスが軽減されて快適な毎日が過ごせます。

 なるほど、そう言えなくもありません。

 何年も着ていない服、一向に使わない物、ムダとも思える
ようなコレクション類、そうした不要かつ粗大ゴミ化している
とされるものを整理し住居スペースを確保して日々の暮らし
のなかで物心両面をリフレッシュさせ、新たな気持で人生に
臨むという姿勢が共感を呼んでいるのかもしれません。

 
 symbol2kirakira2 それでは、本当に必要なものとは何でしょうかquestion2 

 現時点で必要なものは誰にでも分かります。

 でも、将来必要となる物(想定されるもの以外)は、現時点
では分かりようもありません。

 いまは不要でも未来では必要欠くべからざるくらいに有用
なものも処分の対象となってしまうのかもしれませんよね。

 もしそうだとしたら 「断捨離」 は、物と心のデトックス
(排泄・解毒・浄化)ならぬ無理な ダイエット になって
しまう可能性や危険性はないのでしょうかeq

 ボク が片付け苦手であることは否定しません。

 面倒臭がりの億劫者ですから当然のことに部屋や事務所
のデスクがキチンと整理整頓されていることはありません。

 このことに1号 さんが口煩(うるさ)く注意して来ないのは
同類癖があるのか、同じ穴のムジナなのでしょうか

 然るに ボク は綺麗好きでもありませんし整然としている
とはお世辞にも … いえ、口が裂けても言えませんしね nose7

 でも、だからナンなのですnose8 (おっとケツをまくったか)

 物を捨てる際に(取っておこう)と思うか、(もったいないな)
とでも思わない限りにおいては、その物は捨てられる運命で
何でもかんでもゴミ屋敷の住人たちのようにお取り置きして
いるというわけではないのです。  たっ、多分ネっ、

 すると、

 「断捨離」 の信奉者たちは、その(取っておこう)とか、
(もったいないな) という気持ちが捨てるという行為の障害で
あって、その物の価値や有用・不要に関する判断力を著しく
曇らせ意思決定を鈍らせる最大の元凶だと指摘します。

 確かに、過去1年どころか数年以上も使用していない物の
将来における使用確率は極めて低いと言えるでしょう。

 だからと言って、未来永劫使用しないというわけでもなく
使用するかしないかは神のみぞ知ることなのです。

 それがムダで、いまジャマだから捨てる。

 物は必要な時に必要なだけ、その都度購入すればいい。

 確かにそれなら効率的でムダはないでしょう。

 但し、それには必要な物がいつでも、どこでも、どんな場合
でも、たとえ何があっても、常に必要な分が十分に手に入る
という絶対的な条件が必須となります。

 いざと言う時の保険や防災用品は、たとえ一生涯使用する
ことがなくてもムダではなく、現時点においては使用予定
のないガラクタ的な存在の物は、大いなるムダ
あるといったい誰が決められるのでしょうかeq

 いつ着るとは知れない衣服や使う予定のないガラクタ類が
ひょんな時に思わぬほどに役に立ったという経験を持つ人
は存外に少なくないはずです。

 他ならぬ ボク 自身が捨ててしまったあとで後悔した経験
と捨てずに取っておいてよかったと思った経験の両方を共有
しているからです。

 その気持を代弁するとすれば、不注意にも大金を落として
しまった時の言い知れないショックと忘れていたお金(お札)
がポケットの中から出てきた時の何とも幸せなルンルン気分
とでも言ったところでしょうか。

 ところで往々にして、世の中は矛盾と不都合を好みます。

 誰だって好き好んで、角(芽)を生やした じゃがいも
を後生大事に 冷蔵庫 の奥に 匿(かくま)っているわけ
ではなく、錆だらけの缶詰を大切にコレクションして
いるわけでもないのです。

 … ですが、結果としてそうした光景は日常のひとコマとして
定着しているのかもしれません。

 きれいさっぱりに片づくことが気持ちの良いものであること
は想像に難くありません。

 我慢に我慢を重ねていた末にやっと解放された放尿感や
快便のあとのスッキリ感 … まさに カタルシス です。

 ですから、

  「断捨離」 を実践し居住スペースや収納スペースを
占有する不要とおぼしき品々がきれいさっぱりと処分される
とその分のスペースが空き、何かスッキリとした爽快な気分
とともに、いつまでもムダなものを持ち続けていた自分自身
の愚かさを悔いて、これが 「断捨離」 の効果というもの
なのかと一時の感慨に耽(ふけ)ることもあるでしょう。

 ところが、おそらくは …

 そう遠くない将来に 「何故、アレを捨ててしまったのかexclamation2
と死ぬほど後悔することになること請け合いなのです。

 仮に、デッドストックとされているモノを再利用する機会が
あったとしても、それはあたりまえの範疇で特に意識される
こともないのでしょうが、一旦処分してしまったあとでそれが
有用だと気付かされた時のショックは計り知れないほどに
大きいものです。

 そのものが壊れていたり使用目的に耐えられないものなら
まだしも、当面使用する予定がないからといって現役も現役
のバリバリの働き盛りをお役ご免とばかりに打ち捨てる行為
でもあるのですから …

 それこそが勿体振った(畏れ多い)ことなのです。 

 肯定派、否定派のいずれにとっても、「勿体無い」
真髄たる真の正体こそが本当の意味の 「断捨離」 なの
でしょう。

 つまり 「断捨離」 とは、何事においても、

 執着を断つ、執着を捨てる、執着から離れる

 そうした心持ち、気持ちの問題です

 ヨガの行法哲学、断行、捨行、離行からきた言葉
らしいのですが、この記事もそろそろ 「断捨離」 ― どき
かもしれません。

 ここまで、アナタの貴重でもったいない大切な時間を割いて
お付き合いくださって本当に「断捨離!!」

 … て、それを言うなら ドイツ語 で、

ダンケシェーン(ありがとう)でしょ

コメント一覧

星4つです
捨てるにせよ、捨てないにせよ。
「過ぎたるは ~ 」 なんとやらで、

断捨離もダジャレ(ダンケシェーン)
も無理やりは×バツでしょう。

何事もほどほどに… が肝要ですね!
通りすがりの者ですが
う~ん、「無用の用」とか、「ハンドルのあそび」とか…
無駄なものがあるから有用なものが生きるんじゃないの?

人間は合理的にはつくられていない存在だと思うよ!
ねこっち
整いました。 Mさんに同感です。
通行人 M
単に物を捨てたり処分することが断捨離ではないですよ!
合理的にムリ、ムダ、ムラを無くすことです。
星4つです
概ね同感ですが、「断捨離」を必要だと思う人が、必要な時に
必要なだけやればいいだけのことでしょう。
流行だからやることでもなく、流行らないからしないというものでもないのですから…
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