透明人間たちのひとりごと

桃太郎の家来 <4>

 結論から言えば、イヌ、サル、キジが桃太郎の家来となる
べき理由は何なのかquestion2 については、次の通りと考えます。

 symbol2 諸説紛々とある中から …

 吉備津宮の縁起物語 『温羅伝説』 の主人公である
吉備津彦命(きびつひこのみこと)=桃太郎 が、犬飼部
の犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)=イヌ と、猿飼部
の楽々森彦命(ささもりひこのみこと)=サル と、鳥飼部
留玉臣命(とめたまおみのみこと)=キジ の三人の家来を
従えて<鬼の城>に住む 「鬼」=温羅 (うら・おんら)
を見事に討ち果たしたという伝説からつくられた話だとする
説に最も共感を覚え興味を惹かれたのです。

 取りも直さず、この説が個人的にはイチオシなのですが、
これをベースに加筆を試みることで1号 さん、2号 さん
の見解と5号としてのボクの意見と解釈をほどよく交えて
透明人間たち として完成させたいと思います。

 kirakira2 諸説につきましては 『桃太郎の家来 <3>』
是非、参考にしてみてください

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/254.html(参照)

 さて、ボク が思うには、桃太郎が家来にする動物たちの
順番には大きな意味があったということです。

 それは鬼退治に必要とされるプライオリティー(優先順位)
に従って選出された軍事組織としの最低限の条件を揃えた
決定であったと考えられるからです。

 確か、イヌ、サル、キジ の順だったと思うのですが …

 たとえば、十二支に数えられる動物の順番は時計回りに、
ネズミ、ウシトラ、ウサギ、タツ、ヘビ、ウマ、ヒツジサル
トリ、イヌ
、イノシシの順となります。

 そして鬼門にあたるのが下線のウシトラの方角で、逆方向
はヒツジサルとなりますから、風水に由来する裏鬼門に配置
される動物たちを家来としたとする説の根拠は希薄なうえに
右回りの順番も無視するようでは信憑性は更に薄れます。 

 鬼門に対応する意味で裏鬼門にあたる動物たちを家来に
したとする説が、巷(TV放送など)ではよく聞かれますが、
家来となる順序が、サル、キジ、イヌ の順ならまだしも …
その点からも 風水の裏鬼門説 は不採用とします。

 それでは、桃太郎が最初に家来とした犬飼部であるイヌ
に求めた目的・理由とはなんでしょうかquestion2

 おそらくは、戦闘力の高い主力の機動部隊の編制にあった
ことは間違いないでしょう。

 古代の戦(いくさ)において、潜み隠れている伏兵の発見や
敗残兵の追跡に軍用犬を駆使することは極めて有効な手段
で実際上の白兵戦においても敵に猛然と噛み付いて戦いを
有利に進める戦闘部隊としての犬飼部(猟犬、番犬、軍用犬
を飼育・訓練する職能を有する部族)は必要絶対条件だった
のはないでしょうか。

 1号 さんが指摘するような腹心のNo.2かどうかは別に
しても、組織化された実戦の主力部隊(正規軍)であったこと
だけは疑いようがありません。 

 主力部隊(正規軍)の次に必要となるのが、敵(鬼)を攻略
するための作戦(戦略・戦術等)の立案と事前に敵地に潜入
しての諜報活動や陽動作戦などの実行部隊です。

 それには何と言ってもイヌ の次に家来となった猿飼部
してのサルが最適任だったのでしょう。

 彼らは山部に暮らす部族であり、山岳戦を得意とします。

 鬼ヶ島とはいっても海岸べりに鬼たちの住む城があるわけ
ではありません。

 常識的に城は、山の頂上や高台、高地に築かれるもので、 
鬼の城>とて例外ではないでしょう。

 天然の要害を利用した堅牢堅固な城である可能性を否定
することは出来ません。 

 猿飼部は、現代の山林事業者や鉱山事業者のようなもの
で、木登りや穴掘りはもちろん火薬などの扱いも巧みです。

 敵地に侵入しての偵察や諜報活動あるいはゲリラ戦など
を得意とする集団で、例えて言えば、忍者部隊のようなもの
なのかもしれません。

 彼らは人里離れた集落での暮らしが大半なので、犬飼部
のような組織人ではなく独立した存在だったと思われます。

 作戦行動を円滑する意味での兵站の破壊や敵戦闘部隊
の牽制および挑発や攪乱などのゲリラ的な遊撃戦を展開
するだけでなく主力である正規軍(イヌ)の戦闘能力に呼応
したかたちでの側面攻撃や後方支援の任務も併せ持った
神出鬼没なる特殊部隊だったのではないでしょうか。

 サルに軍師や参謀的なイメージをダブらせた1号 さん
2号 さんの見解と多少異なるのがこの点です。

 作戦は合議のうえで最終的には、桃太郎 が決定したと
考えていますので、その際にサルが軍師や参謀的な意見
を具申したかもしれませんが、やはり ボク は家来としての
サル の第一義的な要素(意味合い)は、特殊能力を発揮
しての別働部隊にあったものと考えます。

 そして、副次的な任務としては敵地に潜入しての諜報活動
(地上や樹上からの敵情偵察と情報収集)の使命も併せて
課せられていたものと推察されます。

 さて、主力部隊(正規軍)の イヌ と特殊部隊(別働隊)と
してのサルが揃ったところで、肝心要の作戦ですが … 

 机上の空論とは言えないまでも、情報量と正確性に限りの
あるサルの偵察(地上や樹上からの)データだけでは完璧
なる作戦の立てようがありません。

 そこで、次に家来にしたのが、空からの偵察や哨戒行動の
ほかに俯瞰的な情報の収集と頭上からの先制攻撃が可能と
なる鳥飼部(空軍)としての キジ なのです。

 キジ の偵察・哨戒・斥候における適性とその能力の高さ
については 2号さんの 『桃太郎の家来 <2>』
詳しく記されているので、紙面の都合上ここでは割愛します。

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/253.html(参照)

 作戦立案の前提となる敵情偵察による情報の収集は必要
不可欠な用件ですが、ボク桃太郎が配下の家来と
して配備するうえで重要視したのは、むしろ、空軍力としての
キジ の戦力にこそより重点が置かれていたのではないか
ということです。

 近代戦ならいざ知らず、古代の …、しかも鬼たちに対する
宣戦布告もないままの … 言わば 奇襲攻撃 です。

 頭上からの先制攻撃が如何に有効的かは、火を見るより
も明らかでしょう。

 この場合の空軍とは頭上から襲ってくる矢玉のことです。

 矢玉とは、目標に照準を合わせて強制的に打ち放たれる
自動推進ではない武器を言います。

 つまりは飛び道具のことで、吉備津神社の縁起物語による
鳥飼部には、先の留玉臣(とめたまおみ)の他にも名方古世
(なかたのこせ)なる名前も見つけることができます。

 そこで鳥飼部ならぬ鳥取部(ととりべ)なる弓矢を駆使して
鳥を捕ることを職能とする一群(部民)の存在が俄(にわ)か
にクローズアップされて来るのです。

 そうした鳥取部たちの長のひとりが留玉臣(とめたまおみ)
で、名方古世(なかたのこせ)なる長を戴(いただ)く、別の
グループとしての存在も当然のことにあったのでしょう。

 彼らもまた、優れた弓矢の技能によって強固な軍事集団と
しての一定の地位を確立していたのではないでしょうか。

 こうして二つの名前が残っているのは、複数のキジたち
(鳥取部)が戦闘に加わったことを示唆するものでしょう。

 このように、

 温羅(百済の王子)の住む<鬼の城>=<鬼ヶ島>への
遠征には、主力の正規軍(イヌ)以外にも様々な特殊技能を
持った部隊(サル・キジ)を召集したわけで、事前にそれだけ
の軍備を整えての侵攻であったということは、国を挙げての
一大総力戦を展開しての征伐だったことが想像されます。

 それにしても、『桃太郎』 って、うまく出来ている話だと
思いませんかeq

 ボク の知る限りでは他の説を調べてみても、それなりに
納得させる説得力を秘めています。

 儒教的な意味合いでは、イヌ=仁、サル=智、キジ=勇、
を表わすという説にしても …

 陰陽五行説では、桃(桃太郎)、申(サル)、酉(トリ・キジ)
、戌(イヌ)はどれも金(宝物)を意味するという説にしても …

 先に挙げた風水の裏鬼門説にしても … 然(しか)り

 それは、まあ、確かにそうではあるけれど、

 あれこれ、なんだかんだと御託を並べ連ねてみたところで、
「攻撃の主力であるイヌ咬み付き、遊撃戦(ゲリラ戦)の
得意なサル引っ掻きまわし、鋭い嘴(くちばし)を使って
突っつきまくるキジ のように、空からは無数の矢が降って
くる」 といった昔話の素朴な表現の方が桃太郎の家来の謎
とその真の意味を端的に示しているようにも思われます。

 SIMPLE IS BEST 子供向けの単純な構成
の話の中身を、大人としての知的な好奇心から覗いてみると
実にシリアスで、シビアで、タイトな物語(大人のメルヘン)が
しっかりと収められていることに気付かされます。

 どうやら、年齢や経験を重ねることで、その内容も価値も
輝きもが変わる摩訶不思議な代物が、童話や昔話といった
物語のなかにあって、時として気まぐれな好奇心がそうした
謎や秘密を解き明かすことがあるのかもしれません。

 真実とは、案外なことに気付かぬうちに、そのまま如実に
表われて出て来るものなのかもしれないのです。

 さて、桃太郎つながりで言えば、

 桃太郎にあこがれていた 1号 さんが、小学校1年生の
学芸会の主役である桃太郎役に、イの一番に手を挙げて
立候補をした際に 「君は桃太郎に相応(ふさわ)しくない
と担任の女の先生から拒絶されたことで、幼心にも人間の
分相応というものを思い知らされたという例の件(くだり)が
ちょっぴり泣けて面白い 『えっ!全員主役 !?』
、現時点での当ブログ内の一番人気の記事です。

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/156.html(参照)

 kirakira 今回、投稿の順番を譲ってくれた 1号 さんに対する
これは、ほんのお礼のしるしの宣伝広告です。

 ところで、

 人生は誰もが主役です。  代役はいません。

  … だとしたら、幕が完全に降り切るまでは懸命に舞台を
務め上げる他はありません。

 ボク たちはそれぞれに自分物語の演出者にして、その
主役を演じる演技者でもあるわけですが、自分自身の役柄
に背伸びすることなく、そのままの等身大に、過不足のない
演出と演技を常に心掛けて生きて行きたいものです。

 大昔の桃太郎や家来たちのように、

 イヌ ならイヌ として …、サル なら サル らしく …、
キジならキジのように …、そして、ひょっとして、貴方が
もしも 桃太郎 だったならば 桃太郎 の如くに演出し、
見事にそれを演じ切るのです。

 いや~あ、まいった ase2  参ったなぁ

 以前に記事にした 『夢の国のアリスとテレス』
のような展開になっちゃたよexclamation2

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/172.html(参照)

 今度は、ちゃんとした シミュレーション をして、

 不思議の国の一寸法師 にでもなろうかな

コメント一覧

透明人間5号
そうですね。 バカボンのパパのパパさんには、到底、敵いません。
バカボンのパパのパパ
なんてたって、やっぱり、わしが主役なのだ!
透明人間5号
なるほど、エキストラですね。
でも、通りすがりからみた歴史やドラマも視点や切り口が
変わって見えて新鮮なのかも、なんてったって、アナタが
主役なんですから …
通りすがりの者ですが
主役・脇役はべつにしても歴史群像のひとりにはなりたい。
多くの人々やその他大勢のようなエキストラではなく、
せめて台本に名前のあるような人物にね!

そうは言っても投稿者名は、通りすがりの者なのですが…
茶山竜之介
厳密にかつ正確にいえば、人生は誰もが主役であり、
また脇役でもあるということではないでしょうか。
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