Aino's Dream

職業写真家Aino(日本写真家ユニオン会員)のオフィシャルブログ。写真って夢みたい。。ゆるりゆるりと夢を追い続けて。。

「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル

2013年03月23日 | 

 

この本は言わずと知れた、あのアウシュビッツの強制収容所にいた精神科医が語ったものである。

人は極限に立たされた時、過酷な労働、死への恐怖、それを目の当たりにしたときに、どうなるのかが克明に記されている。

彼は体がどんなに蝕まれようが痛めつけられようが、精神は自由であると言った。しかし、自由とはどこの方向にもいけることを意味することが分かった。生きる気力を失ったものはすぐに死に、また下劣でずる賢く生き残ろうとしているものはサディスティックな監督官の手下に成り下がった。一方で精神的な高みに達する人もいた。フランクルは仲間を励ます時に、無意味に死んではいけないと言った。

一番心に残っているのは、何故生きているのか?と問うことではない(実際みんな、この過酷極まる状況の中でどうして?と問わざるを得なかった)、生きるということが私たちに問うているのだ、と。人間としての尊厳を守って生きられるかどうかだ。

私の祖父は、戦争でシベリア抑留となった。祖父はロシア語ができたので、それほどの重労働を課されずに済んだ。祖父はシベリア抑留で何があったのか1回も話したことはなかった。しかし、私は信じている。祖父が捕虜の身であっても、特別扱いされる身になっていても、決して、下劣な人間に成り下がらなかったということを。人間の尊厳を守ったということを。それは、祖父のもとに、もと日本兵から何枚も、年賀状が届いていたからだ。


村上春樹について

2013年03月23日 | 

 

最初に村上春樹の小説に出会ったのは、彼のデビュー作「風の歌を聴け」だった。図書館で借りたものだった。ひどく退屈な小説ではないか、と思いながらも、私はその本を買った。それ以来、彼の本は全て買い、2回以上は読んだ。

誤解を招きたくないのだが、私は村上春樹の盲目的な信奉者ではない。ただ、何かが私に村上を読ませる。

彼の本について感想を書くのはとても難しい。そこには何かがある、感じていてもそれを言葉にするのは困難だ。そして、彼自身も何かの感じ、を言葉にしているのだと思う。その何かの感じを言葉にできるところが彼の異才なのかもしれない。

今も村上春樹の何度目かの読み返しをしている。何も求めてはいない。そして彼自身も読者にそれを期待していないと思っている。