埼玉県戸田市の市立美笹中で男性教員(60)が刃物で切りつけられ負傷した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された高校生の少年(17)=さいたま市浦和区=が「無差別殺人に憧れがあった」という趣旨の供述をしていることが2日、捜査関係者への取材で分かった。「誰でもいいから人を殺したいと思った」とも話しており、県警は強い殺意があったとみて詳しい経緯を調べている。

捜査関係者によると、1日午後0時20分ごろの事件発生時、校内では1、2年生が試験中で、180人の生徒がいた。少年は侵入時間について「確実に学校がやっているため」と供述しており、生徒や職員が確実にいる時間帯を狙ったとみられる。同校の防犯カメラには、正門から校内に入る少年とみられる人物が映っていたという。

男性教員は腕や腹に複数の刺し傷があり、重傷だった。生徒にけがはなかった。少年宅の家宅捜索で、ナイフやタブレット端末、スマートホンを押収。憧れの対象として、過去に発生した具体的な無差別殺傷事件に言及しているといい、県警はタブレット端末やスマホの解析も進める。

戸田市と隣接し、少年宅のあるさいたま市では2月、切断されたネコの死骸が相次いで見つかり、県警が動物愛護法違反容疑で調べていた。捜査関係者によると、少年が関与をほのめかしており、関連を捜査している。

戸田市教育委員会によると、美笹中では2日、生徒のカウンセリングを行った。一部の生徒は事件のショックから登校できなかったという。2日に予定していた試験は3日に実施する方針だったが、生徒の心情を踏まえて来週以降に延期することにした。