自民、派閥解消の機運乏しく=執行部に領袖勢ぞろい
2023/12/24 14:06
自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、世論の「政治不信」が強まっているにもかかわらず、党内で派閥解消を目指す機運は乏しい。執行部の中核を占める各派領袖(りょうしゅう)に、自らの権力基盤を手放す気配は皆無。無派閥議員の間にも、議論を喚起する動きは見当たらない。
「政策集団としてそれなりの役割を果たし、いい仕事もしている。全て否定するのはいかがなものか」。森山裕総務会長は22日の記者会見で、派閥批判にこう反論した。
「政治とカネ」の問題を巡り、同党は過去に派閥解消の方向性を打ち出したことがある。リクルート事件を受けて1989年に策定した「政治改革大綱」で、党幹部や閣僚について「在任中派閥を離脱する」と明記。しかし、現在の執行部メンバーを見渡すと、麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長、森山氏は自身の派閥を率い、岸田文雄首相(党総裁)も今月まで岸田派会長を務めるなど、空文化は明らかだ。
大綱策定の当時を知る船田元・衆院議員総会長はメールマガジンで、かつての政治改革の動きについて「派閥解消を目指した。しかし、生き残ってしまった」と述懐。改めて「派閥の解消・廃止」の議論を訴えた。
これに対し、それぞれ50人超の派閥を率いる麻生、茂木両氏には、「派閥の『数』が力の源泉」(党関係者)との思いが強いとされる。首相自身、主要派閥の協力を得て政権基盤の安定を図ってきた経緯などから、踏み込んだ議論には及び腰の姿勢が目立つ。
党内で70人超の無派閥議員も、多くは派閥解消論と距離を置く。閣僚経験者は「問題は政治資金の使い方だ。派閥の存在自体ではない」と明言。「捜査の途中で議論するのは時期尚早だ」(若手)との声も漏れる。
「野党が弱くなり過ぎて、自民党内の危機感が薄くなっている」。党内論議が盛り上がらない背景について、政府関係者はこうした見方を示した。
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