
ご用達Milehigh Comicsが現金を確保するために行ったセールで買った1993年のSPIDER-MAN(時々”SM”)の姉妹紙クロスオーバーのレビューを今回は書こう。ファンの間では悪評高いMaximum Carnageだ。
SPIDER-MAN Unlimited 1号に始まり、Web of SM、Amazing SM("ASN”)、形容詞なしのSM、Spectacular SMと続き、またWeb of SMに戻って、最後はSPIDER-MAN Unlimited 2号で終わる全14話完結のクロスオーバー。残念ながら14話目を手に入れることが出来なかったのだが、そのうち買う。
SM Unlimited 1号の筋書きをTom Defalco、画をRon Limが担当。Web of SM 101号から103号までの筋書きをTerry Kavanagh、画をAlex Saviukが担当。ASM 378号から380号までの筋書きをDavid Michelinie、画をMark Bagleyが担当。SM 35号から37号の筋書きを同じくMichelinie、画をTon Lyleが担当、Spectacular SM 201号から203号の筋書きをJ. M. Dematteis、画をSal Buscemaが担当している。
全般的に、この時期、良い画家達は、Marvelで画を描くのをやめ、自分達の会社をつくったり、残った画家もX-MENとその姉妹紙を描くことが多く、SPIDER-MAN の画の質までは上げられなかった時期。Unlimitedを描いているRon Limは1990年代を代表する画家。日本でもファンが多い人だな。邦訳もされているInfinity Gauntletの後半部分を描いていることから火が付いたか。目と目が離れているのが特徴だな。ハハ。
メモを取りながら、アメコミを読むことが多いのだが、Saviukの画に対しては、読むたびに厳しいコメントが多いな。続いてBagley。Ultimate SPIDER-MANの画家として、これまた日本でファンが多いと思う。McfarlaneがMarvel去った後の代表的なSPIDER-MAN画家の一人だと思う。Ultimateを描いている時の方が、はるかに上手くなっている。この時期は成長段階。
この中ではLyleの描く画が一番良いな。特に味があるというわけではないので、Limに比べると地味なのだが。敬意を払って今回の添付画像にしました。上から見たヒーロー対悪人の構図も好きだ。Demogobilinの表情も良いかな。
そして、御大Sal Buscema。大好きな画家John Buscema の弟でJohnのインクも数多く入れている。Johnのインタビューでは、Salのインクが一番好きみたいなことが書かれていたのを読んだ記憶がある。正直女の人の顔を綺麗に描けないので、それ程好きではないものの、人物の身体のバランスや立体感は、この人が一番だな。
物語は、収監中のCarnageが同じ牢獄にいたShriekと共に脱獄。Demogoblin、Doppelganger、Carrionらと共にニューヨークの人々を虐殺、そしてShriekの力でニューヨークの人々を暴動へと導く。一方SPIDER-MANの方は、BLACKCAT、Venom、Cloak、Dagger等のSPIDER-MANと関係の深いヒーローと共に戦う内容。
今回はいつもと違って、気に食わないところから。なんで評判が悪いかという理由をおいらなりに、 列挙する。まず、話が長い割に、内容が薄っぺらい。戦闘シーンばかり。そして、わけもなくCarnageらが人を殺すシーンが多数。(最初の方)登場するヒーローや悪人が多過ぎ。
それから、最後の方の悪人を唐キところ。SPIDER-MANが敵を引きつけている間に、α波を発する機械をサイボーグヒーローDeathlockに取りつけて、悪人を唐キのだが、全然説得力なし。いったいいつ開発する時間があったんだ。
一方気に入っているところ。ちょうど親友Harry Osborneが死んだ直後で(今は生き返っているけど)家族の一部を失った未亡人Lizがいる。SPIDER-MANことPeter Parkerも奥さんMary Jane("MJ”)との関係がうまくいっていない。突然出現したPeterの父母との距離感にPeterは戸惑いがある。血が繋がっていなく、大家族だと言っているわりに喧嘩ばかりの悪人軍団もある。家族間の信頼の弱さがこの悪人軍団の最大の弱点でもある。全体的には家族の絆がテーマなのかな。
最後の方では、自分自身の行動に自信の持てないSPIDER-MANが、自分のとった行動で狂気に落ちた人を救ったことで、自信を取り戻すシーンは良いな。そして、それをテレビで観たMJもそれに気付くところも、その効果を増加させている。
それから、死んだと思っていたDaggerが蘇るシーン。形容詞なしのSPIDER-MAN 37号の最後のコマや、それに続くSpectacular SMの203号の最初の2コマの光り輝くDaggerは、悪の心を回りの人々に伝染させるShriekと対象に描かれていて好きだな。
この作品はAmazing SPIDER-MANの30周年記念的作品。(SPIDER-MAN誕生からは31年なのだが。)Amazingの100号へのHomageってことで、過去の悪人を沢山登場させようとしているのかな。