富山県には300以上の山城があったと言われ、富山県西部の小矢部から氷見にかけての連続する低い山並み「西山」にも多くの山城が存在したそうです。
今回はそのうちの福岡地区周辺にまとまっている「赤丸城」「鴨城」「二ッ城」の三城を訪ねてみたいと思います。
三城の配置図
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次は「二ッ城」
知人のH氏が教えてくれたとっておきの場所。マウンテンバイクやトレッキングなどアウトドアを楽しむ彼のホームなのです。
ここは「三千坊山」と言って、頂上からの眺望がすばらしい登山コースとして知られているそうです。
しかしこの山頂にお城があった事を知る人は少なく、実際三千坊山周辺案内図にも城跡の表示はまったく見当たりません。
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この三千坊にはその昔、能登石動山天平寺と関係のあった天台宗の寺があったと伝えられ、山伏修業の場であったらしい。
中略
三千坊の寺院堂舎は南北朝時代に北朝方の軍勢により、さらには戦国時代越後上杉勢の戦火で焼失したものであろう。
ここは「二ッ城」と呼ばれ、土地の古老は三千坊山頂を「二ついの峰」と呼んでいる。
真ん中の高い台地「東西30m×南北25m)、西側の台地(東西12m×南北10m)、東側の台地(東西90m×幅約10m)で、それぞれの台地に空堀が巡らされている。(三千坊を愛する会)、、、案内看板より引用
場所は県道小矢部伏木港線「水道つつじ公園」交差点から勝木原方面に進み、高岡市埋め立て処分所に向かって山側へ右折。
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暫くすると件の処分場に着きますが、そこを更に頂上に向けて登ります。
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その先、林道の分岐を鋭角に曲がり頂上を目指します。
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三千坊登山口には「炭焼き体験小屋」があり、トイレ・駐車場も整備されています。
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炭焼き小屋の脇を登ると三差路に出ますので右折、「三千坊山」方向へと向かいます。
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地元の皆さんのおかげで歩きやすく整備された遊歩道。
しかし、いたるところで倒木が道をふさぎます。このような太い木が倒れるなんて、、、この冬の豪雪の凄まじささが伝わってきます。
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炭焼き小屋から10分余りで「自由広場」に到着
先に歩いておられるのな高岡市と射水市から来られたこの山の常連さんで、同行させていただき大変心強かったです。
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自由広場は緩斜面の最上部に建っている
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縄張り図には載っていないので二ッ城に由来する空間でないとすれば、天台宗の寺があった場所だったのでしょうか?
三千人のお坊さんで三千坊??? 修行僧のための宿坊があったのかもしれませんね。
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自由広場からの展望
氷見方面、富山湾まで眺望
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休憩の後三千坊展望台へ向かいます。
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ここからは馬の背のような尾根道が続きます
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途中堀切のような跡が見受けられました。
この辺りから城郭の区域でしょうか?
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二つ城縄張り図
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尾根の切断部は谷へと導かれる
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谷側の切断面、残雪で分かり易い
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ここで妙な分岐に行き当たる
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水飲み場・駐車場から登ってくる林間歩道と交差し、周辺案内図では「林間広場」となっている場所。
縄張り図では「H」の辺り。
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縄張り図では尾根と並行する竪堀が3本描かれている。
中央の突起部を挟んで両脇が竪堀でしょうか。
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人工的に掘り下げたとしたらかなりの土木作業です。
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いよいよ展望台近し
しかしそこには大きな堀切が待ち構えている。
自分が建っている場所は縄張り図の「F郭」の辺りか?
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主郭から見た空堀越しの「F郭」
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この空堀「D」を乗り越えると展望台(主郭A)が見えてくる。
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展望台に立つ常連のお二方。
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展望台からの眺望
北西方面には氷見市街と富山湾。この景色をみると疲れが吹き飛びます。
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北東方面に目を転ずれば砺波平野と、立山連峰が見晴らせます。
立山連峰がくっきり見えるのは、冬の期間の空気が澄んでいるとき。
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標高264.2m山頂、案内板と三千坊祠
展望台のここが主郭「A」
案内看板の背後、谷側には「E」竪堀が記載されていたのだが確認するのを失念(;'∀')
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展望台の先は「水道つつじ公園」側に通じる遊歩道
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そちら側にも堀切「B」で守りを固めています。
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展望台がある主郭の周囲は空堀や竪堀で守られていますが、大勢の兵士が集結するには狭いです。また城主が居住し日常生活を営むには水が欠かせませんが井戸跡も見当たらないことから、砦的な要素が強いと感じました。
また尾根筋を幾重にも分断した先にある「林間広場」や「自由広場」はどんな役割があったのでしょうか?
「赤丸城」「鴨城」と、西の端にある神保氏の居城「守山城」の中間に位置する「二つ城」の地理的関係も気になるところです。
【二ッ城】
《》
名称(別名);
所在地;富山県高岡市山川
城地種類;山城(264.2m/130m)
築城年代;15世紀末
廃城;16世紀後半
築城者;在地土豪
主な改修者;
主な城主;在地土豪
文化財区分;
近年の主な復元等;自由広場、三千坊展望台
遺構;曲輪、土塁、堀切、切岸
※出典、、、越中中世城郭図面集Ⅲ
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