舞姫 2021年08月06日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 触れることのない指先 確かめるすべもない温もり ただくっきりと心にある君 夜のしじまバラライカの音色が響く 灯りを消すと月華に蝶が舞いたった 黒いベールをまとった舞姫のように by Kei *** 黒い蝶は亡くなった人の魂だという古い言い伝えがある “ 黒 い 蝶 に は 魂 が 宿 る ” 広島市は本日、原爆投下から76年を迎える 戦争体験の無い私たちですが 戦争のない世界、核兵器廃絶を訴えます
茜さす道 2021年07月04日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 薄浅葱の蒸し暑い昼が 仕舞われていく夕暮れを あなたと帰るそんな時間が たとえようもなく大切で 家路までの手と手が せつなく愛おしい ふたり在りつづけるために やさしいキスを茜さすとき
おうちに帰ろう 2021年07月01日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 暮れていく歩道橋 そこから街を眺めるのが好き 一つ二つと明かりが灯り始め 地下鉄から熱風と一緒に 人々が吐き出されてくる どんな一日を過ごしたのだろう それぞれの大切なものを 心に抱きながら 地球の丸みに沿って生きている 梅雨明け間近のぬるい風が 歩道橋にも吹いて さっき買い物をした野菜が レジ袋からのぞいている 急かされる夕暮れの中を さっ、わたしもおうちに帰ろう
恋と豆腐 2021年06月29日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” いつもは気にも留めない お椀に浮くさいの目の豆腐 今朝は何気に美しい そしていつの間にか 心の中にあなたがいた いつからだろう 気がつかないほど曖昧なもの 恋と白い豆腐の味
サザンを聴きながら 2021年06月29日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 平凡な毎日の中で 雲は確実に夏の雲へと膨らんでいた わたしは、あなたとわたしを繋いでいた空を 見上げながらサザンを聴いていた ”四六時中も好きと言って 夢の中へ連れて行って…” 消えない記憶は悲しいわけじゃないけれど 少し切なく今は静かに在るだけ ビルに区切られた空は 青く青く、高く高く 聴こえるサザンはどこまでも優しい
夕映え 2021年06月27日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” いちにちの最後の証として 夕日が地上をあまねく染める 胸の片隅のチクリとした 小さな傷みも朱色に照らされ やさしくやさしく 溶けていった
伝えたいこと 2021年06月26日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 説明してるとと少し違う 嘘ではないけど微妙に そんなふうに感じてしまうことない? 無意識に修飾語で包んでしまう 伝えたいことは簡単なのに だから気取った言葉はもういらない ただ一言のありがとう
ブックマーク 2021年06月25日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 見えないからこそ 大切なものがある 触れられないからこそ 尊いものがある あなたの心 わたしの心 過ぎて行く日々 時のきざはしに そっと挿むこころの栞
記憶のフィルム 2021年06月22日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 愛の重さを 量る秤はないけれど 大丈夫 想いは記憶のフィルムに 巻き取っておこう 焦らなくても大丈夫 結んだ絆は決して ほどけたりはしない 今ふたり在る その重さは確かなのだから 記憶のフィルムは繋がり いつかふたり やさしい風景になっていく
熱っぽいあの夏の密度 2021年06月21日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 海を見たくて 砂浜を裸足で歩きたくて そんな衝動が日常を暮らしているわたしに迫る 夕暮れの街の匂いに ハンヒールで少し疲れたかかとは火照って 巻いたサマースカーフは汗を吸って 風を欲しがる そんななんでもないことが わたしの今なのだけれど 季節の中に置いてきたあの海を見たくて 無性に見たくて切なくなってしまう あの夏の想い出は もう波にさらわれているのだろうけど 無性に逢いたくなって ただそれだけなのだけれど
源流 2021年06月20日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 夜気が迫る夕 伸びた夏草 虫の声 畦道の蛙の合唱 黒い山脈から 昇っていく上弦の月 生きとし生けるものの 時が流れる 四季をつれて流れて行く いつか辿り着く生命の源へ
恋する場所 2021年06月20日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” 暗闇に目が馴染むように この場所が当たり前になっていき 空を見て 山を見て 風を感じて あぁ、いいなと言う 雲は夏をつかみ季節を描く そしてわたしは この場所に 恋をしてしまうのだ
魚が跳ねる 2021年06月19日 | Kei's ポエム “風のアダージョ” ”あなたとの毎日 そばにいてくれてありがとう” ストレートなそんな言葉を 声にすると嘘っぽくて だからわたしは 心の内のあれこれをときには 矛盾に満ちながら詩に綴る 見たい景色が滲んだ日でも 頭の中では知らない海の魚が跳ねる 銀色の鱗を光らせながら あなたとの毎日 不確かな迷いのなかに明日をみる