時には目食耳視も悪くない。

読んだ本、観た映画、聴いた音楽、ふと思ったこと、ありふれた日常・・・

【動画紹介】ヒトコトリのコトノハ vol.16

2023年07月28日 | 動画紹介
☆本記事は、Youtubeチャンネル『本の林 honnohayashi』に投稿された動画を紹介するものです。
 ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!

 ●本日のコトノハ●
  イバラから葡萄を、アザミからイチジクを得ようとしてはいけない。

 『ゲーテとの対話(下)』エッカーマン著/山下肇訳(1969)岩波書店より


 「適材適所」という言葉を私は好意的に捉えているのですが、特定のことしか上手にできない人というイメージを持っている人もいて、一つの言葉の意味の受け取り方は様々だと実感させられます。
 現代社会では、万能であることがもてはやされる傾向にあるのでしょうか。

 いわゆる「なんでもできる人」です。「文武両道に秀でる」といった言葉からも分かるように、昔からそうだったのかもしれません。
 一方で、何でもできすぎる人は「器用貧乏」とも言われ、どっちつかずの人と評価されることもあります。

 いずれにしろ、人は様々なことに対して万能であることを求めがちなのではないでしょうか。
 携帯電話(スマートフォン)などが良い例で、電話でありながら、メールやメッセージのやりとりもできて、インターネットにつなぐこともでき、なおかつゲームをすることもできるのです。

 中には、それが当たり前だと感じる人もいるでしょう。
 携帯(スマホ)一つで何でもできるのが当然だと思っているので、それ以外の手段に対応できない人がいるのも確かです。
 郵便やFaxなど、一昔前なら普通に利用していた手段を受け入れたくないと思ってしまうのかもしれません。

 言い換えれば、システムが万能になるにつれて、人間が万能ではなくなっていっているのです。
 10年前、役所の書類が必要な時、また銀行での手続きが必要な場合、私は直接その場に足を運ばなければいけませんでした。
 否、足を運ぶのが当然で、それが苦とは思いませんでした。
 葡萄が欲しい時は、葡萄の木の下に行けたのです。

 ところが、今ではたいていのことは自宅のパソコンや、家の近くのコンビニで済んでしまいます。
 イバラから葡萄がもらえてしまう今、私は葡萄の木を探すことさえ面倒になっています。

 勘違いしてはいけないと思います。
 世の中が便利になればなるほど、人は万能ではなくなるのだと。


ヒトコトリのコトノハ vol.16


=====
▼本の林の管理人ハヤシさんがお送りしています。
☆ツイッター https://twitter.com/honnohayashi



コメントを投稿