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元中学校教師の行政書士 2023年8月登録 外国人のサポートを業務としてその記録です

ダブルリミテッド 学校では日本語、家では母語を話す子ども・・大丈夫ですか!

2025-02-21 | 日本語教師

学校では日本語、家では母語を話す子ども・・大丈夫ですか!

ダブルリミテッドとは、二言語環境に身を置く人が、両方の言語において年齢相応の能力を獲得できていない状態を指します。

ダブルリミテッドの状態

例えば、日本語と英語の二言語環境で育つ10歳の子どもが、日本語も英語も6歳レベルの能力しか持っていない場合、その子はダブルリミテッドの状態にあると言えます。

原因

ダブルリミテッドの原因は様々ですが、主な要因としては以下のようなものが挙げられます。

  • 母語の習得不足: 母語の基礎が十分に固まっていない段階で第二言語の学習を始めると、両方の言語が中途半端になることがあります。
  • 学習時間の不足: 二つの言語を学ぶための十分な時間が確保できないと、どちらの言語も十分に習得することが難しくなります。
  • 学習環境の不足: 二つの言語を学ぶための適切な教材や指導者が不足していると、学習効果が低下することがあります。

問題点

ダブルリミテッドの状態が続くと、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • 学習の遅れ: 言語能力が不足すると、学校の授業についていけなくなり、学習が遅れてしまうことがあります。
  • 思考力の低下: 言語は思考の道具でもあるため、言語能力が不足すると、思考力や表現力が低下することがあります。
  • コミュニケーション能力の低下: 二つの言語を十分に使いこなせないと、周囲の人とのコミュニケーションが円滑に行えなくなり、孤立感を深めてしまうことがあります。
  • 自己肯定感の低下: 言語能力が不足すると、自信を失い、自己肯定感が低下してしまうことがあります。

対策

ダブルリミテッドの状態を改善するためには、以下の対策が考えられます。

  • 母語の習得を優先する: まずは母語の基礎をしっかりと固めることが重要です。
  • 十分な学習時間を確保する: 二つの言語を学ぶための十分な時間を確保し、バランスよく学習を進める必要があります。
  • 適切な学習環境を整える: 二つの言語を学ぶための適切な教材や指導者を見つけ、効果的な学習環境を整えることが重要です。
  • 心理的なサポート: 子どもの心理的な負担を軽減するため、周囲の理解とサポートが大切です。


ダブルリミテッドの具体的な事例

ダブルリミテッドの状態にある子どもたちの具体的な事例をいくつかご紹介します。

例1:日本語と英語の二言語環境で育つ子ども

5歳の男の子A君は、両親が日本人とアメリカ人の国際結婚で、家庭では日本語と英語が話されています。しかし、A君はどちらの言語も年齢相応の能力を獲得できていません。

  • 日本語: 簡単な会話はできるものの、複雑な話になると理解が難しい。ひらがなやカタカナの読み書きも苦手。
  • 英語: 簡単な単語やフレーズは理解できるが、文章になると意味が分からない。英語の絵本を読むことも難しい。

A君は、幼稚園では友達とうまくコミュニケーションが取れず、孤立してしまうことがあります。また、学習面でも遅れが見られ、小学校入学に向けて不安を抱えています。


例2:中国語と日本語の二言語環境で育つ子ども

8歳の女の子Bさんは、両親が中国人で、日本で生まれ育ちました。家庭では中国語が話されていますが、Bさんは日本語も話せます。しかし、どちらの言語も年齢相応の能力ではありません。

  • 中国語: 日常会話はできるものの、複雑な内容を話すことは難しい。中国語の読み書きも苦手。
  • 日本語: 学校の授業は理解できるが、友達との会話で表現に困ることがある。漢字の読み書きも苦手。

Bさんは、学校では中国語を話す機会が少なく、中国語能力が伸び悩んでいます。また、家庭では日本語の学習を十分にサポートしてもらえず、日本語能力も伸び悩んでいます。


例3:スペイン語と日本語の二言語環境で育つ子ども

10歳の男の子C君は、両親がスペイン語圏出身で、日本で育ちました。家庭ではスペイン語が話されていますが、C君は日本語も話せます。しかし、どちらの言語も年齢相応の能力ではありません。

  • スペイン語: 家族との日常会話はできるものの、複雑な内容を話すことは難しい。スペイン語の読み書きも苦手。
  • 日本語: 学校の授業は理解できるが、教科書の内容を深く理解するのに苦労する。漢字の読み書きも苦手。

C君は、学校では日本語で学習していますが、スペイン語の読み書きができないため、学習内容を十分に理解できていません。また、家庭ではスペイン語でコミュニケーションを取っていますが、スペイン語能力が伸び悩んでいます。


これらの事例からわかること

これらの事例から、ダブルリミテッドの状態にある子どもたちは、言語能力の不足、学習の遅れ、コミュニケーション能力の低下、自己肯定感の低下など、様々な問題を抱えていることがわかります。

ダブルリミテッドにならないために

ダブルリミテッドの状態にならないためには、以下のことが重要です。

  • 母語の習得を優先する: まずは母語の基礎をしっかりと固めることが重要です。
  • 十分な学習時間を確保する: 二つの言語を学ぶための十分な時間を確保し、バランスよく学習を進める必要があります。
  • 適切な学習環境を整える: 二つの言語を学ぶための適切な教材や指導者を見つけ、効果的な学習環境を整えることが重要です。
  • 心理的なサポート: 子どもの心理的な負担を軽減するため、周囲の理解とサポートが大切です。

二言語環境に身を置く子どもたちにとって、ダブルリミテッドは深刻な問題です。早期に発見し、適切な対策を講じることで、子どもたちの成長をサポートしていく必要があります。


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「開(ひら)く、「開(あ)ける」「開(あ)く」の違いを理解しよう!

2025-02-21 | 日記
「開(ひら)く」「開(あ)ける」「開(あ)く」の違いについて 

日本語の「開く」には、読み方と意味が異なる3つの使い方があり、それぞれニュアンスが異なります。

1. 「開く」(ひらく)
  • 文法: 自動詞・他動詞
  • 意味
    • 自動詞: 閉じていたものが開いた状態になること。(自然に開く、または、ある力が加わって開く)
    • 他動詞: 閉じていたものを開けること。(意識的に開ける)
  • 例文
    • 自動詞
      • 「カーテンが開いた。」(風で自然に)
      • 「花が開く季節になった。」
      • 「目が開いたような気持ちになった。」
      • 「封筒が開いた。」(中身を見ようとして)
      • 「会議が開かれる。」
    • 他動詞
      • 「私がドアを開いた。」
      • 「本を開いて読んでください。」
      • 「彼は店を開いた。」
      • 「封筒を開いて中身を確認した。」
      • 「新しい道を開く。」
2. 「開ける」(あける)
  • 文法: 他動詞
  • 意味: 閉じていたものを開けること。(何かを操作して開ける)
  • 例文
    • 「窓を開けてください。」
    • 「瓶の蓋を開けるのが難しい。」
    • 「彼は口を開けて大笑いした。」
    • 「プレゼントの箱を開ける瞬間が楽しみだ。」
    • 「傘を開けると雨が降ってきた。」
3. 「開く」(あく)
  • 文法: 自動詞
  • 意味: 閉じていたものが自然に開いた状態になること。(自然現象や、意図せず開いてしまう)
  • 例文
    • 「口が開いたまま寝ていた。」
    • 「服に穴が開いている。」
    • 「道が開けて、景色が広がった。」
    • 「目が開いた。」(朝起きた時など)
    • 「シャッターが開いた。」(お店の開店時など)
まとめ 
動詞読み方文法意味主語の例ニュアンス
開くひらく自・他閉じたものを開ける、開いた状態になるドア、本、花意識的な動作、または、ある力が加わって開く。広い意味で使われる。
開けるあける他動詞閉じたものを開ける窓、瓶、口何かを操作して開ける。
開くあく自動詞閉じたものが自然に開いた状態になる口、穴、道自然現象、または、意図せず開いてしまう。

特に注意する使い方
  • 「開く」(ひらく)と「開ける」(あける)の使い分け
    • 「ドアを開く」(ひらく): ドアそのものを開ける動作
    • 「ドアを開ける」(あける):ドアについている鍵やノブなどを操作して開ける
  • 「開く」(あく)と「開く」(ひらく)の使い分け
    • 「口が開く」(あく): 自然に口が開いた状態
    • 「口を開く」(ひらく):意識的に口を開ける動作

問題(JLPT N4レベル)
 
次の文に当てはまる言葉として最も適切なものを、選択肢の中から選びましょう。
  1. 窓を(   )と、気持ちの良い風が入ってきた。
    1. 開く(ひらく)
    2. 開ける(あける)
    3. 開く(あく)
  2. みなさん。手を(  )ください。
    1. 開いて(ひらいて)
    2. 開けて(あけて)
    3. 開くて(あくて)
  3. 新しいお店が(   )というニュースを聞いた。
    1. 開く(ひらく)
    2. 開ける(あける)
    3. 開く(あく)
  4. 彼女は、手紙を(   )読んだ。
    1. 開いて(ひらいて)
    2. 開けて(あけて)
    3. 開くて(あくて)
  5. 暗い部屋のカーテンを(   )明るくした。
    1. 開いて(ひらいて)
    2. 開けて(あけて)
    3. 開くて(あくて)
解答
「開く」「開ける」「開く」の使い分け、理解できたでしょうか?

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