あぽまに@らんだむ

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小さな花火と掌と(京スタ)

2020年03月19日 | BLE◆CH関連

 

 

 

これはBLE◆CHの「京楽×スターク」のSSS、腐向けです。凄く短いです。

閲覧には充分注意して下さい。大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

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<小さな花火と掌と>


「花火を買って来たんだ。一緒にしないかい?」

ある日の夕方。
隊務から帰った京楽は、ただいまの代わりに紙袋に入った色とりどりの花火を見せながら、
満面の笑顔でそうスタークに言った。
その笑顔が余りも子供っぽくて、スタークは断り切れなかったと言うのが正直な処だった。
共に夕餉を終え、暗くなるのを待って二人で縁側に出る。
汚れたり、火傷をしたらいけないから、とスタークは京楽の黒い浴衣を貸して貰った。

「僕のだから汚れても気にするんじゃぁないよ」

と言いつつも、足許には碧い星のような花が鏤められ、まるでスタークの為に誂えたかのように良く似合っていた。
花は濃い蒼の中に星の瞬きにも似た純白の花が混じっている。
スタークは、綺麗だが何故か淋しい気がした。

「ほら、これは藍から桃色に色が変わって火花も変化するんだよ、やって御覧」

そう言って京楽はスタークに花火を持たせ、器用に蝋燭で火を点けてくれた。
パチパチと音を出して鮮やかな火の芸術がスタークの持つ棒の先から放たれる。
それは一瞬で弾けていく美だった。
初めは子供のやる遊びだと乗り気では無かったスタークも次第に目を輝かせ興奮してくる。
横で同じ花火を京楽が自分で点ける。
そして色を変えていく花火と、嬉しそうに目を細め消え逝く哀しい火花に興奮を隠せないスタークを満足気に見詰めた。
次第に火が弱まり、萎れていく灯火をスタークは哀しそうに見送る。

「スターク。同じのもう一本あるよ。はい」

何故と疑問を抱く前に火が点いた花火を渡され、スタークは慌てて美しく弾ける棒の先に意識を集中させられた。
藍、桃色、白と色を変えて美を燃やし尽くす花火を見詰めるスターク。
その様を京楽はただ、じっと見詰め、そして気付かれぬように哀しげに微笑んだ。
火が尽きないように、京楽は次々と色々な棒の花火をスタークに渡した。
それは皆綺麗で美しく、色や火花や仕掛けに同じ物が無く、スタークは充分に楽しめた。
しかしスタークは気付く。
花火は一種類3本ずつ。
そしてスタークだけ必ず2本渡されるのだ。
しかし何故と考えるまでも無い。京楽に聞くまでも無い。
京楽は自分の半身の少女の分、リリネットの分も渡してくれていたのだ。

(僕は、今は君の中に居るか分からない、君の半身の娘も家族と思ってるからね)

そう態度で示してくれているのだろう。
スタークがいつも必ず自分の半身の少女の事を想っている事を京楽は理解してくれている。
そして京楽はその想い毎、スタークを受け入れてくれているのだ。

「…ん?疲れちゃったのかい?」

スタークは、縁側に座る京楽の横に寄り添うように腰掛け、高く逞しい肩に身体を預け目を閉じる。
もう独りではないのだと真の意味で実感しながら、心もいずれ預けようと思うのだった。

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浴衣の柄はスターチス(マリンブルー)。
花言葉は消えない思い。浴衣の柄にはどうかと思いますけど。
スタークの名前に似ていたので(笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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