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熱い掌冷たい癒し手(京スタ)

2020年03月19日 | BLE◆CH関連

 

 

 

 

BLE◆CHの「京楽×スターク」です。腐の表現がありますので、ご注意下さい。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<熱い掌冷たい癒し手>


スタークは何度目か分からない発熱の為、今日も一日床に臥せっていた。
いつもはひんやりとしたスタークの体温も、熱いと思う程高くなっている。
意識朦朧としているスタークの枕元に京楽が座っていた。
護廷十三隊八番隊隊長としての任務を放り投げ、その殆どを副隊長である伊勢七緒に一任して付きっ切りで看病しているのだ。
初めは隊長としての意識欠落だと憤慨していた伊勢だったが、深刻な顔をして頼むと頭まで下げた尊敬する上司に、
とうとう折れるしか無かった。
それ程迄に京楽はスタークを大事にしていると、伊勢自身理解していたからだ。
京楽は溜息を漏らすと、洗面器の中の氷水から濡れタオルを絞った。
スタークの頬は上気したままだ。
高熱で息が荒い。
解熱剤を投与しても一向に熱が下がる気配が無いのだ。
破面(アランカル)として、第1十刃(プリメーラ・エスパーダ)として力の大半を失い、
十二番隊隊長涅マユリから拷問紛いの実験をされた為、
スタークは十刃(エスパーダ)どころか、現世の成人男性位の力しか殆ど残っていない。
京楽の顔に暗い陰が過ぎる。
彼の運命を捻じ曲げてしまったのは京楽自身なのだ。
護廷十三隊隊長として藍染達、十刃(エスパーダ)を倒す必要が有った。
しかし、情けを掛けて留めを刺さなかった為、彼を涅マユリの手に渡してしまったのは紛れも無く京楽の所為なのだ。
あの時、スタークを殺しておけば、死よりも恐ろしい目に遭わせる事もなかった。
力を失ってしまった弱い自分に怯えさせる事も無かった。
また、独りにされる恐怖を味あわせる事も無かった。
全ては京楽自身の「スタークをまた失いたくはない」という利己主義の所為なのだ。
その為にスタークは生かされてると言っても過言では無い。
京楽は苦しげに顔を歪めた。

「僕が全部悪いんだ。ゴメン。ゴメンよ、スターク」

スタークが荒い息の中、自分の唾に咽て、小さく咳き込んだ。
いつもは真っ白な象牙のような肌が仄かに桃色に染まり、何とも言えない男の色香を醸し出している。
京楽は濡れタオルで額に浮かび上がる汗の粒を丁寧に拭き取っていった。
それに気付いたのか、朦朧とした意識の中、スタークが薄っすらと瞼を開いた。

「………京楽……さん………」

上気した頬や額が冷たいタオルで拭われていく。
その冷たさが心地よくて、スタークはまたその目を閉じる。
京楽はスタークの熱で温まってしまったタオルをまた洗面器の中の氷水で揉み出していた。
スタークはまた薄っすらと目を開けて、またその真剣な顔をぼんやりと見る。
骨ばった大きな男らしい手が器用にタオルを洗い清めていく。
京楽の手。
筋肉の付いた太い腕が捲くられた袖から見え隠れする。

「………タオルより……、手……、乗せて……くれ…」

カラカラと洗面器の中で鳴る氷の音に気付いたのか、スタークが囁くような声で呟いた。
京楽はその意図に気付き、嬉しそうに目を細めて笑うと「はいよ」と軽く頷いた。
大きな掌がスタークの額を覆う。
いつもは熱いとさえ思う京楽の体温が今は氷のような冷たさで、スタークの熱を吸い取っていく。
汗で額に張り付いた前髪を撫でるように、梳いてはまた額を冷ましていく。
熱を吸い取っては、また洗面器の氷水で掌を冷まし、スタークの額に手を遣る。
京楽は真摯にそれを繰り返している内に、スタークの目尻に浮かぶ涙の粒に気付いてしまう。
零れないように必死に堪えているのか、スタークは頑なに目を閉じて開こうとしない。
泣かないで欲しい。
その意図も兼ねて、京楽はその涙を指先で、そっと拭った。
それに気付き、スタークが口を開いた。

「……俺は……あんたに何も返すものが……ない……」

京楽の指先がぴくりと止まった。
京楽の罪悪感を煽るようなその言葉に、京楽は苦しげに眉を寄せる。
目を閉じたままのスタークは分からない。
このまま高熱の所為で死んでしまう方が楽なのに、生きている方が苦しいだけなのに、スタークは生きようと足掻く。
京楽の傍に寄り添う事を選ぶのだ。

(……君が生きて、僕の傍に居てくれるだけで、僕は嬉しいんだよ)

出来るなら、そう答えてやりたい。
でも京楽は何も言えずに居た。
黙り込んだまま、氷水で冷やした掌をスタークの額に置いた。
返事は貰えないのだと理解したスタークはまた数回咽込んだ。
軽い咳を終え、要約落ち着いた後、目尻に溜まった涙を自分の手の甲で拭った。

「眠るまで……こうやってて、欲しい」

暫くしてスタークがぽそりと呟いた。
いつもなら恥ずかしがって言えないような事も、熱で思考が麻痺してしまえば言える。
淋しいという彼の基本的な気持ちがそう言わせるのだろう。
その幼い物言いに心を打たれる。

「いいよ。今日僕は君の貸切だからね」

京楽がおどけて言うと、スタークは嬉しそうに目許を綻ばせた。
頬に移った掌に甘えるように摺り寄せる。

「…あんたの手、今日は冷たくて……気持ちいい……」
「今日は君の方が熱で体温が高いからね。それに、氷水で僕の手、冷やしてるんだよ」

ほらと洗面器の中で溶けきって居ない氷を摘んで頬に付けてやる。
「…ゃっ」と子供のように身を竦ませ、ぶるぶるとその冷たさを実感しているスタークに目を細めると京楽は「困ったね」と微苦笑した。

 

<了>

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スタークを好き過ぐる京楽と、京楽に傍に居て欲しいスタークと。

 

 

 

 


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