あぽまに@らんだむ

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闘うことしか出来ない(トマニアス)

2020年05月23日 | 創聖のア◇工リ〇ン関係

 

 

これは、2007年2月14日に書いた「創聖のアクエリオン」の二次創作SSの再掲です。

バレンタインネタで書いた為、非常に腐的表現があります。閲覧には充分に注意して下さい。

大きい人受けなので、苦手な方は自己回避でお願いします。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<闘うことしか出来ない>


アポロニアスがトーマの軍に入ってから出撃回数は月の満ち欠けを数える位に減った。
状況はアトランディアが優勢なのは明らかだったが、
アトランディアの守護天翅アポロニアスを有しているのに前線に出ないトーマに、
各指揮官達から冷ややかな噂が立ち始めていた。
しかし、下世話な噂話など気にする事もなく今日もトーマはアポロニアスを連れて「氷河を観に行こう」と誘いにやって来た。
しかし、アポロニアスは何故か部屋に居なかった。
三日経ち西の列国を攻めていたモロハが帰還してくると何故か、その中にアポロニアスの姿があった。
自室からその様子を眺めていたトーマは激情の余り、手にした花を一瞬で塵にしてしまった。
指揮官であったモロハから武勲の印を受け取るとアポロニアスは急いでトーマの元に向かった。
黙って出て来てしまったので、きっとトーマは怒っているだろう。
しかし、この印を見ればきっと喜んでくれると彼なりに考えた事だった。
アポロニアスは天翅に作られた創天翅だ。
本来、天翅は生命の樹から産まれてくる。
下級の低天翅達はプラーナの花から生まれ出る。
しかし、創天翅は力を持つ高天翅や大天翅が創り出すのだ。
その為に、闘う為、搾取する為、鑑賞する為などの様々な天翅がいる。
アポロニアスは大天翅ヨハネスの最高傑作とまで言われた最強の創天翅なのだ。
産まれ出でて以来、アポロニアスは闘う為、生命の樹の活性化の為、教育されてきた。
天翅としての感情は育成されず「殺戮の天翅」とまで言われる程、
非情に翅なしを狩り、殲滅してきた。
トーマに愛され、少しずつ感情を芽生えさせてはいるものの、
前線指揮官としての位まで投げ打って全身全霊を掛けて愛してくれるトーマに、
アポロニアスはどう答えていいのか分からなかった。
創天翅の自分に出来る事は闘う事だけなのだ。
それさえさせて貰えない今、トーマへの名誉回復には自分が闘い、
武勲を挙げればいいのではないかと必死に考えたのだ。
トーマに値する天翅になりたい。
言葉で言い表す事も苦手な為、不器用ながらもアポロニアスはトーマに、
愛している事を態度で示したかったのだ。
アトランディアも軍には入っていても傭兵の制度がある。
自分の軍が出撃しない場合も他の軍に志願して一時的に傭兵として参戦する事が出来るようになっていた。
勿論モロハの軍でもアポロニアスは成果を挙げ、西の国攻略に貢献した。
モロハはその戦果を称え、アポロニアスに武勲の印を渡したのだ。


部屋に入ると推測通りトーマが居た。
アポロニアスは上気する頬を恥ずかしそうに俯いて隠し、トーマに近付く。
そして嬉しそうに「君に見せたいものがある」と切り出した。
しかしトーマはそんなアポロニアスの気持ちなど分からない。
自分の知らぬ間に侮蔑するモロハの軍に勝手に参加し闘いに貢献して来たという事実だけを、
そのまま受け止めていた。
自分の思いなど伝わっていないのだとトーマは急速に心が冷えていくのを感じていた。
今すぐにでもアポロニアスを押し倒して、泣いて自分に請わせたい。
獰猛な肉欲がトーマを満たし、支配しようとしていた。
アポロニアスは黙り込んだまま視線を合わせようとしてくれないトーマに不安になる。
まずは謝ろうと、トーマの名を呼ぶ。
しかし帰って来た言葉に愕然とする。

「それよりベッドに行かないかい?」

アポロニアスは身体を重ねるのが苦手だった。
快感で自分が自分で無くなっていくかのようで居た堪れない気持ちになる。
不安で心許なくて泣きたくなる気持ちに、いつまで経っても慣れなかった。
しかし、トーマは毎日のようにアポロニアスを求めて来た。
恋人であれば至極当たり前の事なのかもしれない。
アポロニアスもトーマを愛している。
愛する人に望まれれば応えてやりたい。
その思いだけで今迄抱かれて来たのだ。
しかし、自分とて男性型天翅なのだ。
自分も身体以外で愛に応えたい。
アポロニアスがそう考えるのも自然の事だった。
手を引き、奥のベッドルームへ連れ込まれそうになるのを必死に拒む。

「黙って参戦したのは悪いと思っている。しかし、私の話も聞いて欲しい」
「君は黙って私の傍に居ればいいんだよ、翼」

トーマの斬るような視線にアポロニアスは硬直してしまう。
唇を噛むと目許を赤くして必死に涙を堪える。
そして、「それでは人形と同じではないか」という反論の言葉を必死に呑み込む。
黙って抱かれるだけの存在なら、他の愛妾扱いの創天翅や低天翅と同じなのだ。
しかし、トーマはアポロニアスへの愛故にそう言い放ったのだろう。
アポロニアスは必死に自分に言い聞かせるが、ベッドに突き飛ばされると顔を両手で覆い、
とうとう涙を零し始めてしまう。
堪えられず嗚咽を漏らす最愛の恋人に根を上げたのは、勿論トーマだった。
まるで炎が瞬時に消えてしまったかのように弱々しい。

「君が大事なんだ。願わくば籠に入れたまま私の部屋に閉じ込めてしまいたい」

ベッドに寄り添うように横になり背後からアポロニアスを抱き締めてやる。
びくりと一瞬肩を揺らすが、すぐに安心したように緊張を解き、身体を預けてくる。
トーマは自嘲しながら反省して言った。

「しかし、君の主張を受け入れるのも私の器量だな。悪かった。君の話を聞こう」

アポロニアスはモロハから授かった武勲の印を見せ、その夜一杯愛されたと言う。
しかし愛し合う中、トーマは甘い声でアポロニアスに囁く。
「君の口付けこそが、私への一番の贈り物だ」と。


<了>

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そう言えば、トーマの声優は帝王なんですよね。森川帝王×故・運昇さんw

 

 

 


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