アクアコンパス3 続編

アクアコンパス3が容量一杯になったので、こちらで続きを開始します。

働くとは、何か 17

2025-02-23 08:09:51 | 社会

 

前回は、日本の「働く人」の精神状態が如何に酷いかをみました。
今回は、その背景を読み解きます。

 

* 日本人は働き過ぎなのか?

 


「図3.各国共に労働時間は減っているが、日本の労働時間はまだ多い」

日本のグラフには2本あるが、時間数の少ない方を見て下さい。
日本はまだ、少ない国に比べ、5~17%長く働いている。


* なぜ日本の労働時間は少なくなったのか?

 

「図4.フルタイムの労働時間(青線)は横ばいだが、合計(黒線)は低下している」

労働時間の短いパートタイム労働者の比率(灰色棒グラフ)が1990年代から高まったことで、フルタイムとパートタイムの労働時間を合算すると、減少傾向に見えるだけです。
このグラフを見る限り、喜べる状況になったのでは無く、細切れに使われるパートタイマが増えているだけで、フルタイム者の労働時間に変化は無い。


* 皆さんは、休みを獲っているのだろうか?

 


「図5. 日本の取得率は最下位、支給日数(灰色の棒グラフ)は多いのだが」

日本ではよくある、本音と建前の食い違い!
ヨーロッパ先進国のように1ヵ月休むのは夢の夢か!


* 皆さんが休めないのは理由がありそうです。

 


「図6. 皆さんは職場に気を使って休めない」

これは日本らしい情景とも言えるが、単に経営サイドが、休める体制を準備せず、従業員の気遣いに甘えているか、押し付けているだけです。
先進国では、育児休暇等も含めで長い休職に備えて、職場の人員配置等を日頃から準備している。
私の現役時代、平日に1日でも旅行しようとするなら、上からかなり嫌がらせがあり、結局、定年まで、長期の旅行は行けなかった。
今は、少し良くなったようだが。


* 最近、アベノミクスのお陰で就業者数が増えて来た! 確認しましょう。

 

「図7. 2012年頃より就業者数が増えており、素晴らしい」

さらに凄いのは人口が減っているにも拘らず、就業者数が増加している事です。
実は、これには二つの側面があります。
円安が進むことにより、海外生産が増加から横這いに転じ、海外生産拠点が国内に少し戻りつつあることで、国内の就業者数が増えている。
これは一見良いように聞こえるが、円安で戻るような生産は、高付加価値生産を目指さなければならない先進国日本には、一時しのぎの麻薬に過ぎない、と考えるエコノミストもいる。
今一つは、労働時間が短くて、かつ低賃金の非正規雇用者が増えた結果、就業者が増えている事が大問題です。
このような詐欺まがいの、失策の礼賛はよくあるので気を付けて下さい!


* 就業人口が増えて、賃金は上がったの?

 

「図8. 日本だけが、世界中で珍しく実質賃金を下げている」

日本の一人当たりのGDPは、ここ30年以上ほとんど伸びていない。
この間、海外の多くの国は順調に成長し、日本の減速だけが目立ち、円安でさらに資産や貨幣の価値は落ちることになった。
こんな惨めな日本になったのは、安倍氏だけのせいとは言えないが、自民党の路線をさらに押し進めた結果と言える。


* 男女で非正規の割合は異なるの?

 


「図9. 40年間ほど、正規雇用は増えず、非正規(斜線部)だけが増えている」

低賃金の女性非正規増加が目立つが、これが日本の新たな問題、貧困の増加へと繋がって行くことになる。
残念な事に、非正規雇用率は増加傾向にある。


* 非正規雇用の多さは日本だけなのだろうか?

 


「図10. 非正規雇用率の多さは先進国で4位、平均の1.6倍も多い」

日本の労働条件・雇用状況で、海外より優れているものが見当たらず、最悪だけが目に付く。


* 日本の男女間賃金格差は、海外と比べ少ないのだろうか?

 


「図11. 男女の賃金格差は、韓国よりましだが、やはり酷い」

日本は正規と非正規、男性と女性で、労働待遇や賃金に差が大きい。
日本は、人権意識や民主主義が未成熟であり続けている。


* 男性の正規と非正規の賃金差はどのくらいだろうか?

 


「図12. 非正規と正規には雲泥の差があり、非正規の生涯賃金は悲惨」

労働時間が短い場合もあるが、同じ会社で同じ仕事、同じ時間働いても、これだけの違いがあるのなら、腹が立つと思うのだが。
なんと不条理か!
さらに悪い事に、非正規に酷い作業を与える事例も多い。
原発の廃炉処理等の命に関わる作業を、正規社員は拒み、非正規や下請け等にやらせている。
それを正規社員の組合が望むのだから、世も末だ!


* 女性の正規と非正規の賃金差はどのくらいだろうか?

 


「図13. 男性よりさらに酷い」

これら様々な差別賃金に加え、伸びない賃金、増える税金・保険料が重なり、生活が苦しくなる人が増えるのは当然の成り行きだ。
この事が、女性の未結率や母子家庭の貧困の増加に繋がっているのだろう。
次回、貧困率も見ることにします。


今回、労働時間の長さ、有給取得の困難さ、低賃金の非正規雇用者の増加、様々な賃金格差、どれをとっても日本は群を抜いて悪い。

なぜこんな事になってしまったのか?
・ 国民の権利意識が低いから。
・ 政府が「働く人」の為の政治をしていないから。
・ 労働者政党(立憲、国民等)が力不足だから。
・ 日本の腐敗構造が経済を衰退させているから。


いずれも正しいが、一つ明確のなのは、日本では労働組合が体をなしていない事が大きい。
言い換えれば、民主主義が成熟しないまま来た事が大きい。

 

* 日本の労働組合の影響力は?

 

「図14. 日本の労働組合と労働協約の達成率は、最下位に近い」


* 結論

既に見てきたように、明治以来、日本では民主主義が圧迫されると同時に、労働運動が迫害されて来たことが災いしている。
欧米に比べ労働党が育たなかったのも同様です。
この事が、日本の「働く人」を先進国すら入れないほど惨めにしているのです。


次回に続きます。

 

 

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始まった崩壊

2025-02-21 14:04:08 | 世界

 

始まった崩壊

米国のトランプ大統領がウクライナの大統領を独裁者と発言した。
これは、強大な権力者なら世界を支配出来ると言っているに等しい。
これから世界は、幾らか抑制が効いた時代から、暴力が蔓延し、やがて崩壊する時代に突入するだろう。


* トランプ大統領の発言の意味するところ

 

先ず、プーチンこそが独裁者である。
 ここ30年ほどのロシアを見ていると、明らかにロシアは独裁者プーチンに支配されている。
それは、腐敗しているロシア社会を抑えることが出来るのは、伝統的で絶大な秘密警察力を持つ独裁者でなければならないことに尽きる。
彼が政権を維持する為に、如何に批判勢力を抹殺し、人気取りの為にテロ殲滅をでっち上げ、また戦争をしかけて来たかで明白です。

ゼレンスキー大統領は独裁者か?
 侵略された小国が、敵国に立ち向かうには、一人の指導者の下での一致団結が必要であり、時には独裁色を帯びるものです。
少なくとも国際刑事裁判所(ICC)が戦争犯罪容疑で逮捕状を出したのは、プーチンでした。

 

 

トランプの身勝手さ 
 彼は大国ロシアをなだめる為に、独裁者を言い換え、ロシアの言い分を取り入れ、戦争終結に持って行こうとしている。
トランプは戦争を終わらせる為なら、正義を無視し、大国であれば何をしても良いと考えている。
正義は、人類が歴史から学び、育ててきた紛争を抑える最重要な概念です。 
身近な例がある。
大戦前、欧米はヒトラーの侵略に対し、初期の侵略を取り敢えず許し、融和策で乗り切ろうとした。
しかし、チャーチル首相がヒトラーの狂気を見抜き、ルーズベルトが参戦することで、世界は救われた。
少なくとも歴史的に見て、プーチンとロシアには、戦争を拡大する意図がある。

トランプの問題は、目的が恣意的であり、さらに目的の為には手段を選ばない事にある。
残念なことは、彼が地球上最強の国の大統領である事です。
このまま進めば、世界は混乱を深めることになり、最悪は経済悪化、侵略戦争拡大が蔓延することになる。


* 実は、この崩壊の潮流は以前から始まっていた

トランプは米国の分断され混乱した社会の中で誕生した。
以前、米国は民主主義と自由を重んじる国として知られていた。
しかし、今は大統領がデマを流し、司法や州や議会を無視し、独裁的に振る舞っている。
それを共和党が制止出来ないのは、トランプが国民の熱狂的な人気を得ているからだ。
なぜ米国は、こんな社会に状況になってしまったのか?

一番の理由は、経済格差の拡大と国民の大半が不満を貯めていることにある
これは新自由主義による金融重視と規制緩和によるところが大です。
その中から生まれた大富豪と巨大実業家が、権力を振りかざし、政治を操るようになった。
これに、宗教問題、二大政党の確執、移民問題、銃による犯罪多発が加わっている。
このままでは、悪化するに任せることになるだろう。
いずれ歴史家が、この状況をナチス勃興となぞらえ、不幸な時代と解説するだろう。


* 今、私達が気付かなければならない事は何か?

 米国社会の悪化は、必然だったと疑うことです。
この理由を納得するには、少なくとも1冊ぐらいの解説書が必要でしょう。
ポイントは、トランプがいなくなっても、悪化は簡単に治まるわけでは無いと言う事です。

身近な例を挙げましょう。
兵庫県の斎藤知事に纏わる一連の政治の劣化があります。
アジテーター立花のデマに踊らされた多くの選挙民、二人の維新県議の党利党略を目指した無恥な裏切り行為、人格に問題がある知事に同情する多くの選挙民、実に情けない状況が暴露され続けている。
この背景に、市民の政治への無知とSNS上にデマが拡散する状況、知事や政治家の劣化があります。
この状況は、米国と一緒でしょう。

つまり、このままでは日本も早晩、米国と同じ間違いを犯すことになるでしょう。


* 一つ重要な事

私が、現在、連載で「働くとは、何か」を書いていますが、この主題は以下に要約出来ます。

「弱い人々が状況を改善するには、時として身勝手な権力層と対峙出来る組合が必要」だと言うことです。
これは働く人にとっては労働組合です。
国際間では、国連やEUなどを意味します。
今回のトランプの暴虐を抑えるには、日本が今までやって来た追従一辺倒ではなく、環太平洋とアジア連合などの協同が必要になると言う事です。


次回から、またこれまでの連載に戻ります。

 

 

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働くとは、何か 16

2025-02-19 07:08:01 | 社会

 

* 今回は、日本の「働く人」の惨状をデーターから読み解きます。

既に、国鉄やJRの惨状を見て来ましたが、これは他の民間企業にも通じます。
多くの方は慣れてしまっており、その異常さに気付かないでしょう。
日本と各国との比較データーを見れば、驚きの姿が見えて来ます。

* 日本の「働く人」(国民)の惨状は以下の三つ
・職場のストレスが多い。
・生活に豊かさを感じられない。
・今も将来も幸福とは思えない。

おそらく麻生や竹中のような人なら、不満は贅沢だ、貧乏から抜け出すにはもっと頑張れと言うだろう。


* 先ず、満足度の推移を見ます。

 


「図1.日本では、一人当たりGDPが伸びても、満足感があまり増えていない」

1990年からGDPの伸びが鈍化しているのは、バブル崩壊の後遺症が長引いている為です。
2002年と2009年のバブル崩壊で失業率が高くなった為に、大きく満足度の低下が起きている。
結果的に、満足度は横這いになった。

皮肉屋は、「人は欲張りなので、物が豊かになっても満足しないだけさ」と言うかもしれない。
確かめてみましょう!


* 日本の幸福度は世界で何番目?

「図2. 世界幸福度調査で、いつも日本は先進国内には入れず、156ヵ国中50位辺り」

保守系マスコミは、この調査が欧米基準に偏っていると難癖を付け、この結果を否定しょうと懸命です。
また北欧を暗いイメージで語る傾向がある。
しかし、欧米と価値観が異るメキシコや台湾、カタール等は大概30位以内に入っており、北欧3ヵ国はいつもトップを独占している。
この調査は国連が行っており、GDP、社会的支援、健康寿命、自由度、寛容さ、政府の腐敗度から算出されている。


* 以下の二つのデーターから、日本は経済力の割に薄幸の国かもしれない。


* 日本の自殺が教えてくれる事。

 

「図3. 日本の自殺率は、先進国38ヵ国中6位と高い」

日本の自殺率は非常に高い。
この図は2019年のデーターだが、図5の茶線、最も失業率が低い年に当たる。
つまり日本では最も自殺率が低いはずなのに、順位が高いのです。
自殺は、経済不況(失業)や精神文化、社会の影響を受けるが、日本は以前から高い状態が続いている。


* 各国の年齢別自殺者数の違いから、日本の特異な状況が見えて来る

 


「図4. 日本の勤労世代は若年や老齢世代よりも自殺率が高く、他国と明確に異なる」

この図は2011年のデーターだが、図5の赤線、最も失業率が高い年に当たる。
これは、働き盛り世代に過度な精神的負荷がかかり、精神疾患(鬱等)を多発させ、やがて自殺へと至る事を示唆している。
以下に続くデーターはこれを補強している。
韓国で自殺が多いのは、高齢者です。


* 失業率の変化が教えてくれる事

 


「図5. 日本の男性失業率の変化」

この図で、2002年と2010年に失業率が前後に比べ約3%増えたが、図1の満足度も前後に比べ15%と大きく低下している。
欧米の失業率は4~12%と日本の2倍で推移しているが、図2で欧米の幸福度は日本より高い。
つまり日本では、図1が示すように不景気になり失業が増える事は「働く人」にとって大きな問題となっている。
おそらく、これは失業が長期にわたる事と、前職と同水準の再就職の困難さが家族を含め苦しめるのだろう。


* 日本では、男性の自殺が失業と関係している。

 


「図6. 失業率が男性の自殺率に強く影響している」

別のデーターから日本女性の自殺率は失業率とあまり関係が無い。
別のデーターからスウェーデンやイタリア等では、失業率と自殺率には相関が無い。
つまり日本の男性だけが失業や転職で過度な負担になる労働環境や社会構造になっている。


* 各国の失業率と自殺率から見えて来るもの。

 


「図7. 日本の低失業率と高自殺率が他国と比べ際立っている」

この図は2010年のデーター。
赤線は、図6の失業率と自殺率の推移を重ねて表示している。
赤線のように右上がりの直線は、失業率と自殺に強い相関があることを表しているが、この図だけでは他の国については不明です。
相関がなければ、失業率が増減しても自殺率は横の直線になる。


* 日本人は本当に失業に対して不安を感じているのだろうか。

 

「図8. 勤労世代ほど、失業に強く不安を感じている」

日本の勤労世代は異常なほど失業に不安を感じているが、なぜだろうか?
失業により、失業期間中の収入減、再就職の困難さ、たとえ再就職しても待遇確保の困難さが付き纏う。
日本の男性に失業による自殺が多い事を考えると、日本の雇用環境が他国に比べ劣っている事が示唆される。


* 失業(転職)を不安視する理由があります。

 


「図9. 日本は、他国と比べて転職後の賃金アップのチャンスが少ない」

これが、日本人が失業に対して強い不安を抱いている理由の一つでしょう。

 

* 日本人にうつ病は多いのだろうか。

 


「図10. 日本人のうつ病は年々増加し、男性は働き盛りでもっとも増える」

他の情報により、日本の精神疾患が他国より多いことが判明している。
また働き盛りの男性ほど、うつ病(精神疾患)が多い事は、男性の自殺率の多さの理由だろう。
女性は年齢と共に増加し、ほとんど減る事が無い。

 

* 日本では、仕事にストレスを感じる程度は他国と比べてどうだろうか?


「図11. 仕事にストレスを感じている日本人は31ヵ国中、男性2位、女性4位です」

つまり職場・仕事がうつ病を増加させている元凶であり、これが自殺を多発させ、幸福度や満足度の低下を招いていると言える。


上記11個のデーターから、日本人は先進国中もっとも薄幸と言える。

・「働く人」、特に男性は、他国より群を抜いて強いストレスや失業の不安を感じ、自殺することが多い。
・ 国連の幸福度調査において、日本は長年、先進国水準に入る事が出来ない。
・ ここ30年ほど、日本人の満足度は上がらず、精神疾患は上昇傾向にある。


* 問題提起

なぜ日本は失業率が低いのに、失業の増加に連れて自殺が増えるのだろうか?
これは日本特有の現象と言って良い。
様々な要因があるだろうが、おそらく最も災いしているのは、雇用形態でしょう。
これは、日本が企業内組合、御用組合が主であり、職業別組合が脆弱で、さらに年功序列が崩れている上に、首切りが容易になった事が大きい。
さらに現在、産業構造の変化が起きつつあるが、上記の理由で、日本ではこの変化に対応して「働く人」の転職がスムーズに出来ない。
これは、多くの場合、失業・転職が生活の低下を招くことになるからです。
こうして「働く人」が苦しむことになる。

「働く人」を簡単に首にする事で、産業構造の変化に合わせるべきだと上流国民は言うが、益々「働く人」が悲惨な状況に陥ることになる。
転職を促すのであれば、これに対応した雇用形態、労働組合、転職援助等が必須です。
この点でも北欧では進んでいるからこそ、幸福度とGDPが高いのです。


次回に続きます。

 

 

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働くとは、何か 15

2025-02-17 10:03:56 | 社会

 

今回も前回に続き、国鉄の暗部を読み解きます。

 


*前回見たように、国鉄と労組の対立には長く根深い歴史があった。

 国鉄と労組は、しばらく融和を模索する時が続くと、痺れを切らしたように、次いで激しい対立が起きる。
その度に、国鉄は労組から幾度も不当労働行為を訴えられ敗訴しながらも、懲りずに突き進んだ。
これを幾度も繰り返した末に、遂に政府の行革大号令の下、民営化・分割化で労組は留めを刺された。
JR西日本は、組合根絶の強硬派の国鉄幹部と日和った元労組が、占めることになった。
結局、徹底的に組合が潰されてしまうと、公営民営を問わず「働く人」は孤立無縁、過酷な職場で生きて行くことになった。

 

*皆さんは、気づいただろうか?

 JRは民間会社で、組合があり、組合活動も行われている。
しかし教育と称した虐待が進行している時、組合は個人的な問題だからとして救いの手を差し伸べていない(一部の組合は救援している)。
これはJRに複数の組合が存在するが、組合が全体的におとなしくなった事と関係する。
以前は民営化に反対する国労員が主に虐待されたが、今度は御用組合の組合員ほど、厳しいノルマから疲労困憊し自殺に至るようになった。
これは国鉄時代にもあった。
JRの意向に沿う御用組合員の多くは職場長を兼ねていることもあり、上の意向に逆らえず、中間管理職の悲哀を一身に背負う事になったからです。
元々御用組合は、経営側が出世を餌に組合員を取り込み、スト破りと他の組合の気勢を削ぐ為に作られたものです。
この手の問題は、現在、民間企業の多くの組合に見られる現象になった。

 


*この連載の13、14、15話から「国鉄・JRの問題」をまとめます。

 

1. 国鉄は、明治から大戦まで軍事独裁の風土があった。

2. JR、国鉄、運輸省のエリート官僚は、ノンエリートの「働く人」に対して冷酷だ。

3. 戦後も国鉄、JRの幹部は、組合を憎み、徹底的に潰すことを良しとして来た。
組合潰しが巧みな管理者は出世した。日勤教育等で虐待される者のほとんどは熱心な労組に属していた。

4. 残念ながら人間は、組織の中で権力側に居ると、権力側が嫌う者に対して冷酷になれる。
特に日本人は帰属意識(村意識)が強いので成り易い。
これは労働運動方針の異なる国労と動労の対立にも見られる。
ストレスが多い職場であれば、虐待で自己満足を得る人もいるだろう。注1

 


*日本の職場には、このような異常が罷り通っている。

*一番の元凶は、「働く人」の人権無視で、それを長期に亘り醸成して来た政官財です。

 残念なのは、経営者側の視点だけから公務員や労組をこき下ろして、悦に入っている市民が多く見受けられることです。
新自由主義を信奉する政党は、その代表格ですが、悲しいことに人気がある。

選挙で投票する時、流行りだとか、威勢が良いとかでは無く、少なくても「働く人」の側に立っている人を選んで欲しい。


次回に、続きます。

 


注1. 平凡な市民でも、一定の条件下で、権威に従い冷酷で非人道的な行為を行うことが心理実験で証明されている。ナチス下のアウシュヴィッツ強制収容所の所員等の心理を確認するために行われた。ミルグラム実験(アイヒマン実験)やスタンフォード監獄実験等がある。

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働くとは、何か 14

2025-02-15 09:11:41 | 社会

今回は、JRと国鉄の「働く人」にとっての闇を紹介します。

 JR西日本では、2000年3月から5年間で18名が自殺し、その内、首つり44%とJR等の電車への飛び込み39%がありました。
1985年、日本の男性の自殺では首つり54%、飛び込み4%でした。
自殺者のJRへの想いに、胸を締め付けられるのは私だけでしょうか?

 優秀なJR西日本の幹部は、なぜ幾度も自殺や事故が起きているのに平気だったのでしょうか?
JR西日本は、自殺事件で被害者側の訴えに敗訴した後、少し改めたようです。
付け加えると、JR東日本は、「日勤教育」の間違いに早い段階で気づき、前回記した科学的な安全対策に切り替えていました。

 

JRと国鉄は、「働く人」、特に労組員への虐待を繰り返して来た常習犯でした。

 国鉄時代の1985年、現金が紛失した事件があり、A氏が疑われた。
それは、改革で出札窓口がオープンになっており、またA氏が一人で居る勤務時間帯があり、現金にA氏の手が届くと言った理由だけでした。
事件後、彼は「特命日勤」とされ、食事とトイレ以外は取調室での軟禁状態が1ヵ月続いた。
それが終わったのは彼が自殺したからで、彼は妻に「お前だけはオレを信じてくれ」と遺書を残していた。
彼は、民営化反対の国労に所属していた。
こうして、87年のJRになる直前には、国鉄の自殺者数は85年45名、86年48名になっていた。
当時、国鉄総裁は自殺について「日本の成人男子の平均値」と言い放った。
しかし、詳細に見て行くと、自殺者に退職や国労脱退の執拗な督促が集中していた事がわかる。

 1971年、国鉄当局によるマル生運動が活発だった頃、労組脱退者が1ヵ月平均で3~5千名になった。
国鉄当局は、それは純粋に生産性向上を目的としていると宣言していた。
しかし一つの録音テープが、嘘を暴いた。
それは水戸管理局の能力開発課長が現場管理者を集めた会議の席上、「知恵を絞って不当労働行為をやれ」(注1)と発言したテープが、マスコミで一斉に報道されたからでした。


「不当労働行為の説明」

 皆さんの中には、暴虐な労組に対抗して国鉄側は仕方なく圧力を掛け、不当労働行為を行ったと思っている人がいるかもしれません。
しかし思い出して欲しい、明治から大戦までの軍国時代、官憲が組合活動者を虐殺し、全国の組合を徹底的に解散させた事を。
この連載の8話に詳しい。
当然、戦前の国鉄、満州鉄道も含めて、重要な兵站手段として、すべて軍部が掌握していた。
戦後、民主化をリードしたGHQだったが、後に共産主義の拡大を恐れ、公務員の組合活動制限へと舵を切った。

 

この裏で、労組のイメージが大きく損なわれる下山事件等が相次ぎました。注2
続いて、米国のCIAが、1960年頃から10年以上、共産主義勢力弱体化の為に、自民党に毎年、莫大な資金提供と協力を惜しまず、自民党を支え続けた。注3
こうして、ほぼ150年近く、日本の「働く人」と労組は抑圧され、イメージダウンが図られ続けたのです。

 

 当然、明治以降、進歩的な日本人は欧米の組合活動の成果や人権擁護を知っていた。
残念なことに、人は抑圧されると、「窮鼠猫を噛む」、事になる。
こうして、国鉄労組は労働条件改善のスト、スト権確立のストを行うが、国鉄は、これらを違法として組合員の大量解雇と減給処分を行った。
また労組は、この撤回を求めてストを行ったが、初め理解を示した国民(利用者)もやがて不満を持っようになった。

こうして世論の後押しもあって、政府と国鉄は、1970~71年マル生運動、1987年の国鉄民営化(清算事業団、人材センター)へと労組解体へと進んだ。
特に、数年続いた清算事業団と人材センターは組合員(国労)にとっては墓場であり、自殺製造工場のようなものでした。注4
本来、上記の組織は国鉄財産の売却処理と首切り対象者の転職斡旋が目的でした。
これは後に、広く知れ渡る、「自主退職せざるを得ないようにする為の、ブラック企業の追い出し部屋」の走りのようなものでした。


次回に、続きます。

 

注1.「不当労働行為」=労働者の団結権を侵害する行為。

注2.組合が狂暴だと印象づけられることになった下山事件: 朝鮮戦争が始まる前年の1949年7月、国鉄職員10万人の解雇に関して労組と交渉中、忽然と姿を消した下山総裁。その後、無残な轢死体で発見された。検死解剖の結果、死体から血が抜き取られていたことが発覚。自殺か他殺か未だに不明な未解決事件。下山事件から約1か月の間に国鉄に関連した三鷹事件、松川事件が相次いで発生し、これらを「国鉄三大ミステリー事件」と呼ぶ。松本清張は自著「日本の黒い霧」の中で、GHQの犯行だったとしている。前後の状況を考えると説得力がある。


注3.首相経験者の岸信介と佐藤栄作は、米国の公開文書によって、米国協力者であり、高額資金の受領が明らかになっている。


注4.「国鉄処分 JRの内幕」鎌田慧著、講談社文庫、1989年刊、に詳しく書かれています。

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ワールドクルーズ 14 ; イタリア、ナポリ、ポンぺイ遺跡

2025-02-12 10:25:22 | 旅行

今回は、ナポリ近郊の古代遺跡ポンペイを紹介します。

船がナポリ港に寄港すると、朝8時にツアーバスで、遺跡に向かい、12時過ぎには船に戻りました。

ツアーバスには、フランス語や英語等のグループが混在し、言語グループに分かれガイドについて遺跡を巡った。

 

「 左は寄港地ナポリ、右はナポリからポンペイ遺跡へと向かうルート」

右のルート途中の上側の山がヴェスヴィオ火山です。

 

* 世界遺産、ポンペイ遺跡について

ポンペイは古代ローマ帝国の地方中核都市、商業都市、別荘地で、人口は2万人でした。

ナポリ湾に面したヴェスヴィオ火山が紀元79年に突然噴火し、大量の火山礫や火山灰が降り注ぎ、一昼夜で溶岩と火山灰の下に埋まり滅びてしまう。

そして、長い年月が過ぎた後、発掘され、復元が進み、今にローマ時代の暮らしが蘇った。

 

「 ポンペイ遺跡の観光ルート、上が北、入り口は左下」

紫線が観光ルート、番号付きの赤丸が主な観光スポット。

遺跡の東西距離は1.3km、南北は700mとかなり広い。

私達が観光したのはほんの一部でした。

 

「 ナポリから遺跡に向かうバスより、ヴェスヴィオ火山を望む」

 

「 入り口に向かって駐車場から遺跡沿いを少し歩く」

 

「 No.1 Quadriplegics of the theatres」

この奥に劇場があり、ここは観劇の合間に休憩できる場所でした。

庭を囲む多くの列柱が素晴らしい。

 

「 上3枚は、途中の景観」

 

「 No.2 上2枚、 Casa del Menandro メナンドロスの家」

ここは大きな建物からなり、中庭が幾つもあり、身分の高い一族の典型的な住居の好例です。

この家はポッペイ一族の所有によるもので、ネロ帝の2番目の妃ポッペア・サビーナの親戚でした。

 

「 途中の景観」

 

「 No.3 Forno  パン屋」

ここには様々な竈やパン焼きの窯(三つの円錐形)がありました。

パン焼きは非常に利益の上がる商売で、ポンペイではこれまでに30以上ものパン屋の跡が確認されています。

 

「 No.4 下2枚も Terme Stabiane スタビア浴場の中庭」

ポンペイには公共浴場が4ヶ所ありました。

紀元前 2 世紀に遡るこのスタビア浴場は、ローマ世界で最も古い浴場の一つです。

この浴場には脱衣所と低温・中温・高温の浴場があります。

写真には無いが、暖房は、壁と二重床に配管システムがあり、炉や移動式火鉢から出る熱風を循環させることで確保されていました。

この浴場は、町の銭湯では無く、スパー銭湯に匹敵します。

 

「 この2枚は上下に浴場を撮影しています」

 

「 上3枚 途中の景観」

 

「 遠くにヴェスヴィオ火山が見える」

広場の長軸はヴェスヴィオ火山に向かっている。

「 No.5 上4枚 Foro di Pompei 大広場」

撮影場所は、歩いて来た通りVia dell’Abbondanzaと広場が交わる所です。

写真は上から順番に、北、西、南、東(歩いて来た通りを振り返る)に並んでいる。

市民のフォロは市民の日常生活の中心の場で、これに面してすべての公共の建物が並び、町の運営、司法による裁き、事業の管理、市場などの商取引が行われたほか、町の信仰の場でもありました。

東にマーケット、北にジュピター神殿、西にアポロ神殿、南にバジリカがある。

 

「 No.6 emple of Venus in Pompeii ヴィーナスの聖域を望む」

ここは、港が建設される予定だった湾を見下ろすナポリ湾の素晴らしい景色を望む壮大な人工テラスにあります。

ヴィーナスはポンペイの守護女神で、植民地の完成時(紀元前 80 年)にこの地に名付けられました。

ローマ時代以前にすでに崇拝されており、後に航海の守護女神となりました。

 

 

「 No.7 Antiquarium di Pompei ポンペイ博物館」

噴火で埋もれた犠牲者の鋳型が数体ありました。

この考古学博物館を出ると、すぐ入って来た入口に出ます。

 

非常に大きな遺跡であり、巡っていると当時の繁栄や賑やかさが目に浮かぶようでした。

浴場の設備の巧みさには驚いた。

訪れた2023年1月10月は、小雨が降る事も有り、寒かった。

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

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働くとは、何か 13

2025-02-10 15:01:26 | 社会

 


今回は、日本のありふれた惨めな「働く」状況を紹介します。


初めに、日本に君臨する経営者達の発言を紹介します。

 

 2004年、選手会の古田会長が球団側との話し合いを申し込んだ際、読売巨人の渡辺恒雄は、記者団に「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかん。 たかが選手が 」と吐き捨て、さらに別の経営者が、ストをするなら「失う興行収入の損害賠償を請求するぞ」と脅した。
明治時代にタイムスリップしたかのようです。
これが日本を動かしていると自認するエリートの意識です。

 当然、組合のストによる賠償責任は法的に免除されています、大戦後以降ですが。
実は、この手法はかつて国鉄民営化の折に、絶大な力を発揮していた。
後にJR西日本社長になった井出は、国鉄民営化を牽引した三羽ガラスの筆頭でした。
彼は、当時、民営化に反対する国労と動労に対して、「ストの損害賠償202億円」の請求を思いついた(金額はふっかけ、現在では2倍の価値か)。
この莫大な請求額は、組合員に惨敗を強烈に印象付け、動労は日和見、国労から脱退者が続出し、数年で腰砕けになった。
この脅しが効いたのは、国が憲法でスト権を認めておきながら、後の法律で公務員、国鉄を除外したからです。注1
これを突いて、希代の策士だった井出は国鉄史上初めて賠償請求を行った。

 

実は、この井出が君臨した87年誕生のJR西日本で、時代遅れの風土が勢い付くことになった。

 信楽高原鉄道衝突事故1991年、服部運転士自殺事件2001年、福知山線脱線事故2005年、これら多数の死者が出た痛ましい事故には共通点がありました。

 どれもJR西日本の運転士が関わっており、その背景に壮絶な個人虐待の「日勤教育」がありました。
二つの事故後、井出や経営幹部は、口を揃え、事故は運転士に問題があったとし、謝罪することを拒否し続けた。
世論はJRの社風である異常な「日勤教育」に疑いの目を向けたが、結局、経営者の責任追求には至らなかった。
魚は頭から腐ると言われるが、日本だけは特別で、トップの責任は除外され、この状況は福島原発事故へと連綿と続くことになる。


日勤教育とは何か?

 


「テレビで取り上げられた日勤教育」

 事故やミスを起こした乗務員を、通常勤務から外し、再発防止の為に特別な教育過程を数日から1ヵ月間に亘り、実施する社内制度です。
これだけ聞けば、何ら問題は無さそうですが。

 実は、個人の過失を徹底的に責めることで意識改革を目指す、馬鹿馬鹿しい時代遅れなものでした。
例えば、運転手は、電車出発が50秒遅れた理由と、その反省文を何日間も書かされ続けるのです。この時、被告は1日中、一室で5人程の管理者に囲まれ、トイレ以外の自由を制限され、針の筵に置かれるのです。
もし彼が、それは「ルールが定まっていなかったので自己判断で安全確認を行ったので遅れた」とでも言おうものなら、会社への不備をあげつらった事へのみせしめとして、班長が教育日数を幾らでも引き延ばした。
さらに気に食わなければ、草むしり、また自分のミスを手当たり次第に他者に報告させる等のいじめが平然と行われた。
また口髭を生やしているだけで、剃る迄、何日も上役が説教し、挙句には「首をくくって死んでも知らないぞ」と脅迫し続ける。
口髭の件は社内規定に無いのですが、管理者は部下に絶対服従を強いる。注2.

 上記の三っの事件・事故は、運転士が「日勤教育」を非常に怯えていて、「余計な安全確認より、不安があっても決められた通りに行う」ように仕向けられいた事が原因でした。
ちなみに、服部運転士の自殺では50秒、福知山線脱線事故では90秒の遅れが発端となった。


この日勤教育は著しく愚策でした。

 現在は、小さなハットするような事故未遂が数多く起きた後に事故が発生すると考えます。
従って、事故を防ぐには作業に関わる、その人の精神的、物理的な危険要因を取り除くことに主眼を置きます。
作業者の不安や不満を和らげ、うっかりミスを防ぐ安全装置の設置を行う科学的手法が常識です。
むしろ個人の責任を追求することは、萎縮させるだけで、実際、ミスの報告が出なくなり、対策が出来ないと言う実害があります。


次回に続きます。

注1.公務員のスト権剥奪について、日本の労働団体がILOに訴えているが、ILOはこれを不適切としたが、複雑なので、日本政府に充分話し合い、改善しなさいと匙を投げられていた。

注2.「JR西日本の大罪 服部運転士自殺事件と尼崎脱線事故」鈴木ひろみ著、五月書房、2006年刊、に詳しく日勤教育の実態が描かれています。

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ワールドクルーズ 13; シチリア島、カターニア

2025-02-08 07:40:43 | 旅行

カターニアは、イタリアのシチリア島にあり、2番目に大きな街です。

ここは「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」として世界遺産に登録されています。

 

* 寄港地と散策ルート

寄港したのは2023年1月9日(月)、ワールドクルーズ4日目になります。


「 イタリア、シチリア島の東部にあります」

紫色の線は、前後の航路です。

 

「 黄色線が散策ルート、赤丸が撮影地点、緑丸は位置が不確か」

朝8時、クルーズ船を出発し、No.1~10へと徒歩で巡り、船に11時頃戻りました。

ツアーは使わず、自由散策しました。

船は7時着岸、17時出港でした。

 

* 写真で散策ルートを紹介します

 

「 No.1 船上から北方にあるエトナ山を望む」

このカターニアの街は、過去2回、エトナ山の噴火と地震で大損害を受け、さらに大戦でも被害を受けた。

しかし、朝陽に映えるエトナ山は美しい。

 

「 No.2 港からクルーズ船を望む」

 

「 NO.3 カターニア大聖堂」

ここが1番の名所でしたが、この日は、入れませんでした。

この前は、大きな広場になっています。

 

「 NO.3 大聖堂広場」

中央に象の噴水があります。

これから右手(北側)の方に、散策を始めます。

 

「 No.4 マエストランツェ公園の前から反対側(東側)を望む」

 

「 No.4 マエストランツェ公園の前から公園(西側)を望む」

 

「 No.5 マエストランツェ公園内」

南側の入り口を入ったばかり、奥側を望む。

 

「 No.6 ベッリーニ庭園の前」

 

「 No.7 ベッリーニ庭園を出た所、エトネーア通り」

 

「 No.8 Basilica Satuario del Carmine」

広場の向こうに教会堂Satuarioが見える。

 

「 No.8 上と同じ位置から、を振り返る」

ここら辺は、一気に貧しい移民街の雰囲気になりました。

逆に言えば、コンビニの水などが安く、南アジア系移民の店員も珍しい日本人に愛想がよかった。

 

「 No.8 教会堂前広場の朝市」

私は開催曜日と時間を知らないが、私が訪れたのは9~10時の間と思うが、一部、店じまいしている所もあった。

店の数は多く、野菜等の食料品から衣料・日用雑貨まで扱っている物は多い。

衣料・日用雑貨品には、中古が目立った。

貧しい市民、移民の朝市のように感じた。

しかし、市民の暮らしを感じるには良い場所だと思う。

 

 

 

「 No.8 教会堂前広場の朝市」

 

「 No.9 エトネーア通り」

 

「 No.10 エトネーア通りに面したコッレジャータ聖堂  」

「 No.10 コッレジャータ聖堂前のエトネーア通り 」

 

一番、感じたのは、バロック建築が美しいと言うより、移民の街であり、沈滞している感じを受けた。

このカターニアには、ワールドクルーズの帰途、5月9日にも再度訪れます。

この時は、また違う場所を紹介します。

 

次回に続きます。

 
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働くとは、何か 12

2025-02-06 08:55:27 | 社会

今まで、日本とヨーロッパの歴史を「働く」視点から見て来ました。
日本では大戦までと国鉄民営化、ヨーロッパでは20世紀初めまでの組合運動史。
さらに私達が見過ごしている「働く立場」の異変についても指摘しました。
今回は、少し基本的な問題を語ります。


私達は、働いているのでしょうか? それとも働かされているのでしょうか?

 奈良時代から大戦後まで、ほとんどの民は労働の成果(米、賃金)の一部しか、自分の物になりませんでした。
成果の大半を、古代では天皇や将軍周辺に吸い取られ、近代では殖産興業、やがて自らの命と一緒に戦争に捧げる事になりました。
この状況は「働かせれていた」と言えるのではないでしょうか。
それは1400年もの長きにわたったのです。

「日本人は諸税と社会保険料で収入の約60(か50)%を納めている」
この率は上昇傾向にあります。注1

問題は、「働く人」国民が、この内の幾らを還元(再分配)されているかです。
北欧の国民は53~66%を納めるが、多くが無料(医療、教育、福祉)なので、これに比べると日本の還元は少ない。
この違いは、政府の腐敗に関係がありそうです。
北欧で汚職事件は聞きませんが、日本では日常茶飯事です。
議員が賄賂を貰って企業や業界に税等を優遇し、規制を外したり、また選挙地盤優遇の為に鉄道や道路の建設ルートを恣意的に行う事は日常的です。
しかも、徴収が「働く人」と金持ち、企業で公平に行われているとは思えない。

しかし問題は、これだけでは無い。

働く状況はどうなっているのでしょうか?

例1
AとBの二人が、一つの田で稲を育て収穫した。
地主は、お気に入りのAからは、他のBの値より倍の値段で稲を買ってくれた。

例2
ある田Cでは、地主が灌漑工事を行い、収穫量は以前よりも2割増えた。
別の田Dでは、灌漑工事が行われなかったので、収穫量は変わらなかった。
田CとDの両方の小作人は、同じ収穫量を求められた。

例3
網本が、多数の漁師に漁獲量を毎日競争させ、一番少ない者には罰としてその日の手間賃をやらなかった。

これは江戸時代の話ではなく、現代でも横行している。

例1は、正規と非正規雇用の問題です。
例2は、企業の設備投資による生産性や、高付加価値製品有無の問題です。
例3は、コストダウンの目標管理による社員間競争の問題です。

 

「同じハーネス組み立て作業ですが、左はドイツ、右は日本です」
違いが分かりますか?

私が35年前に北欧デンマークの工場視察をした時のカルチャーショックは凄かった。
女性作業員は大きな円テーブルを囲んで座り、電気回路基盤の目視検査をしていた。
彼女らは、それぞれ私服で、日本のようにコンベヤ上の流れ作業の立ち作業では無く、時間に急き立てられていなかった。
明らかに、何を優先しているかが明白です。
このような国が、現在も世界トップレベル(幸福度とGDP)に有り続けているのです。
日本の悲惨な状況に、多くの方は気にも留めない。

なぜそうなのか?

1.劣悪な「働く立場」へとじわりじわりと、追い込まれて来た。
2.今の「働く立場」が最良であると洗脳されて来たので気付かない。
3.今の「働く立場」が悪いとしても、改良が可能とは思えない。
4.より人間らしい「働く立場」が世界で実現されていることを知らない。
5.もしそうであったとしても、我々に変革など出来ないと諦めている。

これらを、一つ一つ解き明かす事が、この連載の役目だと思っています。
どこまで出来るか分かりませんが、分かり易く、語って行きたいと思います。


次回から、また具体的に見て行きます。

 


注1: 上のグラフから負担率の様子が掴めます。国は毎年赤字で、国債で借金し、徴収した額のほぼ倍を国全体に支出(還元)している。そこまでしているのに、税の役割である再分配、所得の格差を埋める機能をあまり果たしていない。さらに驚くべきことに経済が好転しない。結局、どこかで盗まれているか、無駄に捨てられているか、分配が歪められているのだろう。

 

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ワールドクルーズ 12 ; 海洋都市国家ドゥロブニクを散策

2025-02-03 19:50:14 | 旅行

ここはクロアチアの世界遺産で、アドリア海の真珠と讃えられている。
おそらく日本人にとっては、ここが最も中世ヨーロッパ、しかも幻想的な雰囲気を味わえるところでしょう。
2度目の訪問になり、数時間、都市内を自由に散策をしました。

* 何処にあるのか  

「図1. 赤丸の位置がドゥロブニクで、クロアチアの端にある」

14~16世紀、ドゥロブニクはヴェネツィア(黄矢印)と、アドリア海と東地中海の海洋覇権を争い、栄えた。


「図2. 緑矢印がクルーズ船着岸地、黄枠がドゥロブニク、赤矢印が後背地の展望台」

「図3. 海から聳える城壁で囲まれた域内に、ほぼ完全な石造建築物群が残っている」

この地はヨーロッパだったが、森林が少ない事、ハンガリーやオスマンと朝貢関係を持ったことで、独特の雰囲気を醸し出している。
この城壁の上を有料で一周できますが、今回は行きませんでしたが、お薦めです。

* 私が歩いたルート  

「図4.赤線が歩行ルート、緑は不確かを示す。星印は複数方向、丸印は一方向の撮影」
写真の多くがGoProの広角撮影なので歪みがあります。


* 写真No.1 
バス停、インフォメーション、売店があります。
クルーズ船からのシャトルバスがここに止まりました。


「 奥の方が、クルーズ船の方向です」
左側にインフォメーション、売店が見えます。

 


「 奥の山に、ロープウエイで行ける展望台が見える」
展望台からの景色はお薦めですが、今回は行っていません。

 

「 城砦内にある鐘楼が遠くに見えている」

 


「 海側 」

* 写真No.2   
いよいよ城砦へ入場です。
入場料やチェックは有りません。

「 立派な城壁の右側に入口、ピレ門があります」

 


* 写真No.3から緑丸印まで、進みながら同一方向を写す 

 

「右がオノフリオの大噴水、すぐ左が救世主教会」

この真直ぐ伸びたメイン通りが、プラツァ通りです。
昔、この通りは海峡で、左(山)にスラブ人、右(海)にラテン人が住んでいたが、12世紀以降に埋め立てられた。
このダルマチア地方一帯は水が貴重で、ワインよりも高かった。
そこで15世紀に12km離れた山側から水を引き、この水道施設、オノフリオの大噴水を造った。

 

「 この左手がフランシスコ会修道院で鐘楼が見える」
ここは一番の観光スポットでしょう。有料。
修道院内には庭と回廊、その奥に700年も続く、ヨーロッパで三番目に古い薬局があります。
今回は行っていません。

 

* 写真No.4 ルジャ広場からの眺め  

 


「 鐘楼の左の門を抜けると、港に出る」
左サイド奥がスポンザ宮殿、右サイドが聖ヴラホ教会。
著名なヨーロッパの歴史家ブローデルは、スポンザ宮殿(税関)の資料にヒントを得て「地中海」を書いたと言われている。
この地は幾度も地震にみまわれ、倒壊と多数の死傷者を出している。
さらに1991年のユーゴスラビア内戦で、7か月間包囲され、砲撃により多大な損害を蒙った。
城壁を歩くと、砲弾を受けた屋根瓦が交換されているので、被害の大きさがわかる。

 

「 やって来た通りを振返り、ピレ門側を望む」


* 写真No.5 ルジャ広場から大聖堂へ向かう  

 

「 右が聖ヴラホ教会、奥に大聖堂が見える」

 

「 振り返ると、鐘楼の左にスポンザ宮殿の正面が見える」

 

「 左サイドが旧総督邸、正面が大聖堂の側面」

旧総督邸(レクター宮殿)は博物館になっており、優美な曲線と絢爛豪華な階段を有し、当時の家具などが見られる。

大聖堂を除いて紹介した建物の多くは、博物館となっており有料です。
セットになった割引パスも販売していました。


* 写真No.6 城壁近くの海洋博物館  

 

「 海洋博物館の入口」

ドゥブロブニクの古代から現代までの海洋交易と船の歴史が展示されています。有料。


* 写真No.7 海側の城壁   

 


「 城壁から海に出れる小さな入口があった」


* 写真No.8 忽然と現れた広い階段  

 


「 海側の城壁近くから下って、プラツァ通りに向かう途中、振り返る」

ここまで緑線のルートを散策して来たのですが、カメラのメモリーのトラブルで多くの写真を失い、紹介出来ないのが残念です。
この城塞都市は岩盤の上に、すべて石材で造られた建物と、石材で覆われた道と階段で出来ている。
複雑に張り巡らされた小道の上には、アーチ型のトンネルが掛かり、さらにその上に住居が重なっている。
地さな庭は、まるで箱庭のように、そこだけ土が敷いてある。
実にユニークな散策でした。


* 写真No.9 港に出る   

 


「 中央の小さな門がルジャ広場に通じる。鐘楼が見える」
ハイシーズンなら、この辺りは観光ボートの呼び込みで溢れている。

 


「 港の全景」

 

* 写真No.10 埠頭から港を一望する  

 


「 海への出口方向」

 


「 展望台がある丘を望む」

このダルマチア地方は、行けども行けども、このような乾燥地で、剥き出しになった石灰岩がゴロゴロしている。
そしてブドウの栽培が盛んで、ワインがよく作られている。
紹介出来ませんでしたが、この一帯の岬や湾、島の海岸沿いの至る所に別荘地帯があります。
天気が良い時は、本当に素晴らしい景勝地です。

 


「 城砦側を見る、左に大聖堂のドームが見える」

 

「 こちら側に海洋博物館がある」

 

* 写真No.11 夕陽に照らされる城壁  

 

「 左に城壁の外側、右にロブリイェナッツ要塞」

中世の都市にタイムスリップしたような感じを味わって頂けたでしょうか?
紹介しませんでしたが、城砦の中には、レストラン、土産物屋はたくさんあります。
この1月7日は、観光客が少ない時期なので、店もあまり開いていないようでした。

 

次回は、次の寄港地を紹介します。

 

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働くとは、何か 11

2025-02-01 08:04:12 | 社会

 

 

今回は、1冊のベストセラーから「働く立場」の劣化の切っ掛けを読み解きます。


*「昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実」牧 久著、講談社、2017年刊
 著者は元日経の記者で、国鉄記者クラブ常駐の経験と、徹底した調査を基にして、この本を著わした。
当時、ベストセラー、受賞、アマゾンで高評価。

 これは国鉄民営化関連で、最もインパクトのある本でしょう。
中曽根首相、土光臨調、国鉄の改革派が中心となって自民党や官僚、経済界を巻き込み、堕落した国鉄労組を相手に、如何に困難な大改革をやり遂げたかが語られている。
政界と国鉄、労組の駆け引きを描く筆致は素晴らしい。

 

* だが気になる点が幾つかある。

 それは、労組が追い込まれた背景、自民党に食い物にされた結果の国鉄大赤字、欧米に比べ非常に不利な労働組合法、サッチャーとレーガンの新自由主義が欧米で吹き荒れた時代背景が、ほとんど描かれていないことです。

 

* 民営化の発端は国鉄の膨大な赤字だが、あまり書かれていないので要約します。

1975年度の国鉄予算は約2兆円、赤字0.3兆円でしたが、実は毎年0.7兆円以上の鉄道建設を行い、その累積債務の返済が年0.4兆円だった。注1
国は援助せず、鉄道建設はさらに膨張したので、累積赤字が膨大にならざるを得なかった。
鉄道建設は自民党が利権がらみで決め、国鉄に関与させなかった。
しかし国鉄職員は勝手に決められた建設費の返済に明け暮れ、それでも赤字だった事になる。

 

 

* もう一つの秘密、日本独自の特別会計(裏の別予算)があります。

2000年度の名目GDPは505兆円、一般予算75兆円に対して、特別会計(重複を除く)は2.3倍の175兆円でした。
特別会計はガソリン税や年金積立金等が、様々な特殊法人や公益法人、何々機構(スーパー林道)に融通され、そこで膨大な人が働き、自民党の最大利権、票田、官僚の天下り先となっている。
これらは独占状態なので収支が合わなければ、個別に空港橋通行料等の値上げが行われて、辻褄が合うシステムになっている。
この事は、ある疑問を生む。
腐敗と無駄は国鉄以外にも膨大だが、必需である国鉄を、独立採算に仕立て、恣意的に赤字に追い込み、民営化・分社化の最初の標的にしたように思える。 

 

* 真の狙い

 中曽根自身が「天地有情」で述べている。
「・・・国鉄の分割・民営化によって、国労が分解して、総評が分解した。・・・社会党の生存基盤を奪った。五五年体制の崩壊の兆しは、やはり国労の崩壊じゃないですか。国労が崩壊すれば総評も崩壊するということを、明確に意識してやったのです」
日本の組合と労働者政党(社会党)の弱体化が意図されており、政財界共通の願いであった。
当時の英米では新自由主義が勃興し、労働組合い潰しが猛烈に進み、またビジネス界では分社化が流行りだった。
現在では当然だが、企業は統合して巨大化する方がメリットが多いと考える(独占の問題がある)。


* さらに読者が考慮すべきことがある。

 著者は日本経済新聞からテレビ大阪会長を経ているが、これらの会社の大株主は読売新聞です。
読売新聞を取り仕切っていたのはメディアのドンであり、政界のフィクサーである渡辺恒雄です。
独裁で鳴らした渡辺氏は、自身の告白記で、政界で最も中曽根を指導して来たのは自分だと述べている。
この渡辺の名前が中曽根主導の国鉄改革に一度も出てこない、実に不思議です。

 

* 結局、日英米の保守党政府(自民党、保守党、共和党)・財界・マスコミによる大きなを濁流が各国の「働く立場」を押し潰したと言えそうです。

最大の労働組合が潰れ、労働者政党は打撃を受けたが、最も深刻なのは、「働く人」自身が、「働く立場」を見失い、共同(団結)する事を忌避するようになった事です。

この後、日本と欧米で組合潰しが露骨になり、組合活動は下火になって行きました。
これが今世紀に至る悲劇だと、私は思うのですが。

 

「問題の一面を鋭く指摘しています」注2

 

次回に続きます。


注1:本当は国鉄解体直前1986年の予算を見たかったのですが、2000年しか見つからなかった。二つの年度の差は14年間で、その間の物価上昇率は18%でしたので、予算の実態はかけ離れたものではなかったはずです。

注2: 確かに、莫大な巨額利益を生み、赤字を補填するはずだった不動産処理は、物価高騰を避ける名目で低く押さえられ、大手に売却されていった。マンガの亀井委員長は、国鉄民営化時、中曽根政権の運輸政務次官であった亀井静香です。これも自民党族議員が公共投資の裏で、これまでよくやって来た手法でした。

 

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ワールドクルーズ 11 キャビンの紹介

2025-01-29 13:27:29 | 旅行

* 今回は、キャビン、私達がすごした室内の様子を紹介します。

キャビンは価格が安い方から、大まかに言って窓無しキャビン、丸窓か角窓キャビン、ベランダ付きキャビンがあります。

部屋の広さも、順次広くなっていきますが、多くは一部屋です。

私達は、最も安い窓無しインサイドキャビンを選びました。

以前、ベランダ付きキャビンを利用しましたが、良かったと感じたのは、入港と出港時に光景をゆっくり眺められることでした。

しかし良い写真を撮ろうと思えば、船のあらゆる場所に行かなければならず、一ヵ所のキャビンでは撮影は限定されてしまいます。

したがって、ベランダ付きの費用をエクスカーションに回す方が良いと考えました。

 

* ベットの紹介 

 

二つのベッドが並んで置かれています。

ベッドの大きさは十分です。

ベッド横、両側の電気スタンドにもコンセントが一つあったと思います。

エアコンが効いており、調整が出来ますので、過ごし易いです。

洗濯物を室内に干して置けばよく乾きます。

部屋は狭いですが、ベッドの下に大きいスーツケースを開けたまま置いておけば、便利です。

大きいスーツケースを床の上で広げるスペースはありませんので、たまにベッドの上に広げて整理することになります。

照明はすべて消灯出来き、真っ暗にすることが出来るので、私は寝やすかった。

 

 * デスクとキャビネット 

このデスクとキャビネットはベッドの反対側にあります。

この部屋の入り口は、左写真の左側の扉です。

右写真の奥、左側にシャワーとトイレ、右側、手前にキャビンと奥右側に大きなロッカーがあります。

電源コンセントはデスクの上、中央にありますが、口数は少ないです。

分岐用のコンセントが必要です。

デスクの左上、壁にテレビがあります。

楽しめる番組はありませんが、船前後のカメラ映像があるので、外の明るさが分かります。

船の位置も分かります。

部屋全体の物を入れるスペースは、ワールドクルーズ用としては狭いので、整理して収納する工夫が必要です。

マグネットフックで、洗濯物を干したり、軽いよく使うものを吊るしたり出来ます。

船室は、基本鉄板で出来ているので、何処でもくっつきます。

但し、傷をつけてしまうので、薄い紙を挟むと良いでしょう。

紙の箱を、数個持って来て、引き出しの整理や、多種類の細かい薬を入れて、重ねて、キャビネットに入れたりすると、コンパクトに出来ます。

 

* 収納スペース 

左写真は大ロッカーの一つで、この左側にこの2倍の大きさの服を掛けるロッカーがあります。

右上に金庫があり、よく使いました。

右写真はデスクの引き出しです。

 

* バスルーム 

バスルームは狭いですが、一人で使う分にはまったく問題がありません。

湯船は無く、シャワーだけです。

シャンプーは付いています。

私はクルーズ中のシャワーが気に入っています。

直ぐ使え、使った後、同室の人の為に浴槽を洗う必要がないのが良い。

1日に二度使っても、バスタオルの交換を客室係が交換してくれる。

また頼めばよい。

客室係は毎日、掃除とベッドメイキング、タオル類や消耗品の交換をしてくれる。

シャワースペースの上に、ワイヤーが有り、洗濯物を幾らか干せる。

しかし、それだけでは足らないので、針金などのハンガーを数本持って来て、バスルームやベッドルーム等に干した。

ドライヤーや歯ブラシなどは無い。

お湯は出ます。

水は飲まない方が良いと思います。

 

 

* アプリの紹介 

レストラン、エクスカーション、船の位置、船内イベントの情報が随時入って来ます。

予約したり、予約の確認、支払いの確認が出来ます。

私はスマホで必ず毎日数回利用しました。

これは船内だけのWifiだけで使え、通信料は掛かりません。

SNSやインターネットの使用は、通信料が掛かり、数種類のプランがあります。

乗船前でも、乗船後でも契約できます。

WhatsAppだけは無料だっと思います。

 

次回に続きます。

 

 

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働くとは、何か 10

2025-01-26 15:54:05 | 社会

 

 

これから2回に分けて、6冊の本から「働く立場」の異変と問題の端緒を掴みます。


「イーロン・ショック」笹本裕著、文芸春秋、2024年刊。
 著者は元Twitterジャパンの社長で、自身が首を切られるまでの実録。
私は前半しか読んでいませんが、彼は経営者の立場から、これをビジネスの新潮流と見做しているようです。

 テスラのイーロン・マスクが、自分の流儀(検閲破棄)で、いとも簡単に大量の従業員の首を切っているのは周知の事です。
彼は、産業界の寵児であり、超富豪に加えて、世界の政治を牽引することになる。
皆さんは、不安より期待の方が大きいでしょうか?
私は、「働く人」、ひいては社会経済の劣化に拍車が掛かると見ています。

 

「JR冥界ドキュメント 国鉄解体の現場・田町電車区運転士の一日」村山良三著、梨の木舎、2024年刊。
 著者は元国労に所属した国鉄運転士で、国鉄解体時、自身が受けた壮絶な国鉄と動労側からの嫌がらせを活写している。
人はなぜここまで正義をかざして残酷になれるものかと悲しくなる。

 

「国鉄処分 JRの内幕」鎌田慧著、講談社文庫、1989年刊。
 著者は労働問題を主に扱うフリーのジャーナリストで、広く国鉄沿線を足で尋ね、親身になって人々の悲哀と歴史を追っている。

 国鉄数十万の労働者と廃止の憂き目に遭うローカル線に暮らす人々の無念さがよく分かる。
著者は、長期にわたる政府、与党議員、国鉄の身勝手さが、最後に国民と弱者に尻拭いさせる暴挙になったと怒り心頭です。
残念ながら、労組の悪態には触れず、国鉄腐敗の結果を語るに過ぎない。

 


「国鉄に何を学ぶか 巨大組織腐敗の法則」屋山太郎著、文藝春秋、1987刊、
 著者は時事通信社の記者で、国鉄民営化では土光臨調に参画し活躍した人物です。
桜井よしこのシンクタンクの理事に就任しており、保守系と思われる。
彼は当然、民営化必然と見ているが、本の前段に興味深い既述がある。

 国鉄の崩壊の理由に、無能な経営者、社内の権力闘争、労働組合の堕落、監督官庁の無責任を挙げる。しかし膨大な赤字を生んだ最大の理由は、全国に張り巡らした新線建設の巨大な利権であり、群がった与党議員(主に田中角栄)だとする。
そのことが詳細に暴露されているが、これはいまだに止まない日本の公共投資の悪事です。


「国鉄を売った官僚たち」大野 光基著、善本社、1986年刊、
 著者は1970年、国鉄が初めて展開した生産性向上運動の旗手だった。
これは直ぐに大きな勢いを得たが、告発により組合潰しとみなされ、2年後に国鉄は陳謝し、すべてを撤回することになった。
著者は、生産性向上運動の必要性と成功の過程、さらには身内(上層部)から梯子を外された恨みを記している。

 私自身、民間で生産性向上に関わったので、彼の悔しさが理解出来る半面、彼の「働く人」と労働組合攻撃への無神経さが悔やまれる。
無節操な生産性向上への信仰にも似た組織風土は、日本の「働く立場」の劣化を如実に物語っている。
私自身、今頃になって現役時代の生産性向上の後味の悪さが、やはり異常な行為だったと気付かさせられた、遅きに失するが。

以上5冊の本から、見えて来たものは何か?

1.「働く人」にとってより悲惨な状況が、しかも国民が望む形で訪れるだろう。
新自由主義がさらに進み、経済格差は一段と高みに至るだろう。

2.国鉄民営化は、利用する国民にとって有益だったが、それは大きな膿出しと同時に「働く人」の犠牲を伴い、組合の弱体化が全国的に広がることになった。

 そこには私達が知るべき事実が多々あり、今後明らかにして行きます。
日本政府の腐敗の構造、中枢の人々の利権が国鉄に巨大な赤字を背負わせ、最後に、国民がつけを払わさせられ、これが繰り返されている。
国鉄労組が、なぜ堕落し、スケープゴートにされたのか。そこには日本の遅れた権利意識と労働組合法があり、さらに当時、国際的な逆風が吹き始めていた。

これは次回、語ることになります。

次回は1冊のベストセラーから、問題点を読み解きます。

 

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ワールドクルーズ 10 船上の愉しみ、デッキからの眺めと夜の散策

2025-01-24 09:40:19 | 旅行

*今回は、船上の愉しみの一つ、デッキからの眺めを紹介します。

 

デッキから眺める良さは、ゆったりと時が流れるままに身を任せられることです。

朝夕の紅に染まる遠景の島影や中世都市。

早朝の青味を帯びた暗闇に浮かぶ島影、そして漁船や町の灯火が宝石を散らしたように煌めく。

太古からの姿を留める大自然に囲まれた海峡を、風や陽射しを受けながら進む。

入港や出港時の眺めも感動出来ます。国の違いや、気候帯の違いで、様相は変わります。

デッキから眺める長所は、24時間、好きな時に眺められる事、自然や都市を近景から遠景まで高い位置から見下ろせる事です。

 

* 早朝、入港時の光景

「早朝、インド洋の島に着岸している」

「早朝、大西洋、テネリフェ島に向かっている:別のクルーズで」

 

*日中航海中の眺望

「スエズ運河を航行中:船で行くと、高い場所から周辺をじっくり見れる」

「チリ、パタゴニアの氷河地帯を航海中」

 

「眺望できる前方デッキ」

 

*ここで撮影について注意を一つ。

乗客2500名の内、この前方デッキで前方の景色の写真を上手く撮れる位置は、せいぜい30~50名ぐらいの広さかありません。

他にも眺望が出来るデッキはありますが、障害物や、取りたい景色の船からの向きによって、最適な場所は刻刻と変わります。

素晴らしい撮影を望むなら、進行経路を予想し、数時間前から場所取りをする必要があります。

それでも賭けです、景色と船の進行経路が正確に予測できないので。

船内のディスプレイに、地図と現在航行中の航路は表示されいるので参考には出来ます。

 

「ビュフェ・レストランからの眺め:別のクルーズより」

船の航跡、海ごとに変化する雲の形や海の色、様々な波浪を眺めたりするのも、良いものです。

 

* 出航の別れ

「リスボン港からの別れ」

存分に街を愉しんだ後に、別れを告げるのは、いつも感慨があるものです。

 

*朝陽、夕陽

「夕陽」

ワールドクルーズでは朝陽と夕陽が楽しめ、雨の日は数日だったのでおそらく夕陽だけでも100回以上見ているでしょう。

西の空に雲がかかっている事があるので、水平線に陽が沈むのを最後まで見れるかハラハラドキドキしながら20~30回は夕陽を見ていました。

 

*真夜中の航海

「ジブラルタル海峡を真夜に通過:別のクルーズより」

夜空の星、南太平洋でしか見れない南十字星や星座を眺めることも出来ます。

 

*もう一つ、お薦めの眺めは、船が港に1泊停泊している時です。

「リスボン、我々のクルーズ船がここに一泊」

 

船が埠頭に夜通し停泊していると、船から降りて、付近を自由に散策し、また何時でも船に出入り出来ます。

夜の街に出ても良し、埠頭付近の港の施設や公園を散策するも良し、また照明で浮かび上がるクルーズ船を眺めるも良しです。

乗客2500名もいるので、それなりに、船の周辺は人が溢れています。

この楽しみ方は、港と都市、繫華街との距離や治安に制限されるので、すべての1泊寄港地でと言うわけにはいきません。

 

次回に続きます。

 

 

 

 

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働くとは、何か 9

2025-01-23 07:46:01 | 社会

 

なぜ「働く」を問題にするのか?

 

 現在、日増しに「働く人」の状況は悪化しており、今年から、さらに酷くなるはずです。

これだけ文明が進んでいるのに、なぜ大多数の人が心豊かに暮らせないのか。

大きな潮流が災いしているとはいえ、「働く人」自身が「働く」意味を見失ってしまった事が大きい。

困ったことに、これがさらに経済の悪化を招いている。

 

私は定年後、1週間に一度の仕事と、趣味で充実した日々を送っています。

だが定年前は、まったく異なった。

勤めていた会社の社風もあり、私は完全な仕事中毒で、理不尽な扱いや、過酷さに鬱鬱としながらも、技術者として頑張っていました。

周囲では、一部には出世や金儲けに高揚感を味わい猛進する人はいたが、多くの人は不満を持ちながら、組織に溶け込み、平穏に過ぎるのを祈りながら、なんとか楽しみを見出そうとしているように思えた。

 

私達は、戦後の廃墟からの復興期を経て、やがて高度経済成長、そしてバブル崩壊を経験した。

この頃は、まだ経済復活の可能性を信じられたように思う。

しかし、ブラック企業の横行と非正規雇用(低賃金と首切り放題)が定着すると、幾ら政府が復活のアドバルーンを揚げても、あらゆる指標が日本の長期衰退を示すようになった。

現在、私の周辺や幾つかの公共体の内情に接すると、「人々はこの沈没船に誰よりも長く乗ろうと必死だが、誰も沈没を止めようとはしない」ように見える。

 

「何かが違う」との思いが強くなるばかりです。

 

 私は海外に行く機会に恵まれ、幾度もカルチャーショックを受けて来ましたが、北欧を2回訪れて得た体験は別格でした。

1984年の訪問では、彼らの振る舞いや人生観、日々の暮らし振りが日本とまったく異なる事に驚いた。34年後の2018年では、発展を遂げ、豊かさを享受しながらも人生をゆったりと愉しむ生活スタイルが変わっていなかった。

 

 

 

 それに比べ、相変わらずの長時間労働、機械に使われる事が当たり前の生産現場、家族より組織優先、そして定年になると抜け殻のようになる。

日々精進し、目標と他人との競争に打ち勝ち、それが出来なければ落ちこぼれに甘んじる企業戦士。

組織と協調しない人、自由な人、のんびりしている人には不安と嫌悪さえ覚える会社人間。

それが大方の日本人像でしょう。

 

 そんな日本人が、一丸となって世界第二位の経済大国に押し上げたのは過去の話になった。

今は、数年毎に他国に追い抜かれて行く。

15年の間に、円安で旅行費用が約2倍になり、インフレで賃金が低下し、日本の凋落を実感しているのは私だけではないだろう。

 

一度踏み止まって、振返って欲しい。

 

 働く事は、そんなに卑屈で窮屈で、自分を殺さなければならない事なのか?

働く人の努力が足らないから、会社が儲からず、賃金は抑えられて当然なのか?

人は、もっと自由に生き、愉しんで暮らしてはいけないのか?

 

実は、我々は狭い島国に生き、いつの間にか、押し付けられた観念に囚われてしまっているのです。

 

 

「日本だけが20年かけて実質賃金が10%下がっている」

 

「日本の企業は20年かけて利益を約3倍に増やしている」

 

話は単純です!

 

 現在、日本の実質賃金は低下し続けて景気は良くないが、企業利益は鰻登り。

かつて、賃金が上がりぱっなしで景気も良かった逆転の時代があった。

ここ半世紀、大企業や経営者は益々強くなる一方、個々の「働く立場」は益々弱くなっている。

「働く立場」が弱いのは自然ですが、現在のように「働く立場」の自覚を捨て、個々に分散してしまえば、救いようが無い。

本来、人が弱いわけではない。

 

しかし強くなれる。

 

 一つは、「働く人」の自己主張と共同です、歴史が証明済みです。

自己主張とは、単に労働条件向上だけではなく、どんな生き方を望み、拒否するかも含みます。

今一つは、共同は対立では無く、「働く立場」と「使う立場」が対等に知恵を出し合い、社会の向上を図ることが重要です。

この事は北欧で行われています。

 

二つ注意があります。

 

 今の悪化する「働く立場」は、賃金低下による需要低下で、経済の悪循環を招いています。

トランプとイーロン・マスクの登場は、米国だけでなく世界を巻き込み、「働く立場」を絶望的な状況に追い込むでしょう。

 

 

次回は、幾つかの本を取り上げ、問題点を拾い出します。

 

 

注1.トランプ政権誕生で、経済担当の筆頭イーロン・マスクによる大規模な規制緩和が行われ、労働環境を含む様々な人権軽視が始まるでしょう。これは米国共和党が目指す新自由主義の到達点になるかもしれない。

 

 

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