ハンバーグ

何も言わなくていいから
そばにいてほしいと
何も言わずに囁いた

僕はさほど強くもないけれど
そばにいなくても平気だと
僕は強がって椅子に座る

テーブルの上にはナイフとフォーク
ナプキンは無造作に端が折れている

冷たい水で喉を潤して
君は窓辺で揺れていて

何も言わなくていいから
僕は強がって
窓辺でハンバーグ定食

風が吹いて窓の外、君が笑った気がしたけどさ
それはきっと僕の気のせい

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国道
誰も居ないガソリンスタンドがやけに明るく
ガソリンタンクは明後日には、限りなくゼロになるのだろうが
僕は明るすぎる国道の景色を横目に

見たばかりの光と
見たばかりの闇と
見てばかりの哀しみと
僕の愚かさと
ごっちゃ混ぜに混ぜ返しながら通りすぎて

何も無い白い草原に、僕の体は無重力となる
何でも揃いすぎた国道は居心地悪いから
きっとここは名無し草

国道沿いの草は明るすぎる夜に驚いて
息をすることも忘れていやしないだろうか
何も見えないから不安になっていやしないだろうか

何も見えない光は
彼や僕を不安にさせて、僕らの腕を何もない場所へと
優しく、時々強引に、引っ張っていくんだ

ここはきっと名無し草