タマラ・ド・レンピッカ、どっかで名前を聞いたことがあるような…、ってな程度だったんですが、コレクションとして集めている美術館がなく、個人で所蔵されている作品が多かったりして、なかなかまとめて観る機会がない、ということだったんで行ってみました。
Bunkamura Musiumとしては、いつもと同じくらい宣伝していると思うんだけど、やはりあまり知名度が高くないせいか、入場口からして空いている。
初期の作品は、キュビズムの影響が残っている上に、まだ自分の作風を模索していて、荒削りで、男性的。
自分の娘を描いた作品だけは、なんだか女性的というか、母性的という感じがするけれど、他の作品は、あまり女流画家という感じがしない。
じゃあ、1924年くらいに作風を確立してからはどうかというと、これがまた。
女性を描いているのに、妙になまめかしくて、おそらく何も知らずに絵だけを見せられたら、女性が描いたとは到底思えない。
しかも、男性の肖像も描いてはいるけれど、女性の肖像画の、絵の具が流れ落ちてしまいそうに思えるほど、しっとりとつややかな画面に比べて、描かれている男性にはどこか突き放したものがあるような感じさえする。
なんでだ?!と思ったら、彼女はバイなのでしたf(^_^;
なので、30年代半ばまでの女性の肖像画の数々は、実に、絵に熱気がこもっている。
でも、やはり最高傑作は、娘をモデルに描いた「緑の服の女」かも。
どう計算しても10代半ばなのに、とてもそうは見えない色気と、やはりまだ若いまっすぐさを感じさせる強い視線。
全体にモノトーンに近い中に、緑のドレスと真っ赤な唇という色の対比の美しさ。
このシャープさは、むしろ、男性では描けない代物かも知れない。
かと思うと、その後の古典絵画の技法を使った作品群を観ると、いったいいつの時代の画家なのかわからなくなる。
宗教画に至っては、なんだか、ミケランジェロが描いたみたいだ。
ところが、再婚した後の作品は、またも雰囲気が一変する。
これがまた、それまでの自分を押さえ込んで、幸せな田舎暮らしに溶け込もうとしているかのようで、ホントにつまらない(笑)
晩年にいたって、ようやく、再び自分を取り戻したかのようで。
全体的にはそんなにたくさんの作品があるわけではないので、もう一度順路を逆に辿って、最初から全部見直したりしていたら、他にもそういう人が結構いた。
観る価値のある展覧会だったといえるかも。
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