Der König Hat Eselsohren

フェルディナント・ホドラー展@国立西洋美術館



チューリヒ美術館以外のところから集めてきた、ホドラー展(笑)
いやいやいや、なかなかのものでしたよ。

基本的に年代順の展示なので、初期の風景画は、なるほど、つまらん(笑)
そういっちゃいけないか。
本来なら、お手本通りに描くだけの、土産物用の風景画にも、自分なりに工夫を。
そっくりそのまま再現できるだけの技法は身につけてた、ってことだし。

それにしても、変貌する人だなぁ。
風景画から一転(?)、暗い人物画。
「傷ついた若者」なんて死にかけ(笑)、しかもヘンな風に足が浮いてて不自然f(^_^;

かと思うと、今度は、誰かの肖像とかじゃなく、人体を並べてリズムですと?
これはまた、空想の情景だからなのか、なおさら人物の足が地に着いていない感じ(笑)
草の上に座っているのか、宙に浮いているのか?
でもこれ、あぁ、ホドラーらしい絵ですな、という感じ。
ものっすごく具体的にリアルに描かれた人物像が並んでいながら、現実の情景ではない、という…。

チューリヒで見たときのことを思い返しても、確かに、こうして囲まれていると、具体的に何かを表したい、というよりも、抽象的で浮遊感のある空間にいる感じにはなるな。
ただ、まぁ、ここまでリアルな裸体が並んでると、自分のウチには飾りたくない感じ?f(^_^;


と、理解ができないもんだから、微妙な気分でいましたが。

アルプスの風景ばかりを集めた地下の展示室がスゴイ!!

確かに、どの絵も、強烈な色彩に彩られた色面ばかりの構成なんだ。
それに、雲の形なんかも、実際にはあり得なくね?みたいな(笑)
だから、近くから見ていると、なんだか妙に力強くて、強烈で、ぐちゃぐちゃした絵だなぁ、という感じなんだけど。

展示室の真ん中に立って見渡すと、なんと、すっげーリアルなアルプスの景色!!Σ( ̄□ ̄;)
まるでその場にいるみたいだ!!

そう、近くに寄ってしまうと、単純な色の連なりのように見えるのが、遠く離れてみると、あのアルプスの山々の険しさと、山々に降り注ぐ日差しとをまるで写真のように再現している!!

実際にいったことのある場所が多いから、なおさら、実際にその場に立ったときの情景を思い出すよ!

感動のあまり、ぐるぐるぐるぐると、あっちの対角線から、こっちの対角線へ、眺めて回っちまったよ(笑)←怪しい。


とか言いながら、「無限へのまなざし」はたぶん実物を見ているはずなのに、よく憶えてなかったり…f(^_^;
いや、たぶん、見たよね…?


そして晩年、愛人ヴァランティーヌの肖像、というか、やっぱ「死にゆくヴァランティーヌ・ゴデ=ダレル」「バラの中の死したヴァランティーヌ・ゴデ=ダレル」だよ。
なんで画家ってのは、自分にとって大事な人が死んでいく場面を描いてしまうのか。描かずにいられないのか。
モネもそうだし、熊谷守一もそうだし。
人であって人でないのかもしれないなぁ。
描く方も、描かれる方も。
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