Der König Hat Eselsohren

成田亨 美術/特撮/怪獣@福岡市美術館



ふっふっふ。
わざわざ飛行機に乗って、福岡まで見に来ましたよ(笑)
最初は、夏に、富山まで日帰りで行ってもいいかな?とも思ったけど、どうせなら泊まりがけで福岡に行った方が楽しい。
なので、図録というか作品集は、既に入手済みながら、実物見るまで封印してました(笑)

まぁ、朝、時間を間違えていて、すんでの所で飛行機に乗り遅れかねないという、とんでもない事態に陥ったりもしたんだが、それはそれとして、無事、9時過ぎに福岡に到着。
ホテルに荷物を預け、美術館にたどり着いたのが10時。
金曜日の午前中とはいえ、これが都内で人気の展覧会だったら、この時点で結構(ジジババで)いっぱいだったりするんだけど。
ま、この展覧会で、そういうことはないな(笑)
入った時点で、超がらがら。
もちろん、その後は増えてったけどね。
子供連れがちらほら。
あとの8割くらいは、オタク臭を放つような人たちが…f(^_^;

で、内容。

いきなり油彩のウルトラマンがお出迎え!…ではない。
これはウルトラマンではなく、あくまでも、「真実と正義と美の化身」(笑)

いや、しかし、大回顧展というだけあって、ものすごいボリューム。
最初期、50年代の作品から展示されているが、やはり彫刻家だけあって、平面の作品も、画家の描く作品とは異質の立体感がある。
なんというかな、ミケランジェロの描く絵を見たときに感じる、あの立体感。
で、実は、この初期作品が、実は後の作品と繋がっているということを、あとからじわじわ感じることになる。
もちろん、後の作品だけじゃなく、彫刻家としての作品「八咫」から、すぐさま、バイトで始めたという特撮作品にも繋がっているのだが。

つか、最初はバイトですから(笑)

でも、誰も見たことがないものを作るわけですよ。
見ているこっちは、生まれたときからもう、怪獣が存在する(笑)世界に生きているのだけれど、それってのは、この成田亨大先生が作り上げた世界なワケです。
何もないところからこれを作り上げる…文字通り、想像を絶する創作作業ですよ。


第1室の途中から、ウルトラQの原画。

で、初っぱなのこの魚っぽい怪獣って、見覚えがないぞ?!
「南海の怒り」?そんな話あったっけ?
でも、これの改稿版がしばらく続き…バルンガ!!
おぉぉぉぉ!!!バルンガに色がついている!!(笑)
それに、バルンガの全体像って、こんなんだったのか~!!
Qの中では、特に好きな回なので、バルンガの原画が見られたのはめちゃくちゃ嬉しい♪
ガラモン、カネゴン、ケムール人と、オールスターも続く(笑)
お!ラゴンだ!
こっちはゴーガ。しかも、ここで回転する、とか、設定画まで。
第1室だけで、既に大興奮!(*≧▽≦*)

続いては、もちろん、ウルトラマン。
マニアにはおなじみ(笑)「レッドマン」の原画から始まって、タイトルとか、科特隊基地とか、諸々の設定まで。

しかも、怪獣の原画も鼻血モンでズラ~リ!!(*≧▽≦*)
バルタン星人の初期バージョンなんかは見たことあったけど、原画を見て、「お!いたいた!」と思い出す怪獣も多数。
言われてみりゃそうだけど、アントラーはもちろん、「バラージの石」に出てくる神殿までデザイン画があるよ~♪

思わず吹いたのは、「あの」ジラースにも原画があった!!
ゴジラに襟巻きつけただけのはずなのに!!(笑)

くるっと壁の向こうへ行っても、まだまだウルトラマンの原画が続く。
ペスターかっこいい!!
うぅ~、ガヴァドン幼獣♪やべぇ♪
見ただけで、あの「きゅきゅきゅきゅきゅ」という鳴き声(?)が脳内に炸裂symbol4

…つか、この分量って、もしかして。

ここでようやく気づいたけど、今回、すべての原画が展示されてるのでは?!

ひとりニヤニヤしながら、頭の中で様々な音声が再生されて(ex. 「ウー!ウーよぉ!!」とか、ジャミラの最後の泣き声とか、ザラブ星人の台詞とか…)、忙しいったらありゃしない。
最後はもちろん、ゼットンを前に、頭の中で「トゥルルルル、トゥルルルル…」←キチガイ

ここまでで既にお腹いっぱいなのに、まだウルトラセブンがあるんだよ~!!
これまた、セブンのデザインから始まって、あの超カッコイイ制服やマーク、ポインター、そしてなんと言ってもウルトラホーク!!
鼻息荒い!!(笑)

セブンの怪獣と言ったら、やっぱエレキングだな!
つーか、そもそも怪獣は少ないんで、宇宙人の原画にしびれっぱなし!
ペガッサ星人ラブ♪&メトロ~ン!!

そしてやはり、すべての原画が展示されているようだと、ほぼ確信。

それを裏付けるかのように、ひっそりと貼られた、薄い鉛筆画…。
なんとスペル星人。Σ( ̄□ ̄;)
原画があったのか!!
「被爆している宇宙人」って頼まれて、嫌々ながら適当に作った、という噂を聞いたことがあったんだが…。
この原画の展示って、まさに今回の展覧会の中でも、白眉と言って良かろう。

もはやすべて見終わったか、くらいの充実ぶりなのに、実はまだまだ。

続くマイティジャックは、メカ関係の設定画を中心に。
つか、メカしかないですけどね(笑)
それに、ほとんど見た記憶がないので、あまり愛着がない。

で、ウルトラマンの墓標…orz
傍らに、成田大先生が円谷を離れたあと、第2期以降のデザインについて苦言を呈した文章。
確かに、極限までそぎ落とした、最高の造形を作り上げたというのに、そこにいろんなものをくっつけられるのは、こうしてここまでの原画すべて、そこでの苦闘のあとをみていると、さぞかし腹立たしかったことだろう、と納得がいく。


そして、最後の彫刻作品となった「翼を持った人間の化石」。
最初は、何?と思ったけど、人間の形にくりぬかれている。
この造形自体が、初期の彫刻と呼応して、むしろ人間のしていることに対するむなしさを感じる。


さて、次の展示室は、「突撃!ヒューマン」「円盤戦争バンキッド」、そして実現しなかった企画に関するもの。

残念ながら、ヒューマンもバンキッドも見てないんだよなぁ…f(^_^;
ただ、なんと言っても、バンキッドに出てくる敵キャラの原画、これにはまさに目をむいた。
というか、目を見開かれる思いだ。
何というスゴイ、すばらしい造形。
原画でありながら、それを超える美しさ。
そう、人間の着る着ぐるみ、という制約はあるものの、その限界に挑み、一般の人間の想像しうるものを超えた空想の産物が、圧倒的な美しさを持っているという驚き。

感動と言うより、衝撃といった方が相応しいかも。

もちろん、実際の着ぐるみは、この原画の雰囲気のすべてを再現できてはいないんだろうなぁ。
だって、ここまで見てきたウルトラシリーズの原画と、実際の怪獣の着ぐるみとを比べると、やはり、残念な部分が多い。
それでも、その後のものに比べたら、高山良策の手になる怪獣は、明らかにエッジが立っていて、シャープさでは際立っているんだ。
その点を考え合わせると、実際のバンキッドの映像を見たら、ちょっとがっかりしちゃうかも…。

さて、今回最も感動したと言えるのは、実は次の展示室。

賃料の代わりに描いた(?)という鉛筆書きのモンスター。
これがもう、すごいのなんのって。
それこそ、着ぐるみという制約から完全に自由になって描かれているだけに、「創造ってこういうことじゃね?」と、目はもちろん心からも鱗がぼろぼろ落ちる。
どうしたらこんな発想が可能なのか?
しかも、彫刻家だけあって、最初から3次元で創造されたものを描いているとしか思えないのだ。
そう、単なるイラストレーターだったら、2次元的に想像したものにちょっと影をつけてみました、的なものになりがちだが、このモンスター画を見ていると、ここには見えていない後ろ側まで完璧に考えた上で描いているんじゃないかと感じられる。
うん。
彫刻家の頭の中って、画家とは作りが全く違うんじゃないかと思う。


次はちょっと目先を変えて、特撮映画ではなく、映画のための特撮。
「この子を残して」の原画、そして「麻雀放浪記」のセットの再現。


そして油彩画。
これがまた。
最初は普通の油彩画かと思ったら、だんだんと特撮の世界に入り込む。
特撮の世界を、伝統絵画の技法で描く。
カネゴンに、ケムール人に、今回のポスターにもなっているガラモン。
絵画とキャラクター画という区分けに対する異議申し立て。
そうだ。
村上隆の作品が絵画だというなら、怪獣が描かれていても絵画と言っていいじゃないか。


雑誌に掲載されていた西洋のモンスターのシリーズが、また膨大…orz
実は、ここまでで、ほとんど座るところがないf(^_^;
ウルトラセブンのコーナーのところだけ。
なので、いい加減、疲れて集中力が切れてきました…。

そして最後。
日本伝統のモンスターたち。
中央に、おおきな鬼の彫像。
広い展示室をぐるっと囲むように、竜、天狗、鬼、夜叉…。


そうか。
ここは古今東西の異形の者たちが集まっているんだな。
長い旅をしてきたような気分だ。


さて、今日福岡市美術館を見て、土曜日は北九州市立美術館の「ウルトラマン創世記」を見るつもりでここに日程を組んだのだが、実は福岡に来る直前、この美術館のサイトをチェックして、土曜の午後に「ちょっとマニアックなギャラリートーク」なるものがあるのを知ってしまった。
しかも、講師の名前に見覚えが…もしやあのサブカルな「芸術B」の先生では?f(^_^;
どうしよう?!と思いつつ来たんだが…。

やっぱ、ギャラリートーク聴きに来た方が楽しくね?(笑)

…ということで、続く。
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