■ぶらり散歩季語さがし『言葉は魔法』2022年2月号

2022年02月25日 11時17分43秒 | 日記

この地方のテレビで、蝋梅(ろうばい)が咲きましたと写真付きの手紙を紹介していました。
私の住む町内に、蝋梅が植わっている家が一軒あり、毎年楽しませてもらっています。散歩の相棒が気が向けば、帰り道を少し回って、咲いているか見てみたいと思います。

岡崎公園の中、家康公の銅像が、岡崎城下を見下ろすよう建っています。家康公の頭上には、今日の穏やかな天気を連れてきたのか、白い雲と青い空が見えます。二、三日前の冷たい風は今日はありません。家康公も穏やかな顔に、見える。いえいえ、三寒四温の中でも、岡崎城下から天下を注視しているのです。
家康公とすれ違って左に折れていくと、くねくねのなだらかな下り坂が現れます。この道の両側には梅の木が植わっています。十本に満たない本数ですが、この道を私は『梅の木スロープ』と呼んでいます。二つあるうちの最初の休憩ベンチの後ろに白梅があります。この寒い一月末に、もう白花とわかる小さなつぼみがたくさんついています。詳しく調べていないのでわかりませんが白梅はこの一本で、あとは紅梅です。紅梅のつぼみは黒っぽいのでふくらみは目立たなかったけれど、二つ目のベンチを下って『梅の木スロープ』が終わるところは、陽が届いていて暖かいからか、紅梅の一輪だけ咲いています。
これはこれで、ちょっとうれしいです。

    梅一輪一輪ずつの暖かさ    服部嵐雪(らんせつ)
           松尾芭蕉の高弟


翌日、気になっていた蝋梅(ろうばい)を見に、散歩の相棒を無理やり連れて行きました。
遠目にもそれとわかる鮮やかな黄色の塊でした。満開です。すがれた花は一つもありません。写真を一枚だけ撮らせていただきました。仰向けにカメラを傾けると、金木犀(秋)のような広がってくる香りではなく、香りが降り落ちてくるような神々しい感じでした。今までは、車でこの道を通るときに見ていたけれど、初めて蝋梅を見るような感じでした。
春を迎えるために梅よりひと足先に、寒い中、甘く咲く蝋梅。お見事です。


  能楽堂出て臘梅の香に佇てり  加古宗也
              俳誌『若竹』主宰