「日曜日の朝日新聞に、健太郎君が紹介されているよ」と、姪からLINEが来た
「覧古考新」の名文集
泉京鹿lzumiKyoka
翻訳家。1971年生まれ。94年から16年間北京在
住。訳書に閻連科『炸裂志』(河出書房新社)、九
把刀『あの頃、君を追いかけた」(講談社)。大学
非常勤講師。
台湾文学の翻訳家・天野健太郎さんが昨
年11月、亡くなった。遺作となった訳書
『自転車泥棒』(文芸春秋)の著者・呉明
益氏を台湾から迎え、イベントに登壇する予定を数日
後に控えての、突然の訃報だった。
天野さんと初めて会ったのは2012年、彼の最初の
翻訳刊行直後のこと。以来、同い年で、相談もでき
れば愚痴も言えるかけがえのない貴重な同志だった。
早すぎる死を悼む読者の「もっと天野さんの翻訳で読
みたかったjという声がいたるところにあふれでいる。
愚直な情熱で突き進む翻訳は、決して報われない仕
事ではない、と天野さんの仕事が教えてくれる。
天野さんの翻訳デビュー作は、龍 應台によるノン
フィクション文学の傑作、『台湾海峡一九四九J(白水
社)。現在に至る複雑な中台関係の根源ともいえる、
1949年を跨ぐ歴史に翻弄された人々の思いに迫る
作品だ。・・・
(朝日新聞2019年1月6日GLOBE版より)
天野健太郎が、こんなふうに認められていたなんて、
今、思い知らされる