下手な横好き

女性の働き方

木場潟



「資生堂ショック」から考える、育児中の女性が働く会社経営陣の深いナヤミ

平日の夜や土日が「繁忙期」であり、ここに実績のあるベテラン美容部員に活躍してもらいたいと願うのは、経営サイドからすれば当然の心情です。

売上や収益を回復させるための方策は、もちろん美容部員の労働時間の変革だけではない。
ヒット商品の開発や、新しい販売チャネルの獲得、プロモーション全般の見直しなど、解決すべき問題は山積していることでしょう。

ただ、私が現場で目標を絶対達成させてきた過去の体験からして、最もスピーディに、そして確実に売上をアップさせる方法は、
営業や販売員のパーソナルコミュニケーションの量を単純に増やすことなのです。

メディアを使ったマスコミュニケーションを変えるのは再現性が乏しく、ましてやプロダクトの変革は時間がかかりますし、売れなかったときのリスクが非常に大きい。

ニュースにもあるとおり、美容部員の「1日18人」という接客ノルマは業績回復のための一番の近道であり、理にかなっています。
しかしこの「1日18人」のノルマを繁忙期にも実現させるためには、「短時間勤務制度」を利用している人たちの意識改革であったり、
運用ルールの抜本的見直しが不可欠でした。

まずは手元のキャッシュが増えない限り、経営陣は次なる打ち手を考えることができません。
女性活躍促進が時代の潮流であるはずなのに、その流れに逆行するような方針転換はあり得ない等と言っていると、みるみるうちに業績が低迷し、経営者は別の問題解決のために奔走しなければならなくなります。

いわゆる財務的な構造変革。つまり「リストラクチャリング」です。

私は資生堂の方針転換を支持します。
しかし、美容部員の労働時間や労働量のみだけで、すべての問題が解決するわけではありません。
一定の業績回復が見込まれた時点で、次の方策を考えるべきでしょう。

「平等」と「フェア」は違います。
すべてを平等にすることはできませんし、まさに「寝言」と言えるでしょう。
育児中の女性のみならず、そこで働く人たちすべてが「フェア」だと思える制度を、試行錯誤を繰り返しながら作り上げてもらいたいと思います。

これは化粧品メーカーの販売員や店舗スタッフの問題にとどまりません。
「時間」と「空間」が拘束される職種は、看護師、塾講師、美容師……等、同じような問題を抱えています。
「平日の夜はダメ」「週末はもっとダメ」という主張をそのまま受け入れようとしたら、経営陣は頭を抱えてしまいます。

女性の働き方改革を先頭で走ってきた資生堂だからこそ、この難題を解くカギを見つけてもらいたいですね。

 私心

女性が如何に職場で働くのか?働けるのか?・・・・・・・子育てと絡み非常に難しい問題ですね。


写真を趣味に高齢者の戯言

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