★あれ晩餐は横一列じゃなかったの レオナルド 最後の晩餐
皆さんは『最後の晩餐』の絵を何種類見たことがありますかちょっとアンケートを取ってみたいぐらいですね。
この思い違いは私だけだったのでしょうか?
この絵の題材は、もちろん聖書に書かれている、ゴルゴダの丘の磔刑というクライマックスの伏線で重要な部分すよね。
ですからこの題材を扱った絵は、たくさんあるはずです。
私も今までかなりの美術館や、教会に行っているのですが、改めて『最後の晩餐』の記憶をたどってもレオナルドの壁画しか思い浮かばないんです。
キリストを中心に12人の使徒が一列に並んでいるという光景が子どものころから刷り込まれていて、ほかの絵を記憶することを妨げたのかもしれません。
『レオナルド・ダ・ヴィンチ ミラノ宮廷のエンターテイナー』斎藤泰弘著
実は上記の本を読んで、愕然としました。
そして、古代、中世、ルネッサンス時代の『最後の晩餐』を改めて見直してみました。
まず、『レオナルド ダ ヴィンチ』の前にはこのように使徒が一列に並んで描かれることはなかったんですね、裏切り者の『イスカリオテのユダ』はキリストと同じ並びになることはなく反対側に置かれることが決まりだったのですね。
つぎのパターンは机を挟んで複数の使徒が対面して座っているもの。
12人の使途が1列に並んでいるのは非常に珍しい構図だと再確認しました。
さらに、キリストが最も愛していたと書かれているヨハネですが、聖書にもヨハネがキリストに寄りかかっているという一節があります。多くはキリストに寄りかかるなんて恐れ多いということで机にうつ伏せで寝ているような構図が多いです。
しかしこの構図にも実は多くの誤解が含まれているのではないかと斎藤泰弘氏は言うのです。
もしこの晩餐が行われたとすれば、それは古代ローマの時代です、古代ローマ時代の普通の会食のスタイルはどうだったでしょうか?みんなが椅子に座ってお行儀よくご飯を食べたでしょうか?
違いますよね、この時代はみんな横になって食事をしました、フォーマルな場合は席順も決まっていたそうです。
横になって食事をしていたとすると、ヨハネがキリストの側にいて横になっていてもなにも不思議はありません。
ビザンチン様式で描かれた絵にはそのようにみんなで横になって食事をしているものもありました。
ここにも旅のだいご味、楽しみがあります、予習復習ではありませんが、旅に出かける前に、どんな所か調べ、地理や歴史を頭に入れておく、そして帰ってきてからは画像を整理しながら、ブログを書きながら歴史書を紐解く。本当に楽しいですね。