さて、それではサンテティエンヌ・デュ・モン教会の中に入ってみましょう。
主祭壇に向かった瞬間に目に飛び込んできたのは黄金に輝くジュベでした。
ジュベというのは主祭壇の上にかかっている橋のようなものです。
この様式にパリで出会ったのは初めてでした。もちろんパリには大小たくさんの教会がありそのすべてを見ているわけではありません。
後で調べてみると、やはりパリでジュベのある教会はここサンテティエンヌ・デュ・モン教会だけでした。それにしても燦然と輝く存在には目を奪われますよ。
このジュベは中央に欄干の部分があり両脇はらせん状に支柱に巻くつくように階段が巡っています。
これには一面様々なデザインの彫り物が施されています、丸くアーチ状になった部分の左右には天使の浮彫があり、これがまた美しいんです。よーく見てみてくださいね。
2022年10月16日この日は日曜日だった為にミサが行われていました。その為ちょっと見にくいのですが。
ジュベの手前に素晴らしい木製の説教壇があります、これもたくさんの浅い浮彫が施されており、芸術的に素晴らしいものです。
天蓋の頭頂にはすくっと立った天使が置かれています、この説教壇は1640年に作られたもので、ローラン・ド・ラ・イールが設計し、クロード・レストカールによって作られたものです。
天使の下の、ドームにも一面にデザイン彫刻が施されて、四隅には天使が置かれています。
台のカバーの部分にも、様々な人が描かれていますが、これは枢機卿の様々な徳を表すものだそうです。
台座の部分には、ライオンを踏みつけるアトラスが彫られていますが、ミサの最中だったので、撮影を遠慮しました。
美術的に価値のあるものは、美術館だけに置かれている訳ではありません、中世以前では美術品は職工が作成していました。ですから、この説教壇のように銘のある物もありますが、ほとんどは無名です、その中から自分にあった作品を見つけていくのも楽しみの一つなんですよね。
2022年10月16日取材