★なぜテンペラ?フレスコ技法じゃないの 最後の晩餐 レオナルド

『レオナルド ダ ヴィンチ』と同年代の画家に『ジョルジョ・ヴァザリー』がいますが、彼が『最後の晩餐』について次のように語っています。
「(最後の晩餐が)素晴らしいのは、ユダのかたくなな態度、憎悪、裏切りの姿である。その上作品のどの部分においても、信じられぬほどの丹念さで描きこんでおり、テーブルクロスの布の布に至るまで描きこんでおり、本物のリンネル布でさえこれ以上は本物らしく見えない様であった。」

左側にかすかに模様が見えるのでこれのことかと思いますが、今ではその美しさは分かりません。
つまりレオナルドは通常彼が描く技法でこの壁画も描きたかったわけですね。彼の描き方とは、「一筆二筆描き、手直しを加え納得のいくまで層を重ねる。この方法によって陰に微妙な濃淡をつけ物体の境界をぼかしたりすることができる。とくには指を使ってぼかすこともあるので、彼の指紋さえ残ることがある」との記述があります。

本当にかたくなに自分のスタイルを変えないレオナルド、この時代に行けるものなら、行ってその素晴らしさを実感したいですが、それはタイムマシンが出来上がるまでは無理ですね。
この辺にも、彼が大画家と呼ばれるにもかかわらず、わずか十数点の完成作品しか残さなかったわけが隠されているのでしょう。