「サロンの長椅子」(1983-84)
『ロートレック』
彼は、娼館にも通い詰めた、時には数か月居続けそこで絵を描きました。
作品では何とも疲れ果てたような表情の女性たちが長椅子に座っている。
中央の赤いドレスの女性はボーッと中空を見ている。
彼女たちは客待ちをしている娼婦たちなのです。
アンニュイ空気は漂っているが、彼女たちは決してみじめには描かれてはいません。
『ムーラン通りのサロンにて』(1894)
これも娼館の待合室の風景です。
多くの画家が娼館を描く場合、淫靡で、猥雑に描かれることがい多いですが、
『ロートレック』の作品にはそのような空気はなく、淡々としています。
これは彼がこの場所に居続け、彼女たちと親交を結び、
観察した末たどり着いた地点ではないかと思います。
「彼女たちは、必死に働いている生身の人間だ。」と彼が言っているように聞こえます。