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シンプルなだけに ロンダニーニ ピエタ美術館 ミラノ

2020年1月訪問 イタリアからコロナがなくなるまで書き続けます。

 ★シンプルなだけに ロンダニーニ ピエタ美術館 ミラノ




 まずは『ロンダニーニのピエタ』じっくりと見てください。実にシンプルで気高い感じがします。

 まだ荒削りの状態ですが、マリアの顔は悲しみと慈しみに満ちているように感じます。




 もう少しよってみます、キリストは少し首をねじるようにして目を閉じています、十字架から降ろされた時ですね、とても穏やかな表情をしています。

 未完成であるが故にかえって、マリアとイエスの感情がこちらに迫ってくるのを感じます。

 この作品は『ミケランジェロ』が死の数日前までノミを振るっていたと記録が残っています、この年彼は89歳。

 『ミケランジェロ』はいまわの際になって最初の構想を覆して、新しい試みに挑戦したのだと思います、イエスの前に、前の構想の時に彫っていた腕がまだ残されています。そして、たぶん前はマリアの体だった部分からマリアとキリストを彫り出しています。

 いったい『ミケランジェロ』の中にどんな心境の変化が起こったのでしょうか?

 もう一つ、他でも指摘されていましたがこのキリストは全裸です、男性器がはっきりと彫りだされています、これはどういうことでしょう、古代ギリシャの彫刻やこの時期に掘られたギリシャ神話などに出てくる像には男性器は彫られています、しかし、キリストの性器は見たことがありません。必ず腰には布がまかれています、これがこの時代の決まりです。
 実際にはほかの素材で性器が彫られていたものでも、あとから布や葉っぱが付け加えられたものも多くあります。

 この時期は作成依頼があった場合は依頼者側から、事細かな指示が出されます、製作者はそれに沿って制作しなければなりません。これをもって、この『ロンダニーニのピエタ』はミケランジェロがだれの指示でもなく自分のために作成していたのではないかとの説があります、うなずけますね。
 そしてさらに、この制作の変更は、性器の露出にあったのではないかと考えます、もちろんこれは仮説にすぎません。

 これが素人の楽しさですね、研究者であれば、必ず何か証拠がないと確定はできません。




 『ミケランジェロ』24歳デビュー作といわれる、『サン・ピエトロ寺院』にある『ピエタ』と比較してみてください。

 

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