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凌 正統な着こなし

不定期にはなってしまうが、凌アイテムのおすすめの着こなしを季節ごとに紹介したいと思う。素材の機能だけを並べ立てるのではなく、凌の美学でデザインされたアイテムがシノギングでどう機能するかを実践的な視点で解説する。

今回は、正統な着こなし。
ただのコスプレとささやかれ、業界において異端な存在である凌の正統な着こなしとなればやはりこれしかないだろう。抒情詩を歌う様なネーミングとシルエットだけでそれとわかる、唯一無二、頭からつ足元までの凌流ソフトシェルセットアップを紹介しよう。

ヤマボウシ Air

この帽子の特徴はなんといってもアクティブシェル並みの通気性の高さだ。通気度が高いということは外部の空気を取り入れやすく、汗を放出しやすいということで、特に汗かきの人にはうれしい機能であり、凌ぎ始めから終わりまでこの効果が持続する。頭周りのスベリと呼ばれる部分には、東レのフィールドセンサーメッシュを使用していて、汗を素早く吸収し外部へと放出する。大汗かきの私ともなると帽子を被らなければ額からダラダラと流れる汗が邪魔でシノギングに集中できないので、汗を効果的に処理してくれる帽子が必要である。ツバのまわりには形状記憶のワイヤーが内蔵されているので好みの形状にして被ることができ、ツバの後ろにはスナップボタン付きのループがあるので休憩時にハンモックのラインに吊るして乾かしたりできて便利だ。ちなみに、同じデザインのヤマボウシはこれよりも通気度がかなり低いので、あまり汗を掻かない人に向いている。

ヤマニノボッタカモシレナイ soft shell

ソフトシェルジャケットと言えばいわゆるアルパインクライミングやトレッキング向けのフード付きのジップジャケットを頭に思い浮かべるだろう。しかし、名もない低山をうろつく凌にはそのようなジャケットは必要ない(笑)このヤマニノボッタカモシレナイは日本に西洋の登山文化が入り始めたころのジェントルマンなスタイルを参考にデザインされている。生地は撥水性と防風性、そしてストレッチ性を備えたソフトシェル素材。ウールのジャケットとは違い気軽に洗濯ができ、撥水処理のメンテナンスをしっかりしておけばちょっとした雨にも対応できる。森林限界以下をフィールドと定めるシノギングにおいては、むしろレインウェアを着るよりも快適な状況だってある。

両サイドには、上下開きのジッパー付きベントがあり、これによって裾を少し広げてリラックスして着たり、ベンチレーションを取ったりすることができる。しかし、このベントの一番のこだわりは、バックパックのヒップベルトを中に通して止めるというところである。そうすることでジャケットのシルエットがくずれないのだ。

ヒップベルトをそのままジャケットの上で止めてしまうと、せっかくのジャケットがこのように場違いな変身ベルト姿のようになってしまい実に残念である。こうならないためのこだわりが凌流であり凌の美学である。

このジャケットは防風性が比較的高いので寒い時期のシノギングにも重宝する。風が冷たい時には襟を立ててボタンを止めれば風よけになる。

その他に、取れにくいパラシュートボタン、余計なものを排除してすっきりした袖口、ささやかな腰ポケットと、目立たないところに凌流のこだわりがある。

通気度はそれほど高くないので、高温多湿の季節や汗かきの人の行動着としてはやや不向きカモシレナイ・・・。

ハカマスカート

縁起のいい(笑)末広がりのデザインのハカマスカートは、おかげさまでいつの間にか凌を代表するアイテムになった。女性には抵抗のないスカートでも男性にはやはり抵抗があるだろう。そんなことは百も承知でこのハカマスカートを男性にも穿いてもらおう、という無謀な提案を受け入れてくれた男性シノラーのみなさまに感謝いたします。

ハカマスカートはヤマニノボッタカモシレナイと同じ生地を使用しているので同色でセットアップするのもいいだろう。ちょうどこの時期くらいからハカマスカートの下はパンツ一枚で快適にシノギングできるようになる。生地の通気性はそれほど高くないので真夏になるとやや暑苦しく感じるかもしれないが、それでもなんといってもこのデザインのおかげで得られるベンチレーション効果は一度穿いたら病みつきになってしまうもの。しかし、困ったことに夏のシノギングで藪蚊やブヨが中に入ったまま出て行ってくれなくて足をボコボコにされたことがある。そうならないために虫よけスプレーなどによる防御が必要だ。

凌の美学によってウェストにベルトはなく、調整用のゴムスピンドルはコードロックの下に出るようになっているので前に飛び出さず邪魔にならない。左右に二つずつのオープンポケットはタドルタドルやアヲネロよりも高い位置にあり、こうすることで座った時に中の物が邪魔にならず落ちにくいようにデザインされている。

シノギング中の何気ない瞬間に見られるこのシルエット。これこそ凌の美学の極み。

尾根を下りる足元のこのひらめき。これは凌以外では表現できない世界だろう。

クナイ・ショート

ヤマニノボッタカモシレナイとハカマスカートの着こなしに欠かせないのがこのクナイ・ショート。その独特のシルエットが足元をビシッと引き締め、ハカマスカートととの間に少しだけ見える素足のバランスが絶妙だ。ロング丈のクナイを合わせるというのももちろんありだが、ここはやはりクナイ・ショートが美しい。当然、露出した足は生傷を負ったり虫に喰われるのだがそれは我慢しよう(乱暴ですみません)。脇役でありながら、凌の着こなしにおいてなくてはならないとても重要なアイテムである。

既に気付いているシノラーさんも多いと思うが、地図読みで名もない低山をうろうろして、気持ちのいい場所を見つけてはハンモックでだらけるだけがシノギングではない。凌アイテムの着こなし、所作のひとつひとつに美しさを追求し表現することもシノギングであり、それが凌の神髄であり美学でもある。

そして孤高であることも。

 

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