四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
2月22日「凌・シノギングとは~凌談義~」の様子
新年一発目の東京月例シノギング。恒例となりつつある、初めての方、延いては初心にかえりたい方向けの、凌とは?シノギングとは?と深くお話するテーマ。
初参加の方も多く、まだまだ潜在的なポストシノラーは多いのだなと痛感。ありがたく、嬉しい限りである。
集合後はササっとバスに乗り場所を移動。まずは実地にてシノギングについて体験していただく。入凌地点前に神社があったので、そちらの境内広場を少し拝借し、ご挨拶とシノギングについての口上を少々。
いつものサンプルお貸し出しを済まし、私の荷物を軽量化。
次いで、地図読みについてのお話。地形図の見方、説明から入る。
そのままコンパスの使い方へ。例に漏れずプレートコンパス持参の方が多いが、シノギングでは東西南北の入った文字盤が動くタイプをオススメしている。精度も重要だが、視認性の高さを重視しており、もっと言えば簡単な方角が分かれば簡易なコンパスでも十分機能するということ。
そしてそれらを体現するコンパスチェック。皆さん概ね良好。
この地形図を読む、コンパスで方角を読む、プラス自分がどこに居てどこを向いているのかの空間把握を駆使して、シノギング地図読みは展開されていく。
ついでに、なぜアナログの紙媒体を使った地図読みなのか?をアナログとデジタルの時計を例にしてご説明。それぞれに主たる用途があり、同時にメリットデメリットが存在する。
たっぷり小一時間ほどお話をしたところで、いざ出立。流れで共有したA地点まで早速参加者主導で目指してもらう。このシノギングイベントでは常に、良くも悪くも参加者主体で実践してもらっている。これが最大の経験値にもなると考えている。
その実、町中の人工的な道の地図読みが一番難しかったりするが、、A地点のトンネルまでは無事到達。ここから異世界へ。
越えた先から尾根歩きに突入。お次はこの薄い尾根を上手く辿って、ひょっこりピークのB地点を目指してもらう。
いつだって最初と最後は難儀しがちなシノギング。中々に不明瞭な尾根ながら、感覚を頼りに進む参加者達。実はこの感覚も重要だったりする。
暫く登ると、ぱっと道のような尾根に出る。俗に言う尾根に”乗った”状態である。ここまでくれば、先の不明瞭な登りとは雲泥の差。ただ、一般的な登山道か?と問われればそんなことは無いのだが、道らしい道に思えてしまう。皆さん、無事シノギングへの最初の一歩は踏み出せたようだ。
そのまま尾根を辿ると、程なくしてB地点のピークへ到達。尾根が何個かに分かれていたので、それぞれ延びている方角のチェック。そしてそれが地形図上のそれと一致しているかもチェック。地図読みはこの繰り返し。
次の目的地、C地点を決める。この先は少しクネクネとした尾根道となるので、事前にポイントとなる所も確認し合う。参加者同士での地図読み談義、良きかな。
先頭も交代しての再出立。案の定クネクネするポイントが、絶妙に解りづらい分かれ道のようになっており、少々難儀。しかしながら、しっかり地図読みをすれば理詰めで導き出せる。道っぽいからと侮るなかれ!例え道標があったとしてもそれを疑え!
途中、ファットウッドな倒木も発見。これ、知っていると何かの時に役立つはず。
こんな感じの倒木。
流れで、興味が分かれる、森勝流、木を削る時のナイフの持ち方使い方。、(今回は皆さん興味持ってくれた!)
少しミチクサした所で、疑惑の登り尾根を詰める。この先の尾根に乗った所で、南に明瞭な尾根が延びていれば正解のはず。。
それどころか完全なる道が延びていた。どうやらここがローカルながらメイン尾根のようで、反対北側にも明瞭な道が延びていた。
この先に大きな分岐点がある。そこをC地点としていたが、皆さん感が良くしっかりそのポイントを見出せていた。案の定、先の明瞭な道からまた、不明瞭な尾根へ分け入る。
最初は解りづらかったが、暫し下ると明瞭な尾根となる。そして、この先に誰が見ても解る楽園、別荘地がある。皆さん気付けるかな?
何か見えてきたようだが、、
本日の休憩地点である楽園へ到着。このレベルの平地は山中にゴロゴロある訳ではないが、こういう気持ち良くハンモックを張れる場所を別荘と呼称し、そういう場所を探す低山地図読み歩きがシノギングとなる。その目的の場所はシノラーそれぞれの嗜好で選定しても良い。(例えば気になる建物記号や植生、送電線巡りなど)
では休憩に入ろうか!とならないのがシノギングイベント。毎度お馴染みのロープワークから。
シンプルに解りやすくという点は変わらないが、時折ブラッシュアップした内容でお届けしている。
ロープワークは兎に角反復して練習、使って、身体に沁み込ませるべし。
そして、皆さんハンモックユーザーではあったが、ゲッカビジンを使った凌流のハンモック張り方と、先のロープワークも使えるヤナギニカゼを使ったタープ張り実践。どちらもとても些細な所に注意し、拘る事で、張り方や見た目も大きく変わってくる。常にピシッと綺麗に使いこなしたい。それが所作であり、凌の美学でもある。
こうしてようやく各々の休憩時間へ!
皆さん、ゆっくりハンモック休憩を満喫されているようで何より。
こちらは別邸ハナレ(犬小屋風)も設けて。ツエルト張りの復習を兼ねてとの事。
こちらでは森勝氏とごにょごにょとロープワーク復習。
静かな交流を含めた時間はあっという間に過ぎて行く。
後ろ髪を引かれる思いで撤収の時間。森勝氏がロックオンしていた方へ、併せてパッキング術を伝授。
結果このようになった。このバックパックを綺麗に魅せるパッキング術も、凌の美学。
少し長居してしまったが、再出立。ここからは入ってきた尾根の延長をたどり、ドン突き手前で南東に延びる薄い尾根で沢沿いに下る。
ドン突きにて、少し奥に行き過ぎてしまったか。なんだか嫌だなぁという雑木林系の植生で、こういう植生は要注意。
少し戻って見渡すと、極小さな渓が入って、その先に乗るべき尾根が見えた。植生もスギ植林系で安心できる。おかしいな?と思ったら周りをしっかり見渡してみる。案外灯台下暗しだったりする。
最後の下り詰めは少々薄暗いが、下りるべき渓は見えているので、そこを目掛けて歩きやすい所を詰めて行く。
無事渓へ到達。何やら過去遺産が散見され、新たなスポットとなりそうな予感。。
そして最初とは別のトンネルから現世へ。
文明へかえる。ここから少し歩くが高尾ハナレを目指す。
到着。どうぞどうぞ~と縁側からお出迎え。
凌製品を創造する場所であり、展示サロン、お休み処でもある高尾ハナレ。実地シノギングの総括と共に、凌について語り談義するにはうってつけの場所である。
時間を忘れて談義する皆さん。もうシノラーの一歩を踏み込んでしまったかな?
まだまだ語り足りない所もあるでしょうが、本日はここまで。残りはまた違う回シノギングイベントや、高尾ハナレ一般開放日の時にでも!
決して笑ってはいけない奴。
今回のテーマを通して、少しでも凌ブランドや、シノギングという遊び方に興味を持ってもらえていれば幸いです。その実どの回でも根底的にやっている事は変わらないのですが、我々も今回のような初めての方々向けの回を定期的に実施することで、改めて初心にかえり、また新たに気付かされる所も多分にあります。まだまだ我々の事、シノギングという遊び方を知らない方々に向けて、変わらず草の根で活動していきたいです!
シノギングの情報は巷に溢れていません。気になる方はまず、このシノギングイベントに参加してみて下さい。この手記から得られる知識情報はほんの一部で、文献では得られない体験がこのイベントには詰まっています。実際に参加することでシノギングのあれやこれやを知ることができるでしょう。即ち百聞は一見に如かず。
凌は美学
いつ何時でも所作、立ち居振る舞いを美しく
いつ何時でもあたふたせず、まごまごせず
道具に踊らされず
凌ぎ
美を追求すべし

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