華島さんに夢中だったのは、俺が高校生だった頃。
久しぶりに札幌からメジャーデビューした、それもV系のカッコいいバンドということで、俺が中学の時から地元でも結構盛り上がっていた。
ロングの金髪で、大きなでも冷ややかな瞳の華島さんは、体はすごく細かったけれど、そのために儚げに見えたけれど、とにかく上手いボーカリストだった。
俺も、あそこまでにはなれなくても音楽をやりたいと思うようになった。
でも上手くはいかなかった。
一応、友達やさらにその友達に声をかけたけれど、音楽をやりたい、バンドをやりたいというヤツはなかなかいなかった。
俺自身、楽器選びも進まず、ただただ華島さんの活動をネットや何かで追っていくだけになり…
そのうち、よくいる女の子ファンみたいに、ライブまで追っかけていくだけになってしまった。
音楽をやりたいなんて言っておいて、何の努力もしない自分が情けなくなってきてもいた。